Marais: Suitte d'un Goût Etranger@Jordi Savall |
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Marin Marais:
Suite in a Foreign Style (Suitte d'un Goût Etranger)
Pierre Hantaï (harpsichord)
Xavier Díaz-Latorre, Rolf Lislevand (theorbs, guitars)
Philippe Pierlot (bass viol)
Andrew Lawrence-King (harp 'di tre ordine')
Pedro Estevan (percussion)
Jordi Savall (bass viol)
マラン・マレ:異国趣味の組曲(全33曲)(ヴィオール曲集第4巻より)
ジョルディ・サヴァール(Gamb)
ピエール・アンタイ(Cemb)
シャビエル・ディアス=ラトーレ(テオルボ、G)
ロルフ・リスレヴァンド(テオルボ、G)
フィリップ・ピエルロ(Gamb)
アンドルー・ローレンス=キング(Hrp)
ペドロ・エステヴァン(Perc)
フランスのバロック作家で名ヴィオール奏者だったマレの作品では「スペインのフォリアによる32の変奏曲」が良かったのだが、この異国~も聴いてみたかった曲。サヴァールは、以前には抜粋版をリリースしていたらしいが今回は最も新しい研究成果に基づいて7名構成の合奏にして全33曲を収める。
輸入元・キングの解説によると異国趣味とは、どうやら英国のことを指すらしいのだが、まぁ、そう言った風情よりはバッハやパッヘルベルといったバロック時代の典雅で素朴な香りが印象的だ。マラン・マレはバッハよりも30年ほど早く世に出た人であり、恐らくはこの時代の他の作家へ少なくない影響を及ぼしたのだと思う。
私自身この時代の作品にはあまり知見はないが、アルマンド、サラバンド、ガヴォット、ジーグ、ロンド、ミュゼット、アラベスク等、クーラントを除きその後の世代で確立される音楽様式を未完成ながら備えており、合奏組曲としては楽章ごと十分にバリエーションが楽しめる構成だ。バッハやテレマン、ヴィヴァルディなどの管弦楽組曲を更に簡素、ストレートにして対位法的スケールを縮小した格好の小規模組曲であって、ドラマティックな盛り上がりには欠けるがこれはこれで生なりの風合いでよろしい。
サヴァールの研究と解釈が当時の演奏様式を忠実に再現したものなのかどうかは正直分からないが、バッハ等の組曲と対比するなら大型の太鼓が民族音楽的に不躾に乱入するジーグなどはちょっと雰囲気が違う気がする。しかし、野放図な低音が響き渡る中をサヴァールのバス・ド・ヴィオールが甘美に啜り泣く情景はなかなか良い雰囲気だし、アンタイのチェンバロがまた哀愁を醸していてよろしい。
(録音評)
ALIAVOXレーベル、AVSA-9851、SACDハイブリッド、2枚組。音質はいつものALIAVOXであって極めて優秀。オンマイクで音像が膨張気味ながら残響が豊かで音場展開も広大、一種独特の雰囲気である。ヴィオール属の甘い弦がリアルに鳴り響くし、パーカッションの超低域もカットされることなくフラットに捕捉されている。いつもながら感心することだが、このレーベルの醸す楽器と奏者の実在感は凄まじく、また品位と音調もぶれることなく一定だ。
CDレイヤーとSACDレイヤーの音質差は殆ど無くどちらも優秀だが、CDレイヤーの方は楽器音が少しソリッドな印象がある。
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