Marais, Dollé & Forqueray@Jonathan Dunford |
課外教室には華道・茶道・ピアノ・オーケストラ・器楽などのコースがあり、要するに花嫁修業というか文化的な教養を修得させるという目的らしい。この教室のためだけに指導を委嘱している専門教員がいるのでレベルとしては低くはない。
二女はその中の器楽科に属し、コントラバスを弾いているが、その他の楽器では非常に珍しいことにヴィオール属を教えている。ヴィオール属は今ではヴァイオリン属に駆逐されてしまったが、ロココ期~バロック期に活躍した古楽器群であり、ヴィオラ・ダ・ガンバといえば通りが良いだろうか。大きさもいろいろあって、テノール・ガンバ、アルト・ガンバ、そしてバス・ガンバ(バス・ド・ヴィオール)などがあげられる。
これらとヴァイオリン属との決定的な違いはギターのようなフレットが存在することと出せる音量の小ささだ。典雅で渋く、そしてどこか長閑(のどか)な響きは独特であってある種の癒しが感じられるもの。春に催される器楽科の発表会を今から楽しみにしている。
ということで、今日はフランスのマイナー・レーベルが企画したロココ期の作曲家の作品集だ。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2570183
シャルル・ドレ:
・ヴィオールのための組曲 ト長調
・マラン・マレのトンボー
ロラン・マレ:
・クラヴサンのためのプレリュード
・ヴィオールのための組曲 ハ短調(1738)
アントワーヌ・フォルクレ:
・ヴィオールと通奏低音のための第1組曲 ニ短調
ジョナサン・ダンフォード(バス・ド・ヴィオール)
シルヴィア・アブラモヴィツ(バス・ド・ヴィオール)
ナーニャ・ブレーデイク(トリプルハープ)
ダフニ・コッコニ(クラヴサン)
例によって盤の輸入元、マーキュリーの解説から:
------
2005年に2枚の新譜をリリースしたまま、鳴かず飛ばずだった「AS MUSIQUE」から待望の新譜が登場。前作ふたつがとほうもない名盤だったせいで(ボーモンのシャンボニエール全集(ASM001)は今も大好評)、期待はいや増しに高まりますが、その期待を満たしてあまりある傑作です。
なんといっても、注目はロラン・マレ(1680頃~1750頃)。あのマラン・マレの息子の曲が聴ける、それもチェンバロ独奏曲まで。しかも演奏は大ヴェテランのダンフォード、それも使用楽器はサロモン1741年製作オリジナル。加えてル・ポエム・アルモニークの初期を支えた、これも多忙をきわめる実力派アブラモヴィツ(こちらも18世紀フランスのオリジナル楽器使用)やブレーデイクが共演しているというのですから、贅沢どころの話ではありません。通奏低音がハープとチェンバロ、なんて清廉玄妙なこのサウンド! 冷静に判断してみても、フォルクレもシャルル・ドレ(18世紀に活躍)もこれまた滅多に録音されないレパートリー。古典派はすぐそこ、という時代に作曲された音楽だけに、聴きやすいロココ的音楽展開でヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)の音色を堪能できます。コアな古楽ファンならずともこれはアプローチしやすい、そして忘れがたいアルバムになるであろう1枚です!(マーキュリー)
------
まぁ、解説の通りなわけだが、やはり癒しの旋律と言えるかもしれない。ヴィオール属はヴァイオリン属同様に弓弾きするのが基本だが、やはりフレットがあることにより右手の運指がヴァイオリンほど自由ではなく、従って超絶的に速いパッセージには無理がある。その分、モデレートな旋律運びとせざるを得なく逆にそれが曲全体に規律性と長閑な秩序をもたらしているともいえる。
このドレ、マレらの作品はヴィヴァルディ、テレマン、バッハ以降の曲想に見られる大きな起伏、激しい転調、テンポの出し入れはないが、規則正しく美しい和声と簡素な対位法表現が備わっており、これはこれでミニマル的で癖になる構成だ。
(録音評)
フランスAS Musiqueレーベル、ASM003、通常CD。マーキュリーの輸入盤は日本語解説リーフレット完備で親切であるぶん価格は少々高いが、HMVの輸入CDのボリューム・ディスカウント制度を利用してコストを抑えて購入している。これまた音質的には最高レベルの録音であり、昨今の欧州マイナー・レーベルの技術水準の高さを思い知る。
小規模構成の古楽演奏なので大規模オケの迫力はないが、ヴィオール属の典雅な響きが精緻に刻み込まれており、その音色の深さに驚嘆する。音量が小さな楽器ゆえ収録は難しいと思われるが、オフマイク気味にシャープなフォーカスを結ぶ狙い方はこれまた秀逸。このような「素」のCDを聴いてしまうと大手レーベルのデジタル・ディレイ処理ものは臭くて聴けなくなってしまう。困ったものだ・・。
1日1回、ポチっとクリック ! お願いします。
みんなでオーケストラプレイ 8種類の楽器を選んで、息を合わせて楽しく演奏!ネットで一番安いところを紹介しています!今すぐこちらへアクセスを!... more