日曜のランチの様子。
まずはビール


この週末は蟹の限定をやるとTwitterで告知があった。大阪出張の合間、正確に言うと前泊で大阪に向かう直前にいただくことに。ということで早めに出発、シャッター前をかけるも相当の行列。数えてみたら大丈夫だった。午前中は雨で寒い日だったが、まずはビールだろう。この日の突き出しは味玉にスパイシーな肉味噌がけ。これは超旨く、ビールが無限に入る。
渡り蟹ビスク風&ソフトシェルクラブ
待つこと暫し、ビスク風のラーメンがサーブされる。


なんという料理だろうか。もはやこれはラーメンとは言えない。フランス料理の蟹のビスクにSHIN特製のぱっつん麺を合わせた孤高の料理だ。もともとSHINの麺は硬くて芯がしっかりしているので通常の中華麺とは思われないのだが、こういう欧風スープ料理に合わせると更に本領を発揮する。極めつけは脱皮直後のソフトシェルクラブの素揚げがアドオンされていること。

前回の限定復活のつけ麺は従前にはレギュラーを張った実績ある品なので、プロ野球の投手の球でいえば真ん中低めの重い直球。だが、今回のこれはなんというか、初速145キロからホームベース上で失速し、えげつなく急峻に落ちる高速フォークだ。もう何が何だかわからないうちに三球三振、ぐうの音も出ないといった感じ。気が付いたら麺が終わっていたという構図。

スープは僅かに褐色が入った赤。これはトマトベースに由来する。一掬いするとトップノートはやはりトマトが来る。次いでミドルノートはもろに蟹。同時に煮込んだと思われる香味野菜だろうか、その辺が蟹と相俟って複雑な風味がラストノートとして来る。舌触りは限りなく滑らかで丁寧な仕上がり。シノワで入念にピュレしたというエフォートが確実に結実している。

純生クリームを溶かすと味の表情が変化する。基礎的な骨格は変わらないが、味が落ち着き、蟹の尖った香りがマイルド化されるぶん、蟹自体の旨味・甘味が深く浸潤してくる。もうこの時点で非常に錯綜した滋味が波状攻撃を仕掛けて来てノックアウト。なお、ラーメンといえばチャーシューをトッピングするのが常套だが、今回は敢えて蟹に蟹をあてて来ている。

これは蟹、蟹のオンパレードだ。蟹がこんなにも強い料理は久し振り。ソフトシェルクラブは事前に味が付けてありこれ自体で完結した料理になっているのがさすがだ。下味は特製ハーブ塩とのこと。風味はやはり欧風で、オレガノ、タイム、バジルなどか。ひょっとするとフェンネル等も入るかも知れない。にっちゃり柔らかく、旨味甘味が迸り、風味もお洒落、超絶美味。
リゾット
迂闊にもスープを盛んに啜っていたら、店主から少しセーブするようにとの注意喚起が。欲望を抑えて我慢、相応の量を残した。




その甲斐あって二度目の愉悦に浸ることができた。こうしてリゾット、日本風に言えば雑炊にすると蟹は和の食材でもあることを痛感する。麺とともにいただいて絶品かつ超絶的な味だったのだが、ご飯を浸すとこのスープが日本古来の蟹という食材を溶出していることを改めて認識する。私も家内も無口で無心にひたすら掬って口に運ぶのであった。いや、至福至極。
お店データ

自家製麺 SHIN(新)
横浜市神奈川区反町1-3-8
電話:045-548-3973
営業:11:30~14:30
18:00~21:00(日・月は夜営業なし)
定休:火曜(祝日でも休業)
最寄:東急東横線 反町4分
今日の一曲

変り種のCDで、交響曲3番英雄のピアノ四重奏版と四重奏曲作品16。要は中規模の交響曲をピアノ四重奏にアレンジしたもの。音数はぐっと減ってしまうのは仕方がないが、この編曲ではピアノと弦による旋律と対旋律、通奏低音部がかわるがわる交代するので飽きずに楽しめる。演奏はモーツァルト・ピアノ四重奏団。リリースはドイツMDGレーベル。音質はピュア&ナチュラルで優秀だが、地味すぎてオーディオ的快感は大きくはないかもしれない。
(MusicArena 2007/8/28)
今週の珈琲
我が家の定番、ガテマラのパストレス・ピーベリー。ジェニュインな丸豆なので、独特の深い旨味とグラスが特徴。なお、これを開けて一杯だけ飲んだ後に出張なので帰る頃には消えてなくなっていることだろう。
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