P-Con#1@Lise de la Salle,Foster/Gulbenkian O. |
http://www.tower.jp/item/2186292/
・ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番
・リスト:ピアノ協奏曲第1番変ホ長調
・プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番変ニ長調 op.10
リーズ・ドゥ・ラ・サール(ピアノ)
ガボル・ボルドツキ(トランペット)
リスボン・グルベンキアン財団管弦楽団
ローレンス・フォスター(指揮)
リーズはまだ18歳という非常に若いフランス生まれのピアニスト。親のどちらかがロシア出身、リーズの曾祖母の母がピアニストで、チャイコフスキーの直弟子だったという。
今年の正月に来日し、東京響+大友直人@芸劇、ソロリサイタル@HAKUJUホールなどの公演を行っている。残念ながら聴いていないが。
グルベンキアンというのもローレンス・フォスターというのは聞くのも聴くのも初めてだが、無駄のないシンプルで美しい演奏を聴かせるオケだ。
どのPコンも非常に良い出来映えだ。荒々しさのない柔らかな解釈であって、そのくせ軽くてハイスピードなピアノだ。だが、ヴィルトゥオーシティがほとばしる様なトリッキーな演奏では決してない。
そういった点では先日のグリモー、若き日のアルゲリッチ、小菅優ら、男勝りの剛直な女流とは一線を画している。
どれも良いのだが、敢えて挙げるならショスタコだ。この曲の題名はPコンと言うよりもピアノとトランペットのための協奏曲とすべき内容である。最初から二つのソロ楽器のハーモニーが楽しめるのだが、圧巻は4楽章の掛け合いで、非常に楽しい演奏となっている。2楽章は緩徐楽章でリーズの瞑想的なピアニズムを垣間見ることが出来る。
残り二つのPコンも素晴らしい出来であるが、選曲としてはリストがちょっと異質。残り二つがロシアというかソ連体制派の音楽であるのに対して、リストの方は余りにロマンチックな曲である。
しかし、リーズは我が家の長女と同じ年の生まれであり、そう考えればまだまだ子供なのだが、この大人っぽい完成された解釈はどうだろう? 衝撃的と言わざるを得ない。
(録音評)
näive classics V5053、通常CD。全ての楽器が非常に美しく、しかも芳しく収録されている。定位は恐ろしく良く、第一Vnの楽器一本一本が分離して聞こえる。また、ソロTpのビーム、低音弦、他のホーンなどのビームが時に凄まじく時に華麗に散乱し、生コンサートを聞いているかの錯覚に度々陥る。ダイナミックレンジは非常に広く、微小音から克明に捉えられているがffの爆発も破綻なく入っているし、このとき分離も崩れない。
このCDは先日Pさん邸オフ会に持ち込んだものだが、ElgarやSCD-1では音場が破綻して上手く再生出来なかった。彼曰く、何らかのビットマッピングが施されていて、DACのデジタルフィルターのアルゴリズムによっては上手く再生出来ないとのことだった。
このCDは我が家の装置で掛けると凄い。パリの香りも小洒落ていてセンスが良いのだが、なんと言っても広大に拡がる等身大のサウンドステージがこのCDの身上。とにかく凄い。幽体離脱とはこのことで、演奏者が離脱するのではなく自分が離脱して仮想音場の中に瞬間移動すると言った感じだ。
今年いままで買った新譜の中では最も先鋭的な音質のCDであり、これは優秀盤ランキングのトップ、またはそれに近いレーティングになるのは必至だ。
DACとの相性問題はあるかも知れないがそれが克服された場合のオーディオ的快感は凄まじく、鳥肌が立つほどの臨場感が得られる。マニア必携の一枚だろう。
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