土曜のランチの様子から。
まずは生ビール
前回こちらに来たのは11月28日の土曜だった。その週の中旬、確か11月25日だったかに西村経済再生担当大臣が「この3週間が勝負」だと危機感を募らせた。それから3週間が経過し、結果はどうであったかというと衆知の通りの惨状で、勝負としてはあっけなく敗れ去ったということだろう。その間、唐突にGoToトラベルの一斉中止を表明したりと動きはないわけではなかったが、具体的かつ実効性ある施策は何ら打ち出されることはなく、当然の帰結ともいえるわけだが。

13:00過ぎに店に着いたらテーブル席は満席で、カウンタに着席を促された。その方が少しでも密が避けられ寧ろ好都合であった。この店はこのところ徐々に人気が高まっているらしく、コロナ禍の影響を感じさせない盛況ぶり。そのうち気軽に食べられない高ハードル店になってしまうのではないかと危惧するほどだ。
サラダとアンティパスト
いつもの前菜付きセットを頼む。





この日のアンティパストだが、写真の順に、ゴルゴンゾーラ・ムースのブルスケッタ蜂蜜がけ、ポテトサラダ・グリーンマスタード和え、そして自家製生ハムとクリームチーズ・バルサミコソースがけとなる。ゴルゴンゾーラのムースは初めて。濃厚で多少癖はあるがビールが進み過ぎる。上には砕いた胡桃が載っていてこれがコリコリとした食感で面白いのだ。
鉄板ナポリタン
家内は随分前から定番化しているこちらを初オーダー。


家内はメニュー名の接頭辞「鉄板」をハズレのない常套、定石メニューを表す意味だと理解していたようだが、厨房からサーブされたのは熱く焼かれた鉄板に載ったナポリタンだった。つまり、奇を衒ったネーミングではなく、提供方法を素直にメニュー名称にしただけのことだったのだ。熱々でジュージューと焼けた鉄板上ではソースがぐつぐつ煮え、湯気を激しく放散。

トマトソースあるいはケチャップで和えた一般的な街角ナポリタンとは異なり、割と量の多いさらさら系のトマトソースに泳ぐ格好で提供。このソースは甘み、旨味ともに強いイタリアントマトをふんだんに使用したもので完成度が非常に高く、かつ、もちもちの手打ちパスタと非常に合うのだ。具材はお馴染のソーセージに玉葱、ピーマン、ズッキーニなどで青臭さも良い。
ぐつぐつ煮え立つ光景は動画に撮ったら良いのでは、と家内から言われ、バッグからごそごそiPhoneを取り出した。カメラアプリを立ち上げて構えたら、ぐつぐつの沸騰が急速に鎮静化。一応撮ったは撮ったが迫力はいまいちだった。
ボンゴレ・ビアンコ
こちらは私のオーダー。夏頃からの常駐メニューだが、いただくのは実は今回が初めて。




街中のボンゴレ・ビアンコは割とさらさらのソースという印象だが、これはどろっと粘性を帯びたもの。浅蜊出汁をかなり丁寧に煮出している。もしかしたらスープ専用の浅蜊の身を濃縮してピュレしたものかもしれない。舌にねっとりと纏わり付く濃厚で多少磯臭い風味がなんとも言えない旨味を醸す。もちろん葫、白ワイン、オリーブ油も効いて非常に美味しい。
もっちもち手打ちパスタにどろっとしたソースが絡みまくり、クリーミーで濃密、超絶的な滋味を生成している。これは一級品だ。最後にバゲットで浅蜊ソースを拭っていただいたのだが、これがまた超絶美味。パンをおかわりしたかった。
ドルチェ
ミル・クレープのベリーソースがけ。珍しくいつもよりも甘い味付けで、食感は非常に柔らかく優しい舌触りだ。

お店データ

Smile on the Table
横浜市港北区菊名1-7-7 フィル・パーク妙蓮寺1F
電話:045-717-7313
営業:11:30~14:00、17:00~22:00
定休:月曜、他不定休
最寄:東急東横線 妙蓮寺1分
今日の一曲

SFS Mediaの当時の新譜から#8と遺作の未完#10のアダージオ。MTTのマーラー・チクルスのリリースもいよいよ最終盤に差し掛かるという時期だった。マーラーの遺作となる交響曲第10番アダージオだが、これは出色の作品、かつ演奏であり、もの凄く綺麗だ。#10はチクルスの数合わせのためだけと思われがちなぐらい軽視されているのが現状だと思うのだが、これは渾身の演奏であり瞑想的かつ優美・幽玄な音世界を紡ぎ出しているのだ。
(MusicArena 2009/9/25)