日吉(横浜市港北区)に本拠を構えるマイスター・ミュージックというマイナーレベルの新譜でリコーダーによる名曲アルバム。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3541427 (写真が入っていない)
(こちらは写真あり↓)
T.メールラ:カンツォン『うぐいす』
Tarquinio MERULA (1594/95-1665) : Canzon “La Lusignuola”
A.コレッリ:フォリア/ソナタ第12番
Arcangelo CORELLI (1653-1713) : Sonata op.5-No.12 “Follia”
C.デュパール:序曲/組曲第1番より
Charles DIEUPART (1667-1740) : Overture - 1ere Suite
A.コレッリ:ガヴォッタ/ソナタ第10番 4楽章
Arcangelo CORELLI (1653-1713) : Gavotta - Sonata op.5-No.10
J.M.オトテール:サン・クルーの滝/組曲第3番より
Jacques Martin HOTTETERRE (1674-1763) : La cascade de St.Cloud - 3e Suite
J.B.ボワモルティエ:ロンドー /ソナタ作品7-2 2楽章
Joseph Bodin de BOISMORTIER (1689-1755) : Rondeau, Gayment - Sonate op.7-2
J.S.バッハ:アルマンド/ パルティータBWV1013より
Johann Sebastian BACH (1685-1750) : Allemande - Partita BWV10131
J.M.ルクレール:アレグロ /ソナタ第1番 4楽章
Jean-Marie LECLAIR (1697-1764) : Allegro,Altro - 1ere Sonate
M.マレ:プレリュード/トリオ変ロ長調より ※
Marin MARAIS (1656-1728) : Prelude - Trio en Si -bemol majeur
G.P.テレマン:ファンタジー第10番
Georg Philipp TELEMANN (1681-1767) : Fantasie No.10
J.S.バッハ:アダージョ・マ・ノン・タント/ ソナタBWV1035 1楽章
Johann Sebastian BACH (1685-1750) : Adagio ma non tanto - Sonate BWV1035
A.コレッリ:アダージョ/ ソナタ第4番 1楽章
Arcangelo CORELLI (1653-1713) : Adagio - Sonata op.5-No.4
D.カステッロ:ソナタ第16番
Dario CASTELLO (c.1590 ?-c.1630) : Sonata No.16
D.オルティス:『甘い思い出』によるレセルカーダ第2番
Diego ORTIZ (c.1510 -c.1570) : Recercada segunda sobre Dolce Memoire
山岡 重治(リコーダー)Shigeharu YAMAOKA(recorder)
レ・サンク・サンス Les Cinq Sens
メンバー:平尾雅子(Vdg)、上尾直毅(Cem/Org)、能登伊津子(Org)、
岩渕恵美子(Cem)、金子浩(Lu)、竹内太郎(Lu/Guit)
向江昭雅(リコーダー) ※M.マレ:プレリュード/トリオ変ロ長調
山岡重治は早稲田大学理工学部出身の変わり種。在学中にリコーダーの魅力にとりつかれ楽器製作のみならず演奏をも手掛けるようになり、結局はオランダ・ハーグ王立音楽院へ留学しリコーダーを本格的に学んだ。1975年ベルギー・ブルジュ音楽コンクール室内楽部門優勝、1978年ミュンヘン国際音楽コンクール・リコーダー部門一位入賞を果たす。現在は上野学園、東京芸大講師。
この人のリコーダーは技巧的で本当にうまい。そしてうまいだけではなく、しなやかで抑揚の効いた進行も秀逸だし歌心もなかなかのものだ。聴かせられる演奏だ。若き日のブリュッヘンを想起した。
バッハ、マレ、ルクレール、テレマンなどの聴き慣れた旋律がリコーダーで吹かれると一種独特の典雅なアンビエンスが手伝ってか全く新しい曲を聴いている錯覚に囚われる。レ・サンク・サンスというアンサンブルはヴィオール属(ガンバ)やバロックVn、Lu、Cem、Orgなど幅広い楽器群を駆使する日本人グループのようだが曲ごとのアレンジが多様で飽きない。
無伴奏の独奏トラック(バッハ:パルティータBWV1013、テレマン:ファンタジー第10番)の対位法表現は絶品で、無伴奏VnやVcと殆ど変わらない堂々たる吹きっぷり。まるで通奏低音のバス・リコーダーとの二重奏に聞こえてしまうほど。また、レ・サンク・サンスのメンバーのリコーダーとのデュオでは飛躍的に音が増え表現幅がぐっと拡がり素晴らしい出来。後半では重厚なorgが加わって荘厳さも味わえる。
このCD一枚でバロック期の名作が多様な器楽構成とアレンジで楽しめるという楽しいお買い得盤だ。
(録音評)
Meister Musicレーベル、MMKK7026、通常CD。このレーベルの主宰者である平井義也氏はちゃんとしたトーンマイスターの訓練を積んだ録音エンジニアで、このCDの出来上がりを聴くとなるほど、と納得できる。使用機材等は
ホームページに記述がある。
音色自体は無色で地味、取り立てて美音ではないのだが、特筆すべきはその自然な音場展開にある。左右で位相特性が揃ったワンポイント・マイク、そして絶妙なマイクアングルによってもたらされる誇張しない自然な拡がりが生(き)なりの魅力なのだ。至近距離から中距離までに奥行き方向に点在するコンソートのメンバー、そして山岡のソロ・リコーダーが浮かび上がってくる。尚、トラックごとにマイクアレンジと器楽配置はコロコロと変化し、それぞれの構成スケールや曲想に応じてオン/オフを使い分けている。
リコーダーのワンポイント録音というと昨今では
このCDが記憶に新しい。この2枚のプログラム/演奏内容は優劣付けがたいのだが,録音の出来映えに関しては比べるべくもない。
ピリオド楽器、バロック期の音楽に触れてみたい人には是非お勧めしたいアルバム。またこの音質はオーディオ装置の左右差の調整に適する透過度の高い優秀録音といえる。スピーカーの存在が消え去りバッフル後方へ中型ホールが拡がれば再生はまずまず成功だろう。
1日1回、
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