Dowland Project-Romaria@Potter,Stubbs etc. |
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ザ・ダウランド・プロジェクト~ロマーリア
1. Got schepfer aller dingen:13世紀の文書起草官
2. ヴェリス・ドルチス:カルミナ・ブラーナ写本より(1230年)
3. 美しき薔薇:フラヌス写本より(15世紀後期)
4. われらのために祈りたまえ:12世紀アキテーヌ
5. La lume:イベリア、ペニンシュラ地方の民謡
6. ドルチェ・ソルム:カルミナ・ブラーナ写本より(1230年)
7. Der oben swebt:ヴォルケンシュタイン(1377?-1445)
8. オ・ベアタ・インファンティア(断章):グレゴリオ聖歌より
9. おお、薔薇よ:イベリア、ペニンシュラ地方の民謡
10. サウダーデ:ヴァレント/サーマン/スタッブス
11. イン・フラジェリス:ジョスカン・デ・プレ(1450-55?-1521)
12. 主,イエスは横切られ:フィルミヌス・カロン(作曲家不詳 c1460-75)
13. オ・ベアタ・インファンティア:グレゴリオ聖歌より
14. クレド・ラウダーテ・ドミヌム:ラッスス(1532-1594)
15. Ein gut Preambel(ビウエラ独奏):ノイシドラー(1508-1563)
16. 聖なるかな,御身ただ一人:ジョスカン・デ・プレ(1450-55?-1521)
17. Ein iberisch Postambel:ヴァレント/サーマン/スタッブス
ジョン・ポッター(T)、ミロス・ヴァレント(Vn、Vl)
ジョン・サーマン(ソプラノ・サキソフォン、バス・クラリネット、テノール&バス・リコーダー)
スティ-ヴン・スタッブス(バロック・ギター、ビウエラ)
ジョン・ポッターというテノール歌手はヒリヤード・アンサンブルというアーリー・ミュージックを中心とした活動をするグループに所属していた人で透明で伸びのある声の持ち主だ。
バックのジョン・サーマンらはジャズ畑では有名な人らしく、ポッターの歌唱を支えるのは基本、即興演奏だ。サーマンが持ち替えで吹く木管が非常に気持ちがよい。特にバス・クラリネットの深々とした低音がサウンドステージにジンワリと浸透していく下りは落ち着きとともに軽い快感さえ覚える。音楽自体はかなり昔のものなので素朴で直進性が強い旋律だが、和声は前述の通りアドリブに近い即興演奏と言うこともあって複雑な妙味を加えることに成功している。バロックギターの典雅な響きからかサヴァール/エスペリオン・ヴァンテアンが取り扱うアーリー・ミュージックをも想起させられ、なかなかにクロスオーバーで特異な音楽に仕上がっている。
春の夜長にゆったりと美声テナー&リード楽器&古典ギターに浸ってみるのも一興だ。ジャズ好きの音楽ファンが古楽の雰囲気を味わう、或いはクラシック好きの音楽ファンがジャズのインプロビゼーションを嗜む、といった趣向でも面白いかもしれない。
(録音評)
ECMレーベル、4765780、通常CDで、録音は2006年1月とあるので随分と経ってからのリリースということになる。数少ないマイクで中庸位置から奏者を捉えた鮮烈な収録だ。奏者と楽器の場所が目に見えるようなピンポイント定位でありながら、それぞれのパートが豊かな残響を放散しているため調和のとれた広大な音場空間が奥へ奥へと拡がる。このCDは掛けた途端にバッフル面が消失し、リスナーはたちまち異空間へと誘われるのであった。ECMはLPレコード時代からその透明な音質に定評があったが、その美点は21世紀に入ってユニバーサルに食われた現在でも健在であった。
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