2008年 08月 01日
Fabio Luisi, PMF O.@Suntory H. |
今年もPMFのシーズンが巡ってきた。去年はサントリーが大規模改修工事中で、代わりに渋谷Bunkamuraのオーチャードで演奏されたのだが今年は新装なったサントリーへ戻ってきた。取引先が永らくPMFを協賛している関係でいつもS席優待券を頂くのだが今年の席は感慨深かった(後述する)。


1. R. シュトラウス 交響詩「ドン・キホーテ」作品35
2. ベルリオーズ 幻想交響曲 作品14
ファビオ・ルイージ(指揮)、PMFオーケストラ
※1.ヤン・フォーグラー(Vc)、※1.ダニエル・フォスター(Va)
指揮は、去年がムーティ、一昨年がゲルギエフ、その前がネルロ・サンティ、その前がゲル・・、と、アダルト路線で来たのだが今年は一気に若返ってルイージだ。ルイージはかの世界最古のオケ、シュターツカペレ・ドレスデンの主席、その前はMDRやウィーン響を振っていた人物。MDRエディションでCDも多数出している。
去年は金管が非常に巧かったのだが今年はイマイチだった。代わりに弦が抜群に巧かった。去年:http://musicarena.exblog.jp/7450625
しかし、ドンキも幻想も解釈、演奏ともに難しい曲で、良くこの二つをカップリングしたものだと思う。普通はどちらか一方をメインディッシュにして、前座にモツ、ベト、チャイなどの短めの交響曲を持ってくるのだが、これはまるで両A面という雰囲気だ。
ドンキのアインザッツでは木管(Fl、Cl以外)が全然揃っていなくてグダグダだった。金管では意外にHrが健闘していたが、まぁ普通。Fg、C-Fgが頑張っていたがタンギングは巧くない。なんと言っても1st Vnが10プルト、両翼配置の2nd Vnが8プルト(いずれも目測)が大迫力で、ブラスの咆哮を簡単にマスクしてしまうその大音量に呆れ果てる。そして10本という前例がないほど多く林立するCbがゴリっていて凄い迫力だ。ま、去年よりはデコボコのある前半だったが。
20分のブレークを挟んだ幻想では一気にルイージの制御力が全体に浸透し素晴らしい集中を見せた、アインザッツ、リリースともに寸分の狂いもなく決まって行った。野辺での木管独奏も何とか綺麗に乗り切っていよいよ断頭台へ・・。Hr、Tp、Tbともに昨年の水準を大きく下回るパフォーマンスがここで露呈してしまった。Fgは頑張ってタンギングを連発はしているがいかにも苦しいしFlやObも音量が全然足りていない。特にHrだが、一瞬の静寂の頭でソロで出張る場面で、破綻の恐怖からかffで吹き出せず、蚊の鳴くような情けないppの音。Tp、Tbともに恐る恐るという吹き出しが頂けなかった。破綻を恐れずもっと男前にドーンと行けば良かったと思うが。但し、例外的にTuが巧く、しかも堂々とドッシリ吹き出していたのは印象的だった。そしてフィナーレの魔女、ここはパーカッションの独壇場で、澄んで明瞭な鐘(ハンマー)、そしてなんと言ってもツイン・グランカッサの強打連打、ティンパニの乱れ打ちの巧さが光る場面だ。金管隊も多少破綻しながらもガッツリ吹いていたのは好印象。但し巧くはないが。
(音質評)
CDではなくホールの所感であるから、録音評ではなく音質評とする。
このサントリー・ホールだが、実は色々と事情があって改修後は今回初めて聴いたのだが、とにかく全然違う音に仕上がっていて驚いてしまった。
Web等を見ても改修後のホール音質がどうなったのかというインプレッションを見つけることが出来ないほど話題にすら上らない様だし、担当した永田音響設計も以前の音響を変えないようにリニューアル施工したとしているから尚更か。
しかし、壁などの木部の張り替えは予想以上の音質向上をもたらしており、以前のような甘ったるい暈けたフォーカスはなくなり、鋭いビームが飛び交う新世代の高解像度サウンドへと変貌したのだ。低域の透明度が明らかに増し、中域の混濁が皆無となってS/Nが明らかに向上、そして以前であればトゥッティでビリ付いてクリップしていた(歪んでいた)空間が底無しのダイナミックレンジを獲得しているのだ。
以前からの明るく感じの良いプレゼンスはそのまま存置され、メロゥで中途半端、女性的な混濁した部分が削ぎ落とされてバリバリの高音質ホールとなった。以前だとステージに向かって右側の音質は概して悪く、そして左側で高音質が享受できるという特性があったのだが、この改修を通じてブロードな音質となったことが確認できた。因みに座席は1階14列39番という右端の席であったが、Cbの極低音がストレートに耳に届くというのは以前には見られなかった現象だ。これで名実共に日本一のホールになったと言うべきか・・。
しかし、こんなに音質が変わってしまって良いものなのか? 以前のサントリーのメロゥなサウンドを絶賛していた人たちはどう感じているのだろうか?
