日曜のランチは定番のこちらへ。
まずはビール
都道府県を跨る移動自粛が19日で解除された。


それに呼応して人出は徐々に戻り、東京都内も横浜市内も繁華街は以前の賑わいを取り戻しつつあることが感じられる。そんな中、SHINでは新しい限定をやっていて人気だというが、遂にこの日で終わり。ということで気合を入れて行ってきた。写真にはないが感染対策が強化され各席をパーティションで囲っていて、九州豚骨の一蘭のような感じ。
まぐろ山かけつけめん
このパーティションは着脱式のプラダン(プラスチック段ボール)製で、隣り合う私と家内の間は取り外してくれた。




閑話休題。今回の限定は前代未聞、空前絶後のミニ和懐石のような美しいセット。上の大きな写真は今回の限定商品の全景となる。麺は分かるとして、今回は
ちらし飯=酢飯がデフォルトで付く。三分割の仕切り皿に乗っている薬味は、順に刻み海苔、うずら生卵、刻み葱+練り山葵+紅蓼となる。これを各シーンに応じて適宜散らしていただくという趣向のようだ。
まず、普段より細い麺を純和風の汁で味わう
今回の麺は細めだが性質は従前同様にぱっつんとしている。いわば蕎麦粉を使わない
せいろ蕎麦の風情だ。汁(つゆ)だが市中の蕎麦汁と同様、宗田節、鯖節、昆布などから引いた正攻法の出汁に横浜醤油製のかえしを合わせたもの。あえて言うと少し辛めの設定か。

硬茹での麺を手繰り、ちょちょいと汁に浸けて啜る。これは良い。日本蕎麦と比較するのは野暮というもので、まさに孤高のSHIN麺の盛りそばである。これだけ腰が強いのならレギュラー品の麺にも太さは必ずしも要らないのでは、と思う。ここで、はっと思ったのが店主の旦那さんは蕎麦アレルギーだということ。これは旦那さんの夏季の滋養強壮向けに開発された商品かもしれない。下衆の勘繰りだが。
山かけをぐずぐず混ぜ、ちらし飯へオンする
さて、懸案の山かけ。



これは粘りが最強で箸をも押し返す弾力を誇る本物の大和芋。最強粘度の摺りおろし芋は持ち上げても千切れず一体化してリフトされてしまう。何とか引き離してちらし飯に載せる。鮪はインドマグロ=南マグロで濃厚な旨味に定評がある。この魚種は日本近海のクロマグロ(本鮪)と同じだが、餌が多く回遊量の多いインドマグロは特に美味。事前にタレでズケにしてある。

濃密で旨味が強い大和芋の擂りおろしは極めて滑らか。赤身と中トロ混合部位の鮪の脂は言葉を失うほど美味。うずら卵のまったり感、紅蓼の青臭さ、山葵の辛さ、刻み海苔と葱の芳香と相俟り、わしわし掻きこむ愉悦に暫し呆然。そしてこの酢飯との相性の良さに改めて感服する。普通の白飯ではここまで深い滋味は出ない。なお酢飯には大葉、生姜、胡麻が仕込んである。


山かけ&細麺のコラボ、予想外の至福
酢飯と山かけも良いが、やはり麺にも合わせてみたい。


これまた未体験ゾーンへ一足飛びとなる美味さに、ただただ無口に啜るのみ。隣の家内もかなり満腹のはずだが、箸が止まらずひたすら啜っている。大和芋の粘性と滋味が辛めの浸け汁と合うし、この薄い脂をまとったズケ鮪とも相性抜群であって、いままで味わった和食でもこのような取り合わせは経験がない。何という発想であろうか。高粘度大和芋+脂の乗ったインド鮪+ぱっつん麺=阿鼻叫喚のマリアージュ、ということ。なお、この後に蕎麦湯ならぬ鰹出汁のスープ割が出たが撮影を失念した。最後まで超美味で、まさに未経験のつけ麺だった。脱帽だ。
水玉もち(試作品=予価200円)
もう、最大レベルの満足度に恍惚としていると、店主からお願いということで、この一皿がサーブされた。


近いうちにリリースする新商品だという。水信玄餅のようなさっぱりしたドルチェで、要はこの水餅の凝固度合いを評価して欲しいとのこと。付け合わせは鄙びた風味の上質な
きな粉、濃密だけれども後味さっぱりの自家製
黒蜜だけというシンプル構成。いただいたところ、割と多めの水分と緩めで妙なる凝固度合には好感した。

即ち、口に含むとジュレ風の舌触りがありつつ、数秒後には溶解して粘液状に変化するのが実に心地よい。他からはこれでは緩すぎるのでもう少し硬い方が良い、という意見もあるそうだ。確かに、よく観察すると水餅は自重に耐えながら下方向へ押し下げられて扁平している。私見だが、これより硬いと、この絶妙な
トゥルットゥル感が後退してしまう。
そして、凡庸なゼリー食感に限りなく近づいてしまう気がするのだ。もちろん、デザートはコスメティックスは重要で、艶々の玉のように張った盛り上がりや光沢も良いだろうが、食感を優先した方が良いのでは、という意見を述べた。
お店データ

自家製麺 SHIN(新)
横浜市神奈川区反町1-3-8電話:045-548-3973
営業:11:30~14:30
18:00~21:00(日・月は夜営業なし)
定休:火曜(祝日でも休業)
最寄:東急東横線 反町4分
今日の一曲

RCAレッドシール(ソニークラシカル)から、ズーカーマン率いるアンサンブルが弾く「ます」とモーツァルトの2番カルテット。ズーカーマンのRCAレッドシール移籍第一弾だそうだが、元々このメンバーの顔ぶれはあちこちのフェスティバルなどでは既に有名であり、NHK-BSなどでも何度か放映されていた記憶がある。ますの方は伸び伸びとした本来の曲想に忠実であるが、ズーカーマンの渋くふくよかな弓捌き、それとなんといってもブロンフマンの精細かつ統制の効いたピアノが光る。
(MusicArena 2008/9/1)
人気ブログランキング
♪ よい音楽を聴きましょう ♫