2008年 06月 16日
Beethoven/Griffiths: The General, Sym#5@Kent Nagano/Montreal SO. |
RCA Red Sealの新譜。ケント・ナガノ/モントリオールSO、ベートーヴェン作曲エグモント等をベースにポール・グリフィスが脚色・構成したThe Generalおよび5番運命をカップリングした2枚組で、特にGeneralは世界初録音となる話題作。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2713102
CD1
ベートーヴェン/グリフィス:
・ザ・ジェネラル(指令官)-オーケストラ、ソプラノ独唱、合唱と語りのための(世界初録音)
音楽:ベートーヴェン
悲劇『エグモント』のための音楽 Op.84
祝典劇『シュテファン王』のための音楽 Op.117
劇音楽『レオノーレ・プロハスカ』 WoO.96
奉献歌 Op.121bより(全16曲)
脚色&構成:ポール・グリフィス
CD2
ベートーヴェン:
・交響曲第5番ハ短調 Op.67『運命』
・悲劇『エグモント』のための音楽 Op.84
マクシミリアン・シェル(朗読)CD1
アドリアンヌ・ピエチョンカ(ソプラノ)
モントリオール交響楽団合唱団(合唱指揮:マリカ・クズマ)
モントリオール交響楽団
ケント・ナガノ(指揮)
ケント・ナガノは純粋日本人だが生まれも育ちも米国という異色の若手指揮者で取り上げる曲や演出が斬新で人気急上昇中の人だ。その甘いマスクからか日本でもご婦人方を中心に根強い人気があるという。
The Generalについての解説はHMVなどのサイトが詳しいので割愛する。ケント・ナガノという指揮者のCDは初めて聴いた。どんな芸風の演奏なのだろうかと思っていたが至って正統な解釈であってエキセントリックな部分はない。
このケント・ナガノ発案/グリフィス再構成になるThe Generalはエグモントなどの聞き覚えのある曲と楽章を並べ直して朗読を挟みつつ進行する戦争の悲惨さにまつわる鎮魂テーマとある司令官(=The General)の体験を物語風にした現代作品だが、実に淡々と静かに、時に力強く激しく展開される音世界が色彩感豊かに迫り来る。他に比較する演奏がないので演奏のスタイルに優劣は付けられないのだが胸にこみ上げるものがあってなかなかに秀逸な作品、演奏だ。
5番運命だが、これが極めてハイスピードかつタイトで無駄のない解釈だ。ありがちな大仰な展開は微塵もなく、それでいて5番が本来持っている凄絶さと歓喜の昂ぶりは余すことなく表現し切っている。アゴーギクは殆ど用いず過度に律速された展開であって、それに微弱な抑揚を織り交ぜつつテンポ良く駆け抜けている。この演奏ではアクセントの効いたティンパニのアフター・ビート(少し遅れた拍子どり)が異色中の異色であり、独特の高揚感と緊張感をドラマティックに演出している。それ以外にトリッキーな部分は見られない。まさに21世紀にふさわしい知的でドライ、ハイセンスな運命である。
(録音評)
RCA Red Seal、88697306022、録音は2007年9月、2008年1月&2月、モントリオール、マックギル大学、MMRスタジオ、2008年2月、モントリオール、プレ・ドザール、サル・ウィルフリード・ペルティエ(運命)、2008年3月、オーディオZスタジオ(CD1:朗読のみ)、レコーディング・プロデューサー:ウィルヘルム・ヘルヴェック、カール・タルボットとある。
音質はBMGソニーの典型的なものであり、例によって完全艶消しで仄暗く、そして臨場感溢れる立体的なものだが、このアルバムでは更に驚くべき解像度を実現しており、これは極めて優秀だ。演奏内容と相俟ってなかなかに聴かされる収録であってオーディオ的に見てもかなりの完成度だ。
RCA Red Sealは同じソニーグループのレーベルであるSONY BMGの商標なのだが、不思議なことに日本のソニー・ミュージックエンタテインメント (SME)の音質とはまるで違って優秀録音が多く、またCDごとの音質傾向も殆ど似通っていてなかなか品質が高い。
