2007年 11月 27日
Elgar: Vc-Con@Natalie Clein,Handley,Liverpool PO. |
EMI UKの新譜から、新鋭チェリスト、ナタリー・クラインによるエルガーVcコンだ。EMIの触れ込みはジャクリーヌ・デュ・プレの再来とのことだったが。それはこの美貌がそう言わしめるのであって演奏は果たして・・。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2632014
エルガー:
チェロ協奏曲ホ短調 Op.85
In Moonlight
気まぐれ女 Op.17
ロマンス Op.62
愛の挨拶 Op.12
朝の歌 Op.15-2
溜め息 Op.70
ナタリー・クライン(チェロ)
ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
ヴァーノン・ハンドリー(指揮)
確かに、デュプレ/バルビローリBBCのエルガーVcコンは傑作中の傑作だが、それに比肩するのか? というのが興味あるところだ。が、結論的に言うと水準的には同等に比肩しうるものの演奏の熱気と天性の可愛らしさ、スターダム要素という点においてはデュ・プレには現時点で及んでいない。しかし、デュ・プレが早世したのは返す返すも惜しいと改めて思うのであった。あの可憐なデュ・プレの姿をこのクラインに投影することは今後は可能かも知れない。
デュ・プレは旋律の端々、特に協奏・独奏小節が切れるところでちょっと弓をしゃくり上げるような仕草が癖になっていて、それが彼女の可憐さを引き立てる一つだった。何故かこのクラインにもそれに似た奏法が所々見受けられ、長い長いヴィヴラートの後にヒョイっと極短く上げ気味でしゃくるのだ。なるほど、そう言われればその辺がデュ・プレと似ているのかも知れない。
EMIやその他レコードサイトによれば全体に力強い演奏とあるが、実はその逆で、繊細で弱々しい面をもった女性的な演奏と解釈だと思う。Vcが咽び泣くように切なく旋律を謳うのに合わせ、オケが甘美にそして陰鬱に和声を紡いでいく。クラインの演奏するVcの音量は相対的には小さい方で、だが、これはこれで美しくも儚い演奏である。
残りのトラックに入っている小品はクラインの特徴を十二分に感じられる好演である。とにかく深い襞を伴った綺麗なヴィヴラートを出すのが巧い人で、今後大きく飛翔する可能性を感じさせてくれる。
(録音評)
EMI Classic、リヴァプール・フィルハーモニック・ホールでの録音とある。全体に録音レベルは低めだ。オフマイク気味のオケのパート分解能は決して高くはないのでマルチマイクではないだろう。Vcのマイク2~3本、デッカツリー+アンビエントマイク4本程度での収録と思われる。ステージの奥行きは深く、時折響くCbが深々と伸びている。
Vcはオケの前方に定位するが、それでも少々引き気味だ。しかし、激しいピチカートで入る2楽章レントの冒頭部分、3楽章のアダージオ全編、4楽章アレグロの第一カデンツァなどでクラインの吐息が激しく捉えられていて生々しい。なかなかにツボを押さえた大人の録音と言える。
近頃のEMIクラシックスの音質安定度は目を見張るものがあり素晴らしい。これも例に漏れず素晴らしい録音だ。
1日1回、ポチっとクリック ! お願いします。
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エルガー:
チェロ協奏曲ホ短調 Op.85
In Moonlight
気まぐれ女 Op.17
ロマンス Op.62
愛の挨拶 Op.12
朝の歌 Op.15-2
溜め息 Op.70
ナタリー・クライン(チェロ)
ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
ヴァーノン・ハンドリー(指揮)
確かに、デュプレ/バルビローリBBCのエルガーVcコンは傑作中の傑作だが、それに比肩するのか? というのが興味あるところだ。が、結論的に言うと水準的には同等に比肩しうるものの演奏の熱気と天性の可愛らしさ、スターダム要素という点においてはデュ・プレには現時点で及んでいない。しかし、デュ・プレが早世したのは返す返すも惜しいと改めて思うのであった。あの可憐なデュ・プレの姿をこのクラインに投影することは今後は可能かも知れない。
デュ・プレは旋律の端々、特に協奏・独奏小節が切れるところでちょっと弓をしゃくり上げるような仕草が癖になっていて、それが彼女の可憐さを引き立てる一つだった。何故かこのクラインにもそれに似た奏法が所々見受けられ、長い長いヴィヴラートの後にヒョイっと極短く上げ気味でしゃくるのだ。なるほど、そう言われればその辺がデュ・プレと似ているのかも知れない。
EMIやその他レコードサイトによれば全体に力強い演奏とあるが、実はその逆で、繊細で弱々しい面をもった女性的な演奏と解釈だと思う。Vcが咽び泣くように切なく旋律を謳うのに合わせ、オケが甘美にそして陰鬱に和声を紡いでいく。クラインの演奏するVcの音量は相対的には小さい方で、だが、これはこれで美しくも儚い演奏である。
残りのトラックに入っている小品はクラインの特徴を十二分に感じられる好演である。とにかく深い襞を伴った綺麗なヴィヴラートを出すのが巧い人で、今後大きく飛翔する可能性を感じさせてくれる。
(録音評)
EMI Classic、リヴァプール・フィルハーモニック・ホールでの録音とある。全体に録音レベルは低めだ。オフマイク気味のオケのパート分解能は決して高くはないのでマルチマイクではないだろう。Vcのマイク2~3本、デッカツリー+アンビエントマイク4本程度での収録と思われる。ステージの奥行きは深く、時折響くCbが深々と伸びている。
Vcはオケの前方に定位するが、それでも少々引き気味だ。しかし、激しいピチカートで入る2楽章レントの冒頭部分、3楽章のアダージオ全編、4楽章アレグロの第一カデンツァなどでクラインの吐息が激しく捉えられていて生々しい。なかなかにツボを押さえた大人の録音と言える。
近頃のEMIクラシックスの音質安定度は目を見張るものがあり素晴らしい。これも例に漏れず素晴らしい録音だ。
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by primex64
| 2007-11-27 15:35
| Concerto - Vc
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