日曜は中華街まで散歩がてら烏龍茶を買いに。
まずは生ビール

ランチはどの店にするか、またどの地方の料理にするかも決めずに家を出たが、電車の中で、久し振りに台湾にしようということで話は決まった。台湾料理にもいくつか候補があるが、この日の中華街は異様に人が多くごった返していたので、そんな中でも大概は閑散としているこちらへと向かう。ところが、理由は後述するが予想に反してここも混雑、ほぼ満席であった。
アラカルトの品々
相変わらず不愛想な対応は従前どおりで慣れているが、混んでいるので料理が出るのは遅くなると釘を刺されたのは初めての経験であった。どういった風の吹き回しか・・。
頼んだのは以下の写真の順で中華冷奴、自家製中華腸詰、大根餅、台湾蜆、辛焼餃子の五品。








私たちが、どうしてこんなに混んでいるんだろう? 変だな、何があったのか?と色々憶測しつつ話していたら、たまたま隣りに居合わせた千葉から来たという客たちが親切にも事情を教えてくれた。数か月前だがNHKの
これは経費で落ちません!というドラマの中で主演の多部未華子らが
肉まんを買って食べるシーンがあり、それを収録したのが福楼だったそうだ。

ここは厨房が狭小らしく昔から店頭に蒸し器を並べて肉まんを常時蒸かしている。風情ある狭隘な裏路地をロケ地に選んだのは正解だったと言えよう。ところが、店名がばれてしまっており、その後かなり有名になって客足が途絶えなくなったというのが実態らしいのだ。私たちのとっておきの空いているハイ・クォリティ店がまたもや敷居の高い店に化けてしまった格好だ。

横浜がドラマなどに使用され知名度が更に上がって地元にお金が落ちるのは大いに歓迎だが、こんなところにまで余波が及ぶとは考えてもみなかった。実はそんな店がいくつかあって、昔はふらりと入って気ままに食べ、店主たちと昵懇に話し込んだりということが普通に可能だった店が、今や長蛇の行列店に化けたという例がいくつかあって、心境はちょっと複雑だ。
以上の料理だが、どれも良い出来栄えだった。ここでしか味わえないのは自家製の中華(台湾)腸詰、台湾蜆(しじみ)で、これは福楼ならではの鄙びた逸品といえる。なお、台湾蜆はメニューにはなく、言えば出してくれる。辛焼餃子だが、見た目には大振りの普通の餃子に見える。しかし、焼き目をひっくり返すと辣油で真っ赤。冗談抜きに辛くて口の中がヒリヒリする。
什錦鍋巴
こちらは家内のメインディッシュで、要するに五目おこげ。什錦は五目、鍋巴はおこげの意で、巴は本来は粑と表記するらしいが標準フォントにはない。







揚げたてでジリジリいう
おこげに具材をスープごと注いでくれる。ジュー!と激しい音と同時に湯気、米の焦げた芳香、海鮮の香りなどが一気に放散。湯気が一段落したところで小分けしていただく。海老、烏賊などの魚介と白菜や青梗菜などの野菜類が絶妙にバランスし得も言われぬ滋味を形成し、おこげに浸潤。半分ぱりっ、半分にゅわっとしたおこげはこの界隈で最高。
魯肉飯
こちらは私の大好物。台湾系ではたいがい頼む。こちらもグランドメニューには載っていないようだが気にせず注文すると普通に出してくれる。なお、メニューに載っているのは挽肉丼の方で、この魯肉飯とは具材がちょっと違う。



豚バラを丹念に含め煮にした角煮には旨味が強く凝縮され、下に敷いてある脂身が崩れた端材からは甘い脂、高菜から少々の酸味と塩味が溶出してご飯に沁み込んでいる。硬茹での卵は味がしっかり芯まで入っている。全体的にぐずぐずと混ぜてからスプーンで一掬い。鼻に近付けると八角の香りとともに甘くて切ない風味が漂う。そろりと口に運ぶ。
鄙びてはいるが、じんわりと浸透して来る旨味に思わずほっこりする。嗚呼、これを至福と呼ばずしてなんというか、だ。
お店データ

福楼
横浜市中区山下町137-26
電話:045-651-2962
営業:11:00~22:00
定休:無休
最寄:MM21線 元町・中華街6分、JR石川町6分
今日の一曲

ワーナー・フランスからのリリースで、L'invitation au Voyageとタイトルされるコンピレーション・アルバム。このタイトルはアンリ・デュパルクの歌曲で邦題は「旅への誘(いざな)い」。このほか、フランスの著名曲をデュマルケットとエンゲラーがチェロとピアノ向けに編曲したもの。デュマルケットは現在でも中堅の名手として活躍しているが、ブリジット・エンゲラーは残念ながら少し前に逝去した。録音は現在聴いても驚くほど広いサウンドステージを捉えており、中型劇場の親密な空間が再現される。
(MusicArena 2007/6/7)
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