2007年 09月 27日
With Mallets And Strings@Ildikó Vékony |
今日はハンガリーのマイナーレーベルの新譜から変わり種のCD。ツィンバロンというハンガリーの民族楽器を使ったバッハ他の演奏。ハンガリー政府の文化庁に当たる役所から資金援助を受けて企画制作された意欲的な作品だ。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2597756
With Mallets and Strings - J.S.Bach, Z.Jeney, C.P.E.Bach, A.Kondor / Ildiko Vekony
・J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番ホ長調 BWV1006
・ゾルタン・イェネイ[1943-]:リゲティへの告別
・C.P.E.バッハ:自由な幻想曲 嬰ヘ短調 W67
・アダム・コンドール[1964-]:ハンド・ボール・ペーパー
・J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番ト短調 BWV1001
イルディコ・ヴェコニー(ツィンバロン)
ツインバロンという楽器の詳細についてはWikiを参照。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ツィンバロム
ここにも奏者としてIldiko Vekonyの名前が挙がっているが、世界的に見てもこれを専門に演奏している人は少ないものと思われる。
ツィンバロンを使った曲としてはドビュッシーの「レントより遅く」のオーケストレーション版が有名。また、Accentus合唱団のTranscription2などにも使用されていて独特の効果を発揮している。この音色はチェンバロまたは大正琴に酷似している。というか、これはチェンバロの始祖とされる楽器であり、チェンバロから鍵盤と撥弦機構、いわゆるアクションを取り除いた構造をもったシンプルな楽器である。音はマレットと言われるフェルト貼りのバチで弦を直接叩いて出す。
バッハの無伴奏Vnパルティータ3番は、楽器をツィンバロンに置き換えただけのオリジナル曲であるが、典雅な調べで実に良い雰囲気である。何故か? このパルティータはVnやVcをボウイングによって弾くことにより「線」または「面」で表現されるふくよかなイメージのある曲だが、いわば「点」で捉える形のツインバロンの表現能力がこの離散的な点を線や面にまで繋いでみせている。つまり、このヴェコニーという人のマレット捌きは呪術的なほどうまい。
他にはC.P.Eバッハの幻想曲、現代音楽などがフィーチャーされていて聴きどころ満載のアルバムとなっている。ちょっと嵌りそうな音である。
(録音評)
ハンガリーのBudapest Music Center(BMC)レーベル、BMC-134、通常CDで、録音は2006年とある。音質は刺激のない伸びやかでニュートラルな出来映え。ツィンバロンの音像が多少オフマイク気味にほぼ中央に定位する。収録環境の残響は長めだが音粒のディテールがぼけるほどの長さではなく、マレットが弦に当たる瞬間瞬間をリアルに捉えているし、奏者の息遣いや衣擦れノイズなども克明に捉えている。オーディオ的な快感は強い方だろう。
1日1回、ポチっとクリック ! お願いします。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2597756
With Mallets and Strings - J.S.Bach, Z.Jeney, C.P.E.Bach, A.Kondor / Ildiko Vekony
・J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番ホ長調 BWV1006
・ゾルタン・イェネイ[1943-]:リゲティへの告別
・C.P.E.バッハ:自由な幻想曲 嬰ヘ短調 W67
・アダム・コンドール[1964-]:ハンド・ボール・ペーパー
・J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番ト短調 BWV1001
イルディコ・ヴェコニー(ツィンバロン)
ツインバロンという楽器の詳細についてはWikiを参照。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ツィンバロム
ここにも奏者としてIldiko Vekonyの名前が挙がっているが、世界的に見てもこれを専門に演奏している人は少ないものと思われる。
ツィンバロンを使った曲としてはドビュッシーの「レントより遅く」のオーケストレーション版が有名。また、Accentus合唱団のTranscription2などにも使用されていて独特の効果を発揮している。この音色はチェンバロまたは大正琴に酷似している。というか、これはチェンバロの始祖とされる楽器であり、チェンバロから鍵盤と撥弦機構、いわゆるアクションを取り除いた構造をもったシンプルな楽器である。音はマレットと言われるフェルト貼りのバチで弦を直接叩いて出す。
バッハの無伴奏Vnパルティータ3番は、楽器をツィンバロンに置き換えただけのオリジナル曲であるが、典雅な調べで実に良い雰囲気である。何故か? このパルティータはVnやVcをボウイングによって弾くことにより「線」または「面」で表現されるふくよかなイメージのある曲だが、いわば「点」で捉える形のツインバロンの表現能力がこの離散的な点を線や面にまで繋いでみせている。つまり、このヴェコニーという人のマレット捌きは呪術的なほどうまい。
他にはC.P.Eバッハの幻想曲、現代音楽などがフィーチャーされていて聴きどころ満載のアルバムとなっている。ちょっと嵌りそうな音である。
(録音評)
ハンガリーのBudapest Music Center(BMC)レーベル、BMC-134、通常CDで、録音は2006年とある。音質は刺激のない伸びやかでニュートラルな出来映え。ツィンバロンの音像が多少オフマイク気味にほぼ中央に定位する。収録環境の残響は長めだが音粒のディテールがぼけるほどの長さではなく、マレットが弦に当たる瞬間瞬間をリアルに捉えているし、奏者の息遣いや衣擦れノイズなども克明に捉えている。オーディオ的な快感は強い方だろう。
1日1回、ポチっとクリック ! お願いします。
by primex64
| 2007-09-27 10:29
| Solo - others
|
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Comments(2)
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by
崎村潤子 ツィンバロン
at 2008-08-05 01:54
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この秋、ルクセンブルグ放送管弦楽団とのNaxosにおける「レントより遅く」の録音で、ツィンバロンソロをやっている、Katerina Zlatnikova さんが初来日されます。コンサートも10月1日にあります。
詳細は、わたしのリンクをご参照ください。
詳細は、わたしのリンクをご参照ください。
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primex64 at 2008-08-05 08:59
崎村さん、お知らせ有り難うございます。良い話しを聞きました。期待できますね~。後ほどお邪魔させて頂きますね。