2008年 07月 10日
Beethoven: P-Sonatas Vol.6@András Schiff |
ECMの輸入新譜からシフのベートーヴェンPソナタの第6巻。シフはこのところベートーヴェンのチクルス録音を時系列的にやっていて、ソナタ集の1~5巻はすこぶる評判がよろしい様なので6巻を摘み食いしてみた。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/2703426
(国内盤はこちら↓)

ベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全集 Vol.6
ピアノ・ソナタ 第22番 ヘ長調 作品54
ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 作品57「熱情」
ピアノ・ソナタ 第24番 嬰ヘ長調 作品78「テレーゼ」
ピアノ・ソナタ 第25番 ト長調 作品79「郭公」
ピアノ・ソナタ 第26番 変ホ長調 作品81a「告別」
アンドラーシュ・シフ(Pf)
アンドラーシュ・シフはデビューして30年ちょっとになるだろうか。同じハンガリー出身のデジェー・ラーンキ、ゾルターン・コシチュと共にハンガリーの三皇子、または三羽烏などと持て囃された時期があった。ラーンキが甘いマスクでご婦人方に人気があったが超絶技巧のシフもなかなかの人気であったと思う。
私がまだ学生だった頃、このアルバムに入っている熱情、並びに月光、悲壮というプログラムを東京文化かNHKホールだったかで聴いた記憶がある。同じ様なプログラムをほぼ同時期にコシチュも東京でやっていてそれも聴きに行った。どちらも若きヴィルトゥオーゾという感じで精悍に弾き倒していた。
あれから数十年の歳月が過ぎ去ったわけだが、このアルバムに聴くシフのベートーヴェンはなるほど世間の評判を取るほど完成された解釈である。特に若い頃に超高速パッセージを鮮烈に刻んでいた熱情はその面影はなく、透徹されたマルカートを基本とした洞察性の高い譜読みと共に人肌を感じる熱情であって、狂気がなりを潜めたかなり抑制的な弾き方だ。しかし、情念の激しい表出は相変わらず強く出していてこれは若い頃と変わらない。
仄暗いセンチメンタリズムが全編を覆う告別がこのシフのアルバムの真骨頂とも言えようか。メンタリズムとコントロールを両立させた素晴らしい展開で、瞑想的かつ丹念な描き込みだ。
全体を通してノン・レガートで取り組んだ清潔なベートーヴェンだが所々でペダルの使い方が深すぎる気もする。しかし、使用されたピアノがアンジェロ・ファブリーニ(註:イタリアのピアノ調律師だが、スタインウェイとベーゼンドルファーの音質改造も手掛け、ポリーニが演奏会で用いる楽器で特に有名)のチューン(恐らくスタインウェイがベースと思うが・・)による極上の音色を出しているので寧ろサスティン音が美点とも言える。
ファブリーニのスタインウェイとベーゼンを使い分けているというチクルスの他の巻も気になってくる演奏であった。
余談: 幼少期から「郭公」の三楽章ヴィヴァーチェとショパン・エチュードop25#9「胡蝶」がそっくりだと思っているが今回もその意を新たにした。郭公の各フレーズの最後にある「DC↓AHD---」の5つの音を省いてくっつけると胡蝶と殆ど同じ旋律になる。ショパンが郭公から拝借したとしか思われない・・・w
(録音評)
ECMレーベル、4766187、通常CD。Live recording from Zurich’s Town Hall, produced by Manfred Eicherとある。チューリッヒ・トーンハレでのライブ収録とのことだが、スタジオ録りと区別が付かないくらいS/Nは高く克明な録り方。音質的には取り立てて高解像度というわけではないがAngelo Fabbriniの美音ピアノが遺憾なく楽しめる。この特製ピアノ、中高域の質感は独特のまろび出る雰囲気がファツィオリにそっくりだ。
1日1回、ポチっとクリック ! お願いします。


http://www.hmv.co.jp/product/detail/2703426
(国内盤はこちら↓)
ベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全集 Vol.6
ピアノ・ソナタ 第22番 ヘ長調 作品54
ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 作品57「熱情」
ピアノ・ソナタ 第24番 嬰ヘ長調 作品78「テレーゼ」
ピアノ・ソナタ 第25番 ト長調 作品79「郭公」
ピアノ・ソナタ 第26番 変ホ長調 作品81a「告別」
アンドラーシュ・シフ(Pf)
アンドラーシュ・シフはデビューして30年ちょっとになるだろうか。同じハンガリー出身のデジェー・ラーンキ、ゾルターン・コシチュと共にハンガリーの三皇子、または三羽烏などと持て囃された時期があった。ラーンキが甘いマスクでご婦人方に人気があったが超絶技巧のシフもなかなかの人気であったと思う。
私がまだ学生だった頃、このアルバムに入っている熱情、並びに月光、悲壮というプログラムを東京文化かNHKホールだったかで聴いた記憶がある。同じ様なプログラムをほぼ同時期にコシチュも東京でやっていてそれも聴きに行った。どちらも若きヴィルトゥオーゾという感じで精悍に弾き倒していた。
