2008年 07月 30日
Franck: Piano Works@Muza Rubackyte |
ブリリアントの新譜から、ムーザ・ルバツキーテというピアニストが弾くフランクのピアノ作品集。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2742234
フランク:ピアノ曲集
・前奏曲、フーガと変奏曲
・前奏曲、コラールとフーガ
・前奏曲、アリアと終曲
ムーザ・ルバツキーテ(ピアノ)
ルバツキーテというピアニストはリトアニア出身で永らく旧ソ連体制下においてドメスティックな活動をしてきた人物だ。ライナーノーツに簡単な略歴が載っているが、それによれば旧体制下では相当に抑圧された活動を強いられたようである。
国内の主要な賞を数多く獲得し、モスクワ音楽院へ入って優秀な成績で卒業し、ソ連のAll-Unionコンペティション(今は名前を変えているかも?)で優勝するまでは良かったようだが、その後は各地の工場や製鉄所のランチ・コンサートなどに駆り出されていたようだ。そう言った抑圧的な活動を通して30以上のリサイタル・プログラム、35曲にも及ぶコンチェルトのレパートリーを完成させていった。その後、数度の海外コンペティションに参加するチャンスがあり、特にブダペストのリスト/バルトーク・ピアノ・コンペティションでグランプリを獲得した。しかし、時のリトアニア国内の民族紛争と閉鎖的政策の影響でパスポートや海外渡航ビザが与えられずに国内で過ごしたが、それはペレストロイカが始まりリトアニアが独立する日まで続くこととなった。現在はパリ在住とのことだ。ちょっと前、Lyrinxレーベルから出したリスト作品集が殊更の評判を得ているようである。勿論、欧米での話しだが・・。
さて、私は個人的にはスクリャービン、スカルラッティ、そしてフランクの鍵盤音楽が好きなのだが、この500円ちょっとしかしないブリリアントの新譜はどうだろう。音楽による感動と媒体の値段は比例関係にはないことを如実に示しているのであった。
最初の前奏曲、フーガと変奏曲は元々がオルガン用に書かれた曲であり、非常に有名な旋律なのだが、これがルバツキーテにかかると見事なまでピアノ専用に化けてしまう感がある。極めて内省的で静謐、そして見事に統制された和声を見せる。とてもナチュラルで滑らかな対位法が展開されるこの演奏は見事と言わざるを得ないし、余裕のなせる技か、せかせかしたところや肩肘張ったところが微塵もないのである。瞑想的な演奏だ。
最後の前奏曲、アリアと終曲だが、一転して熱気を放つダイナミックな解釈に変わり、奔放で明るく、そしてある種の激烈さを伴っている。しかし高速スケールや分散和音を叩く運指技術は一級品であり破綻はない。なるほど素晴らしい技巧の持ち主だと膝を打つ鮮烈な解釈と演奏なのだ。
評判を取っているというリストの盤を聴いてみたくなって来た。
(録音評)
Brilliant Classicsレーベル、 BRL93702、通常CD。音質は平均点以上で、値段を差し引かずとも優秀なものだ。クリアで多少メタリックな音色であるがピアノの臨場感と存在感が律儀に正しく収録されている。少々オフマイク気味でピアノの音像はコンパクト、残響の分量も適量であり良好なバランスである。4トラック目の1分10秒前後で、編集の繋ぎ目かと思われる0.1秒ほど音が途切れたような箇所がある。が、相当注意していないと分からない。
1日1回、ポチっとクリック ! お願いします。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2742234
フランク:ピアノ曲集
・前奏曲、フーガと変奏曲
・前奏曲、コラールとフーガ
・前奏曲、アリアと終曲
ムーザ・ルバツキーテ(ピアノ)
ルバツキーテというピアニストはリトアニア出身で永らく旧ソ連体制下においてドメスティックな活動をしてきた人物だ。ライナーノーツに簡単な略歴が載っているが、それによれば旧体制下では相当に抑圧された活動を強いられたようである。
国内の主要な賞を数多く獲得し、モスクワ音楽院へ入って優秀な成績で卒業し、ソ連のAll-Unionコンペティション(今は名前を変えているかも?)で優勝するまでは良かったようだが、その後は各地の工場や製鉄所のランチ・コンサートなどに駆り出されていたようだ。そう言った抑圧的な活動を通して30以上のリサイタル・プログラム、35曲にも及ぶコンチェルトのレパートリーを完成させていった。その後、数度の海外コンペティションに参加するチャンスがあり、特にブダペストのリスト/バルトーク・ピアノ・コンペティションでグランプリを獲得した。しかし、時のリトアニア国内の民族紛争と閉鎖的政策の影響でパスポートや海外渡航ビザが与えられずに国内で過ごしたが、それはペレストロイカが始まりリトアニアが独立する日まで続くこととなった。現在はパリ在住とのことだ。ちょっと前、Lyrinxレーベルから出したリスト作品集が殊更の評判を得ているようである。勿論、欧米での話しだが・・。
さて、私は個人的にはスクリャービン、スカルラッティ、そしてフランクの鍵盤音楽が好きなのだが、この500円ちょっとしかしないブリリアントの新譜はどうだろう。音楽による感動と媒体の値段は比例関係にはないことを如実に示しているのであった。
最初の前奏曲、フーガと変奏曲は元々がオルガン用に書かれた曲であり、非常に有名な旋律なのだが、これがルバツキーテにかかると見事なまでピアノ専用に化けてしまう感がある。極めて内省的で静謐、そして見事に統制された和声を見せる。とてもナチュラルで滑らかな対位法が展開されるこの演奏は見事と言わざるを得ないし、余裕のなせる技か、せかせかしたところや肩肘張ったところが微塵もないのである。瞑想的な演奏だ。
最後の前奏曲、アリアと終曲だが、一転して熱気を放つダイナミックな解釈に変わり、奔放で明るく、そしてある種の激烈さを伴っている。しかし高速スケールや分散和音を叩く運指技術は一級品であり破綻はない。なるほど素晴らしい技巧の持ち主だと膝を打つ鮮烈な解釈と演奏なのだ。
評判を取っているというリストの盤を聴いてみたくなって来た。
(録音評)
Brilliant Classicsレーベル、 BRL93702、通常CD。音質は平均点以上で、値段を差し引かずとも優秀なものだ。クリアで多少メタリックな音色であるがピアノの臨場感と存在感が律儀に正しく収録されている。少々オフマイク気味でピアノの音像はコンパクト、残響の分量も適量であり良好なバランスである。4トラック目の1分10秒前後で、編集の繋ぎ目かと思われる0.1秒ほど音が途切れたような箇所がある。が、相当注意していないと分からない。
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by primex64
| 2008-07-30 10:22
| Solo - Pf
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