Schubert: P-Trio#2, P-Quintet Op.114@Trio Chausson, Inoue, Poincheval |
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Schubert:
Piano Trio No. 2 in E flat major, Op.100, D929
Piano Quintet in A major, Op.114, D667 'The Trout'
Penelope Poincheval Cb, Noriko Inoue Va
Trio Chausson
トリオ・ショーソンは、作曲家ショーソンの作風と芸術性にインスパイアされて結成されたピアノ三重奏団である。最初のトリオ#2は可憐で楚々とした、それでいてちょっと田園風景の香りがする割と大作の4楽章形式のトリオだが、まぁとにかく元気が良くてしかも正確無比なアップテンポな解釈だ。元気なだけではなく、例えば2楽章アンダンテでの弦の歌わせ方はVn、Vcとも巧い。しかも3人ともアインザッツが全て完璧に揃っている。
さて、Op.114(D667)は、かの著名な「シューベルトの鱒(ます)」を擁する5楽章形式のピアノ五重奏だが器楽構成は変則であり、2ndVnの代わりにCbが加わるのは有名な話し。CbとVaの2挺が加わることにより前トラックまでのトリオとはまるで別物の厚みと音数となり、これは大規模バロック・アンサンブルをも超える音量とレンジ拡大を達成していると言って良い。
こうして聴いてみるとVc一挺での低域には限度があることがよく分かるし、この四楽章=ますを聴くとVnを2挺から1挺に減らしてまでCbを加えた意義がよく理解できる。Cbのリズミカルなピチカートは実に気持ちがよいのであった。
いやはや実に闊達で元気な鱒である。鱒が水面から飛び跳ねて空中で踊る様子を模したとされるVnのトリルは、本当に撥ねて踊っているようなリアルさで振動し、このデフォルメ解釈と表現力は素晴らしい。この楽章では変奏部が延々と続くのだが井上典子のVaが終始控えめに分厚く対旋律を守っており、時折とる主旋律でも暖かい弦捌きはなかなかだ(もうちょっと出しゃばってもいい気はするが)。
(録音評)
MIRAREレーベル、MIR052、通常CD。音質は大変に素晴らしいもので写実的かつ細密で、微塵の欠陥もない。
しかし、前半のピアノトリオの再生はかなり難しい。痩せ細りギーギーと悲鳴を上げるVnと音にならないほど乾いてパサついたVc、ひたすら刺激的で金属的なPという風に破綻してしまうケースが殆どではなかろうか。要は全般的に暖色系の音色で、楽器のディテールと残響成分が非常に多く、しかも複雑に交錯して収録されているのである。この手の神経質なCDは時折り出現するのだが、個人的にはエージングによる学習で本来のプレゼンスを引き出すことに成功して来ている。
後半のますに関しては同一カットではないらしく難易度はさほど高くはないと思われ、こちらも実に楽しい録音。奏者が見えてしまう超優秀録音である。
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このCD、試しに買ってみました。鱒は好きな曲なので、
まあいいか・・・・と思いまして。
で、ピアノトリオは、確かに凄い音ですね。最初は、聴けた
モノではなかったのですが、買物の間にリピートで2回ほど
回しておきまして(爆)、帰ってきて聴き直したら、ちょっと印象が
変わっていました。
マスター様のおっしゃる「曲のエージング」と言えるレベルには
ありませんが、不思議な感じがしました。
未だ、聴けた物ではないとは言いながらも、最初の印象とは
違う曲は、気持ち悪いくらいに演者の息がピッタリ、昔に聴いた
プレスティとラゴヤのギター・デュオみたいでした。
今後とも、いろいろとご指導ください。
しかし現実には地味で真面目な優秀録音なんですね。残響成分が豊富すぎるというだけかも知れません。
「ます」は楽しめると思います。是非是非!