Ludi Musici - The Spirit of Dance@Savall, Hesperion XXI |
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2555009
音楽の遊戯/舞曲の精神:1450-1650 / 2007年CDカタログ
[オリエントの]
アフガニスタン: 「ライラ、我が愛しの人」 (「東洋=西洋(1000-1600)」より)
ベルベル: 子守歌 「アマジグの子守歌」 (「子守歌(1500-2002)」より)
トルコ: マカーム・ウザル・サキル 「鶴」 (トルコ、カンテミルオウル手稿譜、16世紀)
(「東洋=西洋(1000-1600)」より)
ロードス島: 「薔薇の冠(セファルディ)」 (「セファルディの離散」より)
[ヘスペリデスの園の]
作曲者不詳:
バッロ「小高い丘」、ストランボット「犬の大群が駆け」、
バス・ダンス「ラ・スパーニャ」 (「アラゴン王アルフォンソ5世寛大王(1396-1458)」より)、
ビリャンシーコ「私は小麦色した娘」 (「女性の光(900-1600)」より)
[イギリスの]
作曲者不詳:
「デスペラーダ」 (「エリザベス朝のコンソート音楽(1558-1603)」より)
子守歌 「わたしのかわいい愛しい人」 (「子守歌(1500-2002)」より)
[ドイツの]
シャイト:
パヴァーヌ 第5番 (「音楽の遊戯」)、
「ガイヤルド・バタッリャ」(「バタッリャ(戦争)とラメント(哀歌)(1600-1660)」より)
[フランスの]
作曲者不詳:トゥルディオン「クラレット・ワインを飲むと」(「カール5世(1500-1558):皇帝の歌」
より)、アヴィニョンのブレ、「湿地のニンフ」(以上「ルイ13 世(1601-43)のオーケストラ」より)、
デュ・バイイ:ラ・フォリア「私は夢中だ」(「ドン・キホーテ」より)
[スペインの]
オルティス: 「ロマネスカ」によるレセルカーダ 第7番 (「オスティナート」より)
ホセ・マリン:
カナリオス 「メンギッリャ、もう考えないで」、
バイレ 「愛しき人よ、あなたは何と気まぐれなことか」
(以上「ホセ・マリン(1618-99):「人間の調べ」より」)
[新世界の]
作曲者不詳:
フォリア・クリオーリャ(ペルー) (「その他のフォリア(1500-1750)」より)、
メスティーソとインディオ 「君に歌うよ、かわいこちゃん」(オアハカ)、
グアラーチャ 「おお、なんと身を焦がすことか」(メキシコ)
(以上「南米クリオージャのビリャンシーコと踊り(1550-1750)」より)
Jordi Savall(Cond.)
Montserrat Figueras(Vo), Hesperion XXI, Le Concert des Nations
La Capella Reial de Catalunya
ジョルディ・サヴァール(指)、モンセラート・フィゲーラス(VO)、エスペリオンXXI、ル・コンセール・デ・ナシォン、ラ・カペッラ・レイアル・デ・カタルーニャ
なんとも不思議な曲ばかり集めたCDで、クラシックに分類するのは適切ではないかも知れない。編成も使われている楽器も特異なものである。東洋というか中近東あたりから西洋に至るまでの同時代的な舞曲らしいがいずれも耳には新鮮に響く曲たちだ。
フラメンコに似た拍取りと民族楽的な旋律が根底に流れているが、編成はもっと大規模であったり、リュートや管楽器、不思議な打楽器が使われていたり、詩歌の様に意味のある長い歌唱が入っていたりとバリエーションは豊かだ。
Hesperion XXI(エスペリオン・ヴァン・テ・アン)は古楽、中世期ラテン系音楽を扱うマニアックなファミリー で、このアリアヴォックスは主宰のサヴァールが自主製作レーベルとして創立したもの。
(録音評)
ALIA VOX AV9853、通常CD。明るめでアンビエンスが豊饒な優秀録音である。どのトラックも器楽がステージ中央から奥の方に定位し、歌唱はかなり前の方に定位する。しかし歌手の口元が肥大化することはなく、明瞭で等身大の音像が出現する。
グランカッサに似た、しかしどことなく中世を思わせる古風な響きの大太鼓がどの曲にも使われており、この重低音と衝撃波が実にリアルだ。また、手拍子や足の踏みならし、そしてカスタネットやタンバリン風の小道具の音が左右からそこはかとなく漂ってくるのも臨場感をアップさせる上で効果を発揮している。
著名作曲家の作品群にはない土と風の臭いのする純朴な音楽を、優秀な録音技術で捉えた逸品だ。オーディオ的な快感も十二分に堪能できる。お薦めの一枚。
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