Mendelssohn: Sym#4@Fey/Heidelberg So |
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メンデルスゾーン:
・弦楽のための交響曲第7番ニ短調
・弦楽のための交響曲第12番ト短調
・交響曲第4番イ長調Op.90「イタリア」
ハイデルベルク交響楽団
トーマス・ファイ(指)
ハイデルベルク響はファイが創設した若いオケだ。ファイもドイツ生まれの47歳という若い指揮者だが、学生時代はアーノンクールに指揮法とバロック奏法を師事し、その頃からアンサンブルを組んで演奏活動を行うなどアクティブな音楽活動をしてきた人物。
師事したのが当時バロックの雄として君臨していたアーノンクールだったためか一貫してピリオド・アプローチを追求している。ファイ/ハイデルベルク響は目下ハイドンのチクルスをヘンスラーで録音中であり、その独創的な仕上がりが注目されている(らしい。勿論、欧州で・・)。
現在流行の兆しを見せているピリオド様式によるメンデルスゾーンは、確かに現代様式とは一味も二味も異なるプレゼンスだ。そしてとにかく速い。ひたすら速い。
弦楽のための交響曲は小規模な器楽編成であってブラスセクションやティンパニが入らないのだが、弦だけで十二分な迫力を醸している。つまりノンビブラートのポリフォニーは持続力と押しが強く耳に残るし、現代様式ではほとんど感じることが出来ないユニゾンの美しさは群を抜いている。このやり方はバッハの管弦楽組曲にも似た端正な曲想には十分マッチしたアプローチであることを発見させられる。ちょっと病み付きかも。
さて、イタリアだが、これまた速いのである。真っ青な晴天を思わせるような伸びやかな弦、ホルンや木管群はまるでオシレーターのような精密な正弦波を発している。ノンビブラート奏法の圧巻は3楽章中間部の2本のホルンによる第二主題だ。二人の音はもの凄く合っていてシンセサイザーを思わせるほど。
最終楽章のサルタレロはこれまた非常に速くて限界を超えた速度が出ているのではないだろうか。4楽章は元々熱情的な曲風なのだが、それを咳き込むほどの音量で駆け抜けていて、否応なしに聴かされてしまった。
全体としてはこの「イタリア」にありがちなメランコリックな情感や叙情といった世界とは無縁の、律儀で一本気で直進するエネルギーに満ち溢れた解釈であり、これは非常に斬新だ。
去年出たお洒落なこれ http://musicarena.exblog.jp/7448746/ も素晴らしい演奏だったが、比較するとファイの解釈は更に硬派であり、甲乙付け難いところだ。
(録音評)
hänssler CLASSICレーベル、98281、通常CD。録音は2007年3月16-17日、5月8-12日、場所はプファッフェングルント、ハイデルベルク・ゲゼルシャフトハウスとある。
ただただ超絶的な録音。気持ちの良い空間が広大に広がり、そこにハイデルベルクSOが出現して縦横無尽な音を出しながら目の前を走り抜けていく。それ以上気が利いた形容が出来ないのだ。
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