1日1回、ポチっとクリック ! お願いします。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2713102
CD1
ベートーヴェン/グリフィス:
・ザ・ジェネラル(指令官)-オーケストラ、ソプラノ独唱、合唱と語りのための(世界初録音)
音楽:ベートーヴェン
悲劇『エグモント』のための音楽 Op.84
祝典劇『シュテファン王』のための音楽 Op.117
劇音楽『レオノーレ・プロハスカ』 WoO.96
奉献歌 Op.121bより(全16曲)
脚色&構成:ポール・グリフィス
CD2
ベートーヴェン:
・交響曲第5番ハ短調 Op.67『運命』
・悲劇『エグモント』のための音楽 Op.84
マクシミリアン・シェル(朗読)CD1
アドリアンヌ・ピエチョンカ(ソプラノ)
モントリオール交響楽団合唱団(合唱指揮:マリカ・クズマ)
モントリオール交響楽団
ケント・ナガノ(指揮)
ケント・ナガノは純粋日本人だが生まれも育ちも米国という異色の若手指揮者で取り上げる曲や演出が斬新で人気急上昇中の人だ。その甘いマスクからか日本でもご婦人方を中心に根強い人気があるという。
The Generalについての解説はHMVなどのサイトが詳しいので割愛する。ケント・ナガノという指揮者のCDは初めて聴いた。どんな芸風の演奏なのだろうかと思っていたが至って正統な解釈であってエキセントリックな部分はない。
このケント・ナガノ発案/グリフィス再構成になるThe Generalはエグモントなどの聞き覚えのある曲と楽章を並べ直して朗読を挟みつつ進行する戦争の悲惨さにまつわる鎮魂テーマとある司令官(=The General)の体験を物語風にした現代作品だが、実に淡々と静かに、時に力強く激しく展開される音世界が色彩感豊かに迫り来る。他に比較する演奏がないので演奏のスタイルに優劣は付けられないのだが胸にこみ上げるものがあってなかなかに秀逸な作品、演奏だ。
5番運命だが、これが極めてハイスピードかつタイトで無駄のない解釈だ。ありがちな大仰な展開は微塵もなく、それでいて5番が本来持っている凄絶さと歓喜の昂ぶりは余すことなく表現し切っている。アゴーギクは殆ど用いず過度に律速された展開であって、それに微弱な抑揚を織り交ぜつつテンポ良く駆け抜けている。この演奏ではアクセントの効いたティンパニのアフター・ビート(少し遅れた拍子どり)が異色中の異色であり、独特の高揚感と緊張感をドラマティックに演出している。それ以外にトリッキーな部分は見られない。まさに21世紀にふさわしい知的でドライ、ハイセンスな運命である。
(録音評)
RCA Red Seal、88697306022、録音は2007年9月、2008年1月&2月、モントリオール、マックギル大学、MMRスタジオ、2008年2月、モントリオール、プレ・ドザール、サル・ウィルフリード・ペルティエ(運命)、2008年3月、オーディオZスタジオ(CD1:朗読のみ)、レコーディング・プロデューサー:ウィルヘルム・ヘルヴェック、カール・タルボットとある。
音質はBMGソニーの典型的なものであり、例によって完全艶消しで仄暗く、そして臨場感溢れる立体的なものだが、このアルバムでは更に驚くべき解像度を実現しており、これは極めて優秀だ。演奏内容と相俟ってなかなかに聴かされる収録であってオーディオ的に見てもかなりの完成度だ。
RCA Red Sealは同じソニーグループのレーベルであるSONY BMGの商標なのだが、不思議なことに日本のソニー・ミュージックエンタテインメント (SME)の音質とはまるで違って優秀録音が多く、またCDごとの音質傾向も殆ど似通っていてなかなか品質が高い。
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by primex64
| 2008-06-16 10:31
| Orchestral
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