1日1回、ポチっとクリック ! お願いします。



1. R. シュトラウス 交響詩「ドン・キホーテ」作品35
2. ベルリオーズ 幻想交響曲 作品14
ファビオ・ルイージ(指揮)、PMFオーケストラ
※1.ヤン・フォーグラー(Vc)、※1.ダニエル・フォスター(Va)
指揮は、去年がムーティ、一昨年がゲルギエフ、その前がネルロ・サンティ、その前がゲル・・、と、アダルト路線で来たのだが今年は一気に若返ってルイージだ。ルイージはかの世界最古のオケ、シュターツカペレ・ドレスデンの主席、その前はMDRやウィーン響を振っていた人物。MDRエディションでCDも多数出している。
去年は金管が非常に巧かったのだが今年はイマイチだった。代わりに弦が抜群に巧かった。去年:http://musicarena.exblog.jp/7450625
しかし、ドンキも幻想も解釈、演奏ともに難しい曲で、良くこの二つをカップリングしたものだと思う。普通はどちらか一方をメインディッシュにして、前座にモツ、ベト、チャイなどの短めの交響曲を持ってくるのだが、これはまるで両A面という雰囲気だ。
ドンキのアインザッツでは木管(Fl、Cl以外)が全然揃っていなくてグダグダだった。金管では意外にHrが健闘していたが、まぁ普通。Fg、C-Fgが頑張っていたがタンギングは巧くない。なんと言っても1st Vnが10プルト、両翼配置の2nd Vnが8プルト(いずれも目測)が大迫力で、ブラスの咆哮を簡単にマスクしてしまうその大音量に呆れ果てる。そして10本という前例がないほど多く林立するCbがゴリっていて凄い迫力だ。ま、去年よりはデコボコのある前半だったが。
20分のブレークを挟んだ幻想では一気にルイージの制御力が全体に浸透し素晴らしい集中を見せた、アインザッツ、リリースともに寸分の狂いもなく決まって行った。野辺での木管独奏も何とか綺麗に乗り切っていよいよ断頭台へ・・。Hr、Tp、Tbともに昨年の水準を大きく下回るパフォーマンスがここで露呈してしまった。Fgは頑張ってタンギングを連発はしているがいかにも苦しいしFlやObも音量が全然足りていない。特にHrだが、一瞬の静寂の頭でソロで出張る場面で、破綻の恐怖からかffで吹き出せず、蚊の鳴くような情けないppの音。Tp、Tbともに恐る恐るという吹き出しが頂けなかった。破綻を恐れずもっと男前にドーンと行けば良かったと思うが。但し、例外的にTuが巧く、しかも堂々とドッシリ吹き出していたのは印象的だった。そしてフィナーレの魔女、ここはパーカッションの独壇場で、澄んで明瞭な鐘(ハンマー)、そしてなんと言ってもツイン・グランカッサの強打連打、ティンパニの乱れ打ちの巧さが光る場面だ。金管隊も多少破綻しながらもガッツリ吹いていたのは好印象。但し巧くはないが。
(音質評)
CDではなくホールの所感であるから、録音評ではなく音質評とする。
このサントリー・ホールだが、実は色々と事情があって改修後は今回初めて聴いたのだが、とにかく全然違う音に仕上がっていて驚いてしまった。
Web等を見ても改修後のホール音質がどうなったのかというインプレッションを見つけることが出来ないほど話題にすら上らない様だし、担当した永田音響設計も以前の音響を変えないようにリニューアル施工したとしているから尚更か。
しかし、壁などの木部の張り替えは予想以上の音質向上をもたらしており、以前のような甘ったるい暈けたフォーカスはなくなり、鋭いビームが飛び交う新世代の高解像度サウンドへと変貌したのだ。低域の透明度が明らかに増し、中域の混濁が皆無となってS/Nが明らかに向上、そして以前であればトゥッティでビリ付いてクリップしていた(歪んでいた)空間が底無しのダイナミックレンジを獲得しているのだ。
以前からの明るく感じの良いプレゼンスはそのまま存置され、メロゥで中途半端、女性的な混濁した部分が削ぎ落とされてバリバリの高音質ホールとなった。以前だとステージに向かって右側の音質は概して悪く、そして左側で高音質が享受できるという特性があったのだが、この改修を通じてブロードな音質となったことが確認できた。因みに座席は1階14列39番という右端の席であったが、Cbの極低音がストレートに耳に届くというのは以前には見られなかった現象だ。これで名実共に日本一のホールになったと言うべきか・・。
しかし、こんなに音質が変わってしまって良いものなのか? 以前のサントリーのメロゥなサウンドを絶賛していた人たちはどう感じているのだろうか?
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by primex64
| 2008-08-01 10:48
| Concert/Recital
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Trackback
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Comments(2)
primex64様こんにちは。
ただいま東京から離れているので、改修後にまだ私はサントリーホールに行けていません。「好評な音響は変えないように・・・うんぬん」という説明を読んだ時、個人的には「変えて欲しい」と思っていました。私のまわりのクラシック好き達にもサントリーの音響に不満があるという人は多かったです。表向きは「変えない」と言いつつ、「実はこっそり変えていた」なんてコトになってないかなぁと思っていたので、primex64さんの感想を読んで、嬉しくなりました。年末に行く予定があるので楽しみです。
ただいま東京から離れているので、改修後にまだ私はサントリーホールに行けていません。「好評な音響は変えないように・・・うんぬん」という説明を読んだ時、個人的には「変えて欲しい」と思っていました。私のまわりのクラシック好き達にもサントリーの音響に不満があるという人は多かったです。表向きは「変えない」と言いつつ、「実はこっそり変えていた」なんてコトになってないかなぁと思っていたので、primex64さんの感想を読んで、嬉しくなりました。年末に行く予定があるので楽しみです。
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隊長さん、お世話さまです!
中京・近畿方面のコンサートもなかなかに盛んのようですね。
サントリーですが、いやはやですわ! 開館20年にしてハイスピードで胸の空くような高性能ホールへ変身、ビックリでしたよ。年末まで楽しみにお待ち下さいね♪
中京・近畿方面のコンサートもなかなかに盛んのようですね。
サントリーですが、いやはやですわ! 開館20年にしてハイスピードで胸の空くような高性能ホールへ変身、ビックリでしたよ。年末まで楽しみにお待ち下さいね♪




