Gershwin/Ravel Cycle 2@Roge, de Billy/RSO Wien |

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The Gershwin/Ravel Cycle
Gershwin:
An American in Paris
Rhapsody in Blue
Ravel:
Piano Concerto in D major (for the left hand)
Pascal Roge (piano)
RSO Wien, Betrand de Billy
パリのアメリカ人とは、言うまでもなくガーシュイン本人の事を意味する有名な標題音楽である。ガーシュインがパリを訪れたときの新鮮な驚きで釘付けとなった目線で描かれた、パリの街の様子が生き生きとした名曲だ。
ガーシュインはパリには数回渡航しているのだが、1920年代初頭、敬愛するラヴェルやプロコフィエフ、ストラヴィンスキーら、パリで活躍する作家を訪ねて作曲の手解きを請うたというエピソードが残っている。結局、最初の訪仏ではラヴェルがアメリカ旅行中だったか何かで接見は叶わなかったようだが後にニューヨークで初対面を果たすことになった。そのときにラヴェルに教えを請うた時、君はガーシュインという一流作曲家本人なのに、ラヴェルの二流の弟子になりたいのかね? などと軽くいなされたとか。その後、ガーシュインは再度パリを旅行しラヴェルと再会を果たす。後に二人とも脳腫瘍に掛かってしまい手術の後に他界してしまうのだが・・。
ラプソディー・イン・ブルーは名曲中の名曲で演奏機会も録音も非常に多い。しかし、ここへ来てまたまた名演の登場だ。恐ろしく精密で、それでいてダイナミックなデ・ビリーの解釈は独特、そして何よりロジェの静謐にしてリリシズムの神髄を見せつけるピアノ独奏が光る。何とも叙情的でメローな演奏だ。
左手のP-Conは、ラヴェル自身がガーシュインの影響を受けたと述懐している、ジャズっぽい要素を取り入れた中間部を持つ一楽章形式の名曲。
この演奏は唖然とさせられるほどの完璧な完成度と克明な描き込みが凄い。決して破綻することがない理性的な解釈と演奏なのだが熱狂的なクレッシェンドに何もかもが突き動かされる感覚に囚われる。前半のレントでのピアノの歌わせ方はロジェの特異世界ならではの呪術的なもの。ウィーン放送交響楽団の正確無比にして若々しいバックも秀逸。
比較としては、ブーレーズ/ツィマーマンのCDが少々俗っぽく感じてしまうほど、格調とダイナミズムが高いレベルで整合している名演奏だ。
(録音評)
OEHMS Classicsレーベル、OC623、SACDハイブリッド。録音は2006年5月、2007年1月,3月、ウィーン、ORFオーストリア放送局ゼンデザールとある。DSDマスタリングはPolyhymnia Internationalが担当。
未体験ゾーンの超高音質盤。SACDレイヤーがCDレイヤーを圧倒的に凌駕する。空気感と楽器の実在感が素晴らしい録音であって、レンジ、音場の広さ、オケの定位、ピアノの臨場感とどれをとってもトップクラスの出来映えだ。
音色は無色でブリリアンスや帯域ごとの強調感は全くない。強いて言うならば非常に地味で漆黒の音色傾向だ。
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あいかわらず、CDレイヤーで聴いたのですが、「SACDレイヤーがCDレイヤーを圧倒的に凌駕する。」と書かれると。。。困るなぁ。www