Mendelssohn: P-Trio #1,#2@Fischer, Gilad, Muller-Schott |
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F.メンデルスゾーン: ピアノ三重奏曲集
ピアノ三重奏曲 第1番 ニ短調 Op.49
ピアノ三重奏曲 第2番 ハ短調 Op.66
ユリア・フィッシャー(ヴァイオリン)
ジョナサン・ギラード(ピアノ)
ダニエル・ミュラー=ショット(チェロ)
やっぱり、この人の名前を見ると陳列棚に手が伸びてしまう。それくらい素晴らしい出来映えを予感させる何らかのオーラがあるのだ。果たしてこの超有名にして典雅なPトリオはどのように料理されているのだろうか?
予想通り、というか、1番も2番も期待以上の素晴らしい演奏だ。アンニュイな沈静とヴィヴィッドな飛翔が交錯する若き日のバルソルディの典型的曲想を見事に表現している。速いテンポと遅いテンポの出し入れ、アチェレランドとリタルダンドの繰り返し、また緩徐楽章の内省的かつ理知的なリリースなどなど、活気漲る生き生きとした解釈であり一気に全楽章を聴かされてしまうという魅力ある演奏となっている。
スター・ソリストを際立たせるがために招集されたというP、Vcではなく、それぞれがそれぞれの立ち位置を主張し合い協調する内容であり、そういった点においてはユリア・フィッシャーが一人だけ目立つ内容の録音ではない。ジョナサン・ギラードの縦横無尽にしてしなやかなP、ショットの瞑想的で静謐なVcはとにかく巧いし、ユリア・フィッシャーのVnが素晴らしいことも言うまでもない。
(録音評)
オランダPentaTone Classicsレーベル、PTC5186085、SACDハイブリッドでCDレイヤーのみ試聴。例によってPolyhymnia Internationalが録音を担当している。珍しくフルDSDによる録音~マスタリングらしい。
「A co-production of PentaTone Music and Deutschlandfunk」とのクレジットが記されている。つまりペンタトーンとドイツ国営放送の共同制作ということ。
そのためかどうかは分からないが、他のペンタトーンSACDハイブリッドとは明らかに音質傾向が異なり、通常の盤では高域に軽いブリリアンスが乗っていて、しかもカッチリとした輪郭が見えるのに対し、この盤はまるっきりの艶消し、輪郭消しであって地味そのものだ。しかし基音の下支えから派生する倍音成分や残響成分はふんだんに取り入れられており、一聴するよりかは遙かにレンジが広い。
楽器の定位は恐ろしく良好である。それぞれのパートが鋭いビームを発するため、まさにそこで演奏しているかの実在感、臨場感、気配感が凄まじい。オーディオ的にはベスト再生にチャレンジするに値する一枚だ。
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