2008年 07月 08日
Mahler: Sym#6@Gergiev/LSO |
買いそびれていた春のLSO Liveの新譜をようやく聴いた。ゲルがLSOの第15代首席指揮者に就任して一年ちょっと経ち、突如リリースされた感のあるマラ6である。今回この盤と夏の新譜マラ1が同時に届いた。マラ6からゲルのチクルスが始まるらしく久々に期待が高まる。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/2679657
マーラー: 交響曲 第6番 イ短調 「悲劇的」
ワレリー・ゲルギエフ/ロンドン交響楽団
結論としてゲルの芸風は、マーラーの作風に実に合っていたというお話だ。これはゲルのファンには溜まらないゲルらしさ爆発の渾身の出来、アンチ派からすればイマイチ、またはダメダメといったところだろうか。
冒頭一楽章から激しく咳き込む暗鬱な地獄の4分音符を刻むあたり、一瞬にして普通の演奏でないことが分かる。ゲルの分裂気味な精神構造が一気に表出していて逆にニンマリしてしまう。音楽の方は噎ぶような弦セクションが蕩々と通奏低音を刻む中、狂気のホーンセクションが咆哮しまくる。そしてこの異常な高速安定性能はゲルならではの特徴的すぎる特徴だ。
二楽章にはヤンソンス解釈と同様にアンダンテ・モデラートを持ってきている版を使用している。なんとも寂寥感のある、そして中間部は少し明るく落ち着けるアンダンテだが、何ともないようなフレーズの随所には小刻みなルバートと巧みなデュナーミクが仕掛けられていてドロドロとしたやるせなさを呪術的に演出している。
三楽章にはスケルツォを配している。緩徐な二楽章を挟み、例の地獄の4分音符が3拍子に姿を変えてリフレインする。つまりこの版の方がより悲劇的な風情が際立つのだ。ティンパニとグランカッサの連打、一楽章の木管セクションによる旋律を弦セクションが引き継いで重層的に悲劇を紡いでいく。
最終楽章は例によってチェレスタの「チャララ~ン・・」ではじまるのだが、この印象的なスケールとハープのアルペジオがこれから始まる一大スペクタクルを予感させゾクゾク来るのだ。この序奏の間合いにおけるゲルの演出は素晴らしく、パウゼにフェルマータを掛けて気合いを入れる。悲壮で暗鬱な旋律が弦により刻まれ始め、カウベルの嘶きを挟みつつ連続的に第一主題に突入、ホルンの牧歌的な咆哮を挟み序奏部の展開旋律がちょっと見えたところでバンダ的に遠くから鳴り響く鐘だ。一気に破滅に向かう如くの狂気の行進がひたすら規則的なリズムで進行、そしてまた鐘、しばしのパウゼと微かな生命の残滓を引きずりながらまたまたホーンの咆哮とティンパニ乱打、突然地獄へ突き落とすドスの効いたグランカッサ、またホーンの叫び、ティンパニ攻撃・・・。
Vnは両翼配置、Vcは中央、Vaは右、Cbはちょっと変則で中央やや左の奥に陣取り、左右にダブル・ティンパニ、右側にグランカッサ、スネア、トライアングル、左手遠方に鐘(ハンマー)という主なる配置で、特に全編を通してのCbの劇的な脈動に焦点を置いた演出効果が抜群。曲全体を支配する疾駆感がゲルならではの求道的で神経症的、繊細かつ大胆な解釈を支えている。
これから進むであろうチクルス録音が楽しみである。
(録音評)
LSO Liveレーベル、LSO0661、SACDハイブリッド、2007年11月22日 ロンドンのバービカン・ホールでのDSDライブ収録。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニア:ジョナサン・ストークス&ニール・ハッチンソンとある。
こんな録音はいまだかつて聴いたことがない。凄まじい臨場感、いや、ホールに座ってステージを眺めながら聴いているのと何ら変わりないのである。まさに新世紀の録音だが、超絶、圧倒的、超高音質、ハイパー・ディテール、超ワイドレンジ・・、等々、どういう語句を使って形容したって陳腐な表現にならざるを得ないのだ。今年に入ってSACDの威力を存分に発揮する超優秀録音を多く聴いてきたが、この盤はこれらをも霞ませる程ずば抜けている。
CDレイヤーも健闘していてなかなかに鮮烈な音だ。SACDレイヤーを聴かなければこちらも間違いなく超優秀録音だが、SACDの方のビームがあまりに生っぽくて勝負にならない。透明度の高いサウンドステージに、鐘やトライアングル、カウベルと言った微細な響きがまさに本物以外の何ものでもないのだ。
このLSO LiveシリーズはClassic Sound Ltd.というロンドンの会社が録音を担当している。DECCAをスピンアウトした二人が興した会社 http://www.classicsound.net/center.htm で、いままで多くの実績を残している。Polyhymnia Internationalも優秀だが、ここも非常に優秀なレコーディング・ファームと言える。
ともかくこのハイブリッド盤は実際に聴いてみるしかその真価を知る方法はない。もしこの盤が巧く再生できないようならば、装置のコンディションまたは品位を疑うべきだ。
