J.S. Bach: Sonatas & Partitas BWV 1001-1006@Julia Fischer |
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1.Sonata for Violin solo no 1 in G minor, BWV 1001
2.Partita for Violin solo no 1 in B minor, BWV 1002
3.Sonata for Violin solo no 2 in A minor, BWV 1003
4.Partita for Violin solo no 2 in D minor, BWV 1004
5.Sonata for Violin solo no 3 in C major, BWV 1005
6.Partita for Violin solo no 3 in E major, BWV 1006
全般にモデレートなテンポ取りで、場合によっては遅めと感じるかもしれない速度が保たれている。ピリオド楽器によるいわゆるオリジナル主義の演奏ではなく、ヴィブラートを効かせた割と情感を込めた今風の解釈である。
ユリア・フィッシャー自身の述懐によると幼少期からバッハの解釈に関してはグレン・グールドの影響を強く受けてきたとのことだが、なるほどよくよく聴き込めば浅めに多用されるアゴーギクがその影響を受けた片鱗なのだろう。
ヴィヴァーチェの速いパッセージも難なく弾きこなしていく。1750年製のガダニーニによるこの録音は無伴奏であることを忘れさせてくれる豊かな旋律と和声であり、これは一級の演奏である。録音当時は21歳であったというから大したものだ。ソナタもパルティータも2番が出色だ。若手女流ではレパートリーも広く、やはり注目株の一人と言えよう。
(録音評)
PentatoneレーベルのSACDハイブリッド2枚組、PTC5186 072、制作はフィリップスをスピンアウトしたエンジニアが率いるPolyhymnia International BVの手によるDSD録音で、CDレイヤーのみの試聴。
Pentatoneレーベルの音質と鮮度は大変良好だが、音色は華美で、割と強い隈取が耳に付き、今ひとつだと思っていたのだが、この録音はガラっと雰囲気は異なりモデレートで地味な傾向だ。他のPentatoneを聴き返してみるとどれも華美なところは無くむしろ地味でストレートだ。ケーブルが変わったのが影響しているとしか思われない。これは、最新版のTELARC録音の音質傾向に似ている。
naiveレーベルもケーブルを換えてから傾向が変わってしまったのであるが、Pentatoneも実はそうであったことが分かった。Beldenが音の厚みを削いでいたためか、いままでは本領を発揮していなかったと言える。マイナスイオン・ケーブルになってむしろ正常化されたといえるのだろう。
マイクはSchoeps MK2、DPA4006&4011、ADCはMeitner DSD ADC、マスタリングはPyramix VirtualStudioとある。不思議なもので最終メディアがPCMであってもDSD録音/マスタリング特有の音質傾向は受け継がれており、滑らかで稠密な面描写は健在。ユリア・フィッシャーの姿がオフマイクで克明に捉えられている。この出来栄えなら納得である。
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確かに粒子が非常に細かい、緻密な、かつ、滑らかな音ですね。
無伴奏はクレーメル(新盤)、シェリング(新旧)くらいしか全曲では
持っていないですが、この演奏は突き刺さるようなクレーメルとは
対極の演奏。ただ、SACDのメリットが良く感じられますね。
フィッシャーもペンタトーンを離れてデッカに移籍したとたんに
通常CDの人となってしまいましたが、残念です。
ではでは。