Schubert: P-Quintet ''Trout'' Etc.@Zukerman Chamber Players |
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・シューベルト:ピアノ五重奏曲イ長調 D.667『ます』
・モーツァルト:ピアノ四重奏曲第2番変ホ長調 K.493
イエフィム・ブロンフマン(ピアノ)
ズーカーマン・チェンバー・プレイヤーズ
ピンカス・ズーカーマン(ヴァイオリン)
ジェスロ・マーカス(ヴィオラ)
アマンダ・フォーシス(チェロ)
ジョエル・キャリントン(コントラバス)
ズーカーマンのRCAレッドシール移籍(?)第一弾だそうだが、元々このメンバーの顔ぶれはあちこちのフェスティバルなどでは既に有名であり、NHK-BSなどでも何度か放映されていた記憶がある。
ますの方は伸び伸びとした本来の曲想に忠実であるが、ズーカーマンの渋くふくよかな弓捌き、それとなんといってもブロンフマンの精細かつ統制の効いたピアノが光る。テンポは中庸ないし少々ゆっくり目だ。実に穏やかで肩の力が抜けた好演だ。
モーツァルトのカルテットの方は一転して溌剌として愉快、華やいだモーツァルトらしい解釈だが、基本は角張らない滑らかな展開、しかしべとついたレガートではなく清潔なマルカート基調の好演だ。割とテンポ取りは速めだが、急ぎすぎないモデレートな弾き込みでなんとも絶妙な疾駆感も味わえる。
どちらも円熟した演奏内容、盤石の演奏であり、安心出来る佳作に仕上がっている。大規模オケやコンチェルトの強い刺激に辟易した折りには口直しならぬ耳直しとして好適な一枚。
(録音評)
RCA Red Seal、88697160442、通常CD。録音は2007年5月、モントリオール、マギル大学シューリック音楽院マルチメディア・ルームとある。このレーベルはこのところ好録音を幾つか連発しており元気が戻ってきた感がある。
RCAレッドシールはSONY BMGが所有するレーベルであるが、ソニー・ブランド単体で販売されるCDとは音質は全く異なっている。どちらかというと渋めでブリリアントが少なく、荒れも少ない大人のサウンドである。昨今で名声を博したものとしてはジンマンTOZのマーラー・チクルスが挙げられる。あれらはSACDハイブリッドの落ち着いた高音質録音であったが、このCDにおいても渋さと奥深さは共通している。
右手の奥まった位置にピアノが明確に、しかし控えめに定位し、手前にはVn、Va、そして中間位置にVc(ますはCbも)が立体的に定位する。音色は前述の通り渋めでブリリアンスが少なく、落ち着いた音調だ。しかしよくよく聴くとボディ・マスがしっかりと押さられており、なかなかの解像度を持った太い録音だ。
どうもこの一連のSONY BMG盤は聴く環境により音質傾向が大きく変化するらしく、どこででも一定水準以上の音質が得られるとは限らないらしい。その点を含み置き出来るならお勧めできる好演奏・高音質盤である。
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