1日1回、ポチっとクリック ! お願いします。


http://www.hmv.co.jp/product/detail/2679657
マーラー: 交響曲 第6番 イ短調 「悲劇的」
ワレリー・ゲルギエフ/ロンドン交響楽団
結論としてゲルの芸風は、マーラーの作風に実に合っていたというお話だ。これはゲルのファンには溜まらないゲルらしさ爆発の渾身の出来、アンチ派からすればイマイチ、またはダメダメといったところだろうか。
冒頭一楽章から激しく咳き込む暗鬱な地獄の4分音符を刻むあたり、一瞬にして普通の演奏でないことが分かる。ゲルの分裂気味な精神構造が一気に表出していて逆にニンマリしてしまう。音楽の方は噎ぶような弦セクションが蕩々と通奏低音を刻む中、狂気のホーンセクションが咆哮しまくる。そしてこの異常な高速安定性能はゲルならではの特徴的すぎる特徴だ。
二楽章にはヤンソンス解釈と同様にアンダンテ・モデラートを持ってきている版を使用している。なんとも寂寥感のある、そして中間部は少し明るく落ち着けるアンダンテだが、何ともないようなフレーズの随所には小刻みなルバートと巧みなデュナーミクが仕掛けられていてドロドロとしたやるせなさを呪術的に演出している。
三楽章にはスケルツォを配している。緩徐な二楽章を挟み、例の地獄の4分音符が3拍子に姿を変えてリフレインする。つまりこの版の方がより悲劇的な風情が際立つのだ。ティンパニとグランカッサの連打、一楽章の木管セクションによる旋律を弦セクションが引き継いで重層的に悲劇を紡いでいく。
最終楽章は例によってチェレスタの「チャララ~ン・・」ではじまるのだが、この印象的なスケールとハープのアルペジオがこれから始まる一大スペクタクルを予感させゾクゾク来るのだ。この序奏の間合いにおけるゲルの演出は素晴らしく、パウゼにフェルマータを掛けて気合いを入れる。悲壮で暗鬱な旋律が弦により刻まれ始め、カウベルの嘶きを挟みつつ連続的に第一主題に突入、ホルンの牧歌的な咆哮を挟み序奏部の展開旋律がちょっと見えたところでバンダ的に遠くから鳴り響く鐘だ。一気に破滅に向かう如くの狂気の行進がひたすら規則的なリズムで進行、そしてまた鐘、しばしのパウゼと微かな生命の残滓を引きずりながらまたまたホーンの咆哮とティンパニ乱打、突然地獄へ突き落とすドスの効いたグランカッサ、またホーンの叫び、ティンパニ攻撃・・・。
Vnは両翼配置、Vcは中央、Vaは右、Cbはちょっと変則で中央やや左の奥に陣取り、左右にダブル・ティンパニ、右側にグランカッサ、スネア、トライアングル、左手遠方に鐘(ハンマー)という主なる配置で、特に全編を通してのCbの劇的な脈動に焦点を置いた演出効果が抜群。曲全体を支配する疾駆感がゲルならではの求道的で神経症的、繊細かつ大胆な解釈を支えている。
これから進むであろうチクルス録音が楽しみである。
(録音評)
LSO Liveレーベル、LSO0661、SACDハイブリッド、2007年11月22日 ロンドンのバービカン・ホールでのDSDライブ収録。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニア:ジョナサン・ストークス&ニール・ハッチンソンとある。
こんな録音はいまだかつて聴いたことがない。凄まじい臨場感、いや、ホールに座ってステージを眺めながら聴いているのと何ら変わりないのである。まさに新世紀の録音だが、超絶、圧倒的、超高音質、ハイパー・ディテール、超ワイドレンジ・・、等々、どういう語句を使って形容したって陳腐な表現にならざるを得ないのだ。今年に入ってSACDの威力を存分に発揮する超優秀録音を多く聴いてきたが、この盤はこれらをも霞ませる程ずば抜けている。
CDレイヤーも健闘していてなかなかに鮮烈な音だ。SACDレイヤーを聴かなければこちらも間違いなく超優秀録音だが、SACDの方のビームがあまりに生っぽくて勝負にならない。透明度の高いサウンドステージに、鐘やトライアングル、カウベルと言った微細な響きがまさに本物以外の何ものでもないのだ。
このLSO LiveシリーズはClassic Sound Ltd.というロンドンの会社が録音を担当している。DECCAをスピンアウトした二人が興した会社 http://www.classicsound.net/center.htm で、いままで多くの実績を残している。Polyhymnia Internationalも優秀だが、ここも非常に優秀なレコーディング・ファームと言える。
ともかくこのハイブリッド盤は実際に聴いてみるしかその真価を知る方法はない。もしこの盤が巧く再生できないようならば、装置のコンディションまたは品位を疑うべきだ。
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by primex64
| 2008-07-08 10:44
| Symphony
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