J.S.Bach: French Suites@Pieter-Jan Belder |
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J.S.バッハ:
・フランス組曲第1番ニ短調 BWV.812
・フランス組曲第2番ハ短調 BWV.813
・フランス組曲第3番ロ短調 BWV.814
・フランス組曲第4番変ホ長調 BWV.815
・フランス組曲第5番ト長調 BWV.816
・フランス組曲第6番ホ長調 BWV.817
・組曲 BWV.818, 819
ピーター=ヤン・ベルダー(チェンバロ)
籠には既に数枚CDが入っていたが、この1000円しない二枚組の鰤を追加で放り込んだのは言うまでもない。
フランス組曲のジーグに乗って気分も軽く店内を徘徊し、ほぼ漁り尽くした頃、「あのー、この曲はなんですか? どのCDですか?」という素っ頓狂な声がレジからするので振り向いたらOL風の若い女性が講釈を垂れる店員に連れられて売り場へ。
目で追うと、鰤のそれがあった場所で止まったのだが「済みません、生憎と在庫が無くなっているようです」。そう、一組しか無かったのだ。ゴメン。その数分後、今度は短髪の高校生君が再び、「今掛かっている音楽は・・」だそうで、珍しいこともあるものだ。ちょっと哀愁を帯びたフランス組曲の旋律とチェンバロの輝いた音色ってのが割と人の耳に付くのかも知れない。
さて、演奏だが、若手のチェンバリスト、ベルダーの解釈は若々しい。アゴーギク、というかテンポ・ルバートが多用されていて、最初はヨタヨタした感じもするのだが慣れればこれはこれで船に揺られるような心地良さがあって、こういった解釈もありかと納得させられる。ジーグやブーレでは急峻なアチェレランドを効かせた加速感がこの人のポイントだ。
レオンハルトやリヒターの厳格で無駄のない解釈と静謐な鍵盤捌きを潔しとする人には不向きな演奏かも知れないがクイケン、更に古くはキース・ジャレットのフランス組曲にも通じる明るく抑揚に満ちた演奏である。
この曲集と同時代というか、合間に作曲されたBWV818と819も収録されている。姉妹曲と言ってよい。
(録音評)
ブリリアントの2枚組。音質は非常に良好。いつもながらの滑らかで刺激が少ない収録であって非常にDSDっぽい(仔細は不明)。
遠くもなく近くもない小さなステージの中央にセットされた、割と豊かな音量を発する大型のチェンバロが典雅な旋律を刻む。
上部雑音(Finger-Key Noise)が派手に収録されているし、ソリストの息遣いも入っている。また、ダンパーを降ろす時のカタン! と言うノイズが非常にリアルである。
澄んだ音色がちゃんと中央付近に定位し、チェンバロのボディが見えるかどうかが再生のポイント。久しぶりに元気なフランス組曲だ。また、オーディオ的にもお薦めの一枚。
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