日記の更新が随分と遅れている。これは土曜の記録から。
まずは生ビール

この日の家内は早起きして朝ご飯を早めに食べ、その後は色々とやることがあって忙しかった。少し朝寝坊した私もそこそこの時間に起き出して朝食をとり、こちらも色々とやることが。そうこうしているうちに正午。もう一仕事してからランチに出ることに。どこへ行こうか?と訊いたところ、久し振りに美味しい蕎麦が食べたいという。で、迷わずこちらへ。
肴四品
店に着いたらなんと店内には先客なしという珍しい状況。







お好きなところへどうぞ、と言われるがままに入口の脇の小ぢんまりとしたテーブル席に。生ビール到着と引き換えに蕎麦前をオーダーしていたら後客が次々と入る。花番さんに尋ねたら午前中から凄い入りで一段落付いているところ、とのこと。我々はたまたま運が良かったということらしい。家内は朝が早かったせいか空腹であれもこれも頼むという。どうぞ・・。

オーダーしたのは上の大きな写真の順に、みょうがの梅和え、身欠き鰊の山椒煮、山芋の磯部揚げ、そして鉄板かつ定番の厚焼き玉子。新鮮な茗荷は削ぎ切りにしたものを更に千切りにしてあって、それを梅肉と出汁を加えて和え、上から多量の鰹節を振りかけている。思ったほど酸味は強くなくて茗荷の土臭さも適度に残り、梅の爽やかさも奏功しビールが進む。

残りのオーダー品はグランドメニューにある定番の品々であって安定と信頼の美味のハーモニーを奏でている。身欠き鰊は従前にも増して山椒の実がたくさん入りぴりっと感が良い。ここでビールが尽きてしまい、これまた定番の〆張鶴を出してもらう。しかし、この鰊は罪作りでお酒のピッチは落ちないのだ。そして揚げたて熱々の山芋が出る。これは実にいけない。

輪切りの山芋に青海苔粉末を振りかけて素揚げというスタイルもあるが、小嶋屋は芋を丁寧に擂りおろし、粘性を出してから板海苔に包んで小判型に整形し、ざっと揚げる。これにまた舌鼓を打つ。〆張鶴が尽きてしまったところで家内は自らの故郷の銘酒=十四代をリクエスト。当然に沁み入る旨さだ。そして定番・厚焼き玉子のほっこりした美味は言わずもがな。
変わりそば:よもぎ切り
店内だが、後客が数組入り、いつもの風景。



こちらは家内のオーダーで変わり蕎麦。もう終わっていたかと思ったが、春先の定番=よもぎ切り。深緑の鮮やかな色合い、そして野草ならではの風味が独特だがベースは更科なのでどんな植物素材でも素直に受け入れて蕎麦として成立している。少し味見させてもらったが、更科なのに蕎麦の風味が残り、そこに蓬の草臭いフレッシュな風味が乗り移って絶妙な味わい。
もり+穴子の天ぷら
私は定番の天せいろにしようかと思ったが、壁に貼ってあるメニューが気になった。



花番さんに今日の天せいろには穴子は入るかと問うた。そうしたら、
いいえ、入りませんとキッパリ言われたので、単品のもり=盛り蕎麦に単品の穴子天ぷらを一皿つけてもらうことにした。盛り蕎麦と天ぷらは同時にサーブ。大型で身の厚い穴子は半分に割り更に三等分に割ってサーブ。揚げ油がまだじりじりと音をたて、得も言われぬ芳香が周囲を覆う。

まずは冷たく締め上げられた挽ぐるみ蕎麦を頂こうと蕎麦猪口に薬味を入れて整えていたら家内が
一つよろしいかしら?との発声よろしく穴子が瞬時にして一切れ消えた。私が一口目に取り掛かる前にもう一切れ持って行かれてしまった。曰く、
蓬には穴子がとても合うわ・・ということだそうだ。それほど人の心をそそる美味しい穴子だったというわけ。

そして私も穴子と共に挽きぐるみ蕎麦を頂く。この蕎麦は実に香りが良く、蕎麦汁なしで塩でいただきたいくらい。特段に強烈な蕎麦臭ではないにせよ、薫り立つこの芳香は和の神髄。この日は腹ペコだった家内の欲するままに美味しい蕎麦前、銘酒も堪能し、そして絶品の蕎麦を心行くまで楽しんだ。こんな超美味なランチを頂いていると人間が駄目になりそうだ。
お店データ

三吉橋 小嶋屋
横浜市南区中村町3-188-9
電話:045-261-0391
営業:11:30~15:30、17:00~20:00
定休:月曜
最寄:市営BL阪東橋8分、伊勢佐木長者町11分
京急黄金町13分
今日の一曲

ゲルギエフ/VPO:チャイコフスキー交響曲第4番。最終楽章、アレグロ・コン・フオコ。変則的なロンド形式とされるが私が聴くところ中間部過ぎまではソナタ形式と思われる。導入部は強い総奏(トゥッティ)で始まり、これは他の作家の交響曲や協奏曲でもあまり例のないスタイル。私がこの曲が好きなのはこういう型に嵌らない自由な気風だ。ゲルギエフのタクトは非常に速く、VPOが面喰っているが途中からキャッチアップしてくるのはさすがだ。そして荒れもなく美しいという離れ業を繰り出す。圧倒的な名演だ。
(MusicArena 2006/11/16)
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