Brahms: Deutsches Requiem@Equilbey/Accentus, Berezovsky, Engerer |
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ブラームス:ドイツ・レクイエム(ロンドン版)
・サンドリーヌ・ピオ(ソプラノ)
・ステファン・デグー(バリトン)
・ボリス・ベレゾフスキー(ピアノ)
・ブリジット・エンゲラー(ピアノ)
・ロランス・エキルベイ(指揮)
このアルバムの冒頭のSelig sind, die da Leid tragenは、以前の日記でも取り上げた、naiveのレクイエムだけを集めたコンピレーション盤にも収録されていて気になっていた。
ドイツ・レクイエムはオケ版が一般的だが、個人的にはどうも良い印象がない。2台4手のピアノ伴奏で弾かれるこのロンドン版はどうかというと、これが実はオケ版よりも旋律と和声の骨格が単純・明確に聞こえるぶん下手なオケ版よりも発散と滲みが無くて秀逸かもしれない。特に、ダルなラトル/BPO盤などに比べると全然宜しい。
しかし、一般論で言うならオケ版とロンドン版は似て非なる曲だということ。この版はブラームス自身が出版者の依頼で編曲したトランスクリプションだが、小規模なホールやチャペル、個人宅などより一般の場所での演奏、また難易度を抑えて誰でも演奏に容易に参加出来ることを前提にアレンジがされていて、弱音部の強調処理や単純化が随所に施されているという。また、ピアノのテクスチャもオケとは随分と異なり歌唱部へは最小限度の関与となっている。結果としてこのロンドン版の方が歌唱の支配力が圧倒的に大きいのだ。
また、このドイツ・レクイエムは更にエキルベイ/アクセンタス流の解釈によって更に別物と言える出来映えに仕上がっているのだ。つまりお洒落でライトな味わい、かつ深刻度の低いもの。ヒーリング系といえばまさしくそう。これは「ドイツ風」ではなく明らかにフランスの薫りだ。
ソリストは二人とも巧いし声が美しい。またベレゾフスキー/エンゲラーはnaiveお馴染みの秀逸なピアニストで、彼らの息の合ったピアノ連弾も必聴ものであり、静謐ながらこれだけの凝縮度と音のバランスは素晴らしい。
(録音評)
naiveレーベル、V4956、通常CD。ノイマン、ショップスのマイク、dCS 904 ADC、24bit/96kHz SADiE Direct-to-Disk編集システムとある。音質は典型的なnaiveであって滑らかにして芳醇、そして気品漂う超優秀録音だ。
指揮者を挟んで左右、ステージの前方縦方向に配置された二台のピアノ、そしてその後方に並ぶコーラスとソリストが立体的かつ有機的に融合する素晴らしいマイクアレンジだ。スピーカーからちょっと離れてオフマイク気味に全体を俯瞰するも良し、ニアフィールドで中規模ホールの豊かなアンビエンスにドップリと浸かるも良し、多彩な楽しみ方が可能だ。
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