J.S.Bach: Italian Concerto BWV971 Etc@Corona Guitar Kvartet |
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J.S.バッハ:イタリア協奏曲(G.A.スタインケ編)
ラヴェル:組曲マ・メール・ロア(P.ベラルド編)
トマス・モーリー:コンソート・レッスン第1集より(コロナ編)
スー=ユン・シェン:極夜(夜想曲第3番)
ピアソラ:リオ・セナ、アディオス・ノニーノ、フーガと神秘、ジータ
※ボーナス・トラック(映像)
Z.アブリュー:ティコ・ティコ・ノー・フーバ
Corona Guitar Kvartet コロナ・ギター四重奏団
この四重奏団はデンマークで活動する人たちのようだがはっきりとはしない。また、Albanyというレーベルはアメリカ・ニューヨーク州のアルバニー市(殆ど知られていないが、実はNY州の州都)で創設されたマイナー・レーベルで、社是はアメリカ人アーティストによって演奏される上質の音楽作品を広めること、そして大手レーベルに飽食してしまった人にも再度興奮と興味をもたらす、というものらしい。しかし、なぜかこの四重奏団はデンマーク・ベースだ。
本来は二段鍵盤付きチェンバロのための独奏曲であるイタリア協奏曲(=一般的に協奏曲とされるスタイルとは意味合いが大いに違うのだが・・)を4挺のギター向けに編曲したものが冒頭トラックから入っている。これは原曲とはまるで違うジャジーでまろやか、そしてゆったり落ち着いた曲想で楽しめるものだ。ギターが4つもあると音の数が飛躍的に増え、他の多くのソロアルバムにあるような寂しい和声とは一線を画し、かなり豊かなハーモニーが充満する。
終盤に並べているのはピアソラの4曲だが、これらはギターやバンドネオン独奏、または小編成で弾かれることの多い作品群で、このアルバムの演奏も奇を衒った珍しさはない。しかし4挺のギターが生み出す複雑な旋律展開と対旋律・和声展開にはゆとりがあってオケ・アレンジに引けを取らない重厚な音を組み立てている。
白眉はギターによるマ・メール・ロアだ。カット・抜粋ではない全曲収録はなかなか価値がある。冒頭のPavane de la belle au bois dormant(眠れる森の美女のパヴァーヌ)は静謐で繊細、ギターの音の特色を最大限に生かした出来映えで特に秀逸。最後を飾るLe jardin féérique(妖精の園)は、冒頭と同じ動機から派生させた堂々たるフィナーレなのだが、これまた良い。当然の事ながらオケ版よりはコンパクトだが、ピアノ連弾版よりは音数が多く厚い演奏だ。
(録音評)
Albanyレーベル、TROY1084、通常CD。録音は少し前で2007年、場所はデンマークらしくジャケットに北欧らしい風景写真が挿入されている。
音質は高解像度路線だが刺激的な音がしない落ち着いたもので、音調は暗め。ギターの定位する空間は漆黒でS/Nはかなり高い。周波数レンジの誇張感は全くないのだが上下ともすっきりと伸びている。大人の音作りだ。
(あとがき)
このアルバムは夜更けに聴くと安らかな眠りに就くことが出来そうな癒しを提供してくれる。事実、昨夜もナイトキャップをしながら聴いていたのだがピアソラが全部終わる前に強い眠気がやってきた。CDプレーヤーにプログラム機能が備わっているなら、最後には是非、マ・メール・ロアを持ってきて欲しい。癒しの真骨頂が味わえる。
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