あれから数十年の歳月が過ぎ去ったわけだが、このアルバムに聴くシフのベートーヴェンはなるほど世間の評判を取るほど完成された解釈である。特に若い頃に超高速パッセージを鮮烈に刻んでいた熱情はその面影はなく、透徹されたマルカートを基本とした洞察性の高い譜読みと共に人肌を感じる熱情であって、狂気がなりを潜めたかなり抑制的な弾き方だ。しかし、情念の激しい表出は相変わらず強く出していてこれは若い頃と変わらない。
仄暗いセンチメンタリズムが全編を覆う告別がこのシフのアルバムの真骨頂とも言えようか。メンタリズムとコントロールを両立させた素晴らしい展開で、瞑想的かつ丹念な描き込みだ。
全体を通してノン・レガートで取り組んだ清潔なベートーヴェンだが所々でペダルの使い方が深すぎる気もする。しかし、使用されたピアノがアンジェロ・ファブリーニ(註:イタリアのピアノ調律師だが、スタインウェイとベーゼンドルファーの音質改造も手掛け、ポリーニが演奏会で用いる楽器で特に有名)のチューン(恐らくスタインウェイがベースと思うが・・)による極上の音色を出しているので寧ろサスティン音が美点とも言える。
ファブリーニのスタインウェイとベーゼンを使い分けているというチクルスの他の巻も気になってくる演奏であった。
余談: 幼少期から「郭公」の三楽章ヴィヴァーチェとショパン・エチュードop25#9「胡蝶」がそっくりだと思っているが今回もその意を新たにした。郭公の各フレーズの最後にある「DC↓AHD---」の5つの音を省いてくっつけると胡蝶と殆ど同じ旋律になる。ショパンが郭公から拝借したとしか思われない・・・w
(録音評)
ECMレーベル、4766187、通常CD。Live recording from Zurich’s Town Hall, produced by Manfred Eicherとある。チューリッヒ・トーンハレでのライブ収録とのことだが、スタジオ録りと区別が付かないくらいS/Nは高く克明な録り方。音質的には取り立てて高解像度というわけではないがAngelo Fabbriniの美音ピアノが遺憾なく楽しめる。この特製ピアノ、中高域の質感は独特のまろび出る雰囲気がファツィオリにそっくりだ。
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by primex64
| 2008-07-10 10:35
| Solo - Pf
|
Trackback
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Comments(5)
ベート-ヴェンのソナタはよく作られていますね。
年代を追うたびに、新しいことを付け加えていって
深い深い精神性を追求しているかのごとくに見えます。
本当は何を考えていたのか、分かるはずもありません。
世紀を超えて聴かれる音楽ってやっぱり何かが違うのですね。
作りたての時代の演奏がどうであったのか、それはさておいても、
シフの演奏もすごい。
音楽って本当にうれしいですねー。
今日もスマイル
年代を追うたびに、新しいことを付け加えていって
深い深い精神性を追求しているかのごとくに見えます。
本当は何を考えていたのか、分かるはずもありません。
世紀を超えて聴かれる音楽ってやっぱり何かが違うのですね。
作りたての時代の演奏がどうであったのか、それはさておいても、
シフの演奏もすごい。
音楽って本当にうれしいですねー。
今日もスマイル
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kawazukiyoshiさん、コメント有り難うございます。
ベートーヴェンの作品ではやはりピアノ曲が白眉と思います。自分の私的な心情から音楽様式美の追求まで、非常に幅が広いテーマを内包していると思います。歳を取ってくると若い頃に様な直情的、all or nothing な聴き方ではなくて、中間階調を味わうような聴感に変化するようで、割とベートーヴェンのソナタにも浸ることが出来ています。
ベートーヴェンの作品ではやはりピアノ曲が白眉と思います。自分の私的な心情から音楽様式美の追求まで、非常に幅が広いテーマを内包していると思います。歳を取ってくると若い頃に様な直情的、all or nothing な聴き方ではなくて、中間階調を味わうような聴感に変化するようで、割とベートーヴェンのソナタにも浸ることが出来ています。
私も少しだけ、素人なりの曲を書きます。
酷いものが多いのですが、
228は気に入っていて、書き直さないと言っていたのですが、
ちょこっと、またおたま拍子を増やしたり、
なかなかこれだっと言うところにはなりません。
ベートーヴェンと違って、思い切りが悪いのでしょう。
うっふっふ
今日もスマイル
酷いものが多いのですが、
228は気に入っていて、書き直さないと言っていたのですが、
ちょこっと、またおたま拍子を増やしたり、
なかなかこれだっと言うところにはなりません。
ベートーヴェンと違って、思い切りが悪いのでしょう。
うっふっふ
今日もスマイル
作品「228」、今、じっくり全曲を聴かせて頂きました。感想はkawazuさんのところに書かせて頂きますね。
すばらしいコメントをありがとうございます。
ほんの少しだけ手を入れましたから、またいつかブログに立ち上げます。
きちんと聞いてくださって有難いばかりです。
ケンプのベートーヴェンも好きなんです。
ちょっと出かけてきます。
今日もスマイル
ほんの少しだけ手を入れましたから、またいつかブログに立ち上げます。
きちんと聞いてくださって有難いばかりです。
ケンプのベートーヴェンも好きなんです。
ちょっと出かけてきます。
今日もスマイル




