Dolce@千住真理子 |
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1207597
(国内盤はこちら↓)
こちらは数年前に移籍した先のEMIオフィシャルサイト。
こちらは個人オフィシャルサイト:
去年だか一昨年だか、もう無くなってしまった日テレの対談番組に千住真理子が出ていて、銘器ストラディバリウス・デュランティとの出会いを熱っぽく話していた。その後、練習場所にしているという青葉台の東急フィリアホールに場面が移り、デュランティをちょっと弾いた。モノラルで、しかもテレビ音声なのではっきりは分からないが実に深みのある渋い音色だった。よし! そのうち生音を聴いてやるぞ、と思いながら実現せずにいた。
先月末、渋谷のHMVに寄ったら新譜コーナーにこれが大々的に飾ってあった。陳列棚には例によって美辞麗句を並べた解説カードが貼ってあったのだが、その一番最後に録音場所が書いてある。「フィリア・ホール」・・。
ドルチェとは柔和に・やさしくという意味の楽想記号である。結論から言うと、その楽想通りの小品集であった。
深い上にたゆたうような優美なVnだ。ヴィブラートのうねりが大きく、まるでメゾソプラノが歌っているような情感豊かな演奏だ。千住真理子の芸風は確かに変わった。正確で巧みな操弓術が耳に付く優等生的なVnはそこにはなく、作品に正面から向かうひたむきさが聴くものの心を打つ。
千住真理子はこの様な小品集でお茶濁しをしているようなソリストではなく、例えば著名なVnコンを弾き倒す実力の持ち主で、いま流行のビジュアル系タレント・ソリストとは一線を画すのである。だが、恐らく諸般の事情があってマイペースを保っていると言うことだろう。今後の活躍に期待したい。
(録音評)
EMIレーベルの国内物で高価であるが、まぁ録音の方はこんなものか。ホールの残響やピアノは控えめに録られていてVnがクローズアップされているのはこの手の作品の常套手段。
多少オン気味の綺麗なVnである。アマゾンのレビューにはヒスノイズが乗っていると酷評している人がいるが、自分の耳の残留ノイズを疑った方がよい。マイクアンプの残留ノイズが僅かに聞こえるのは日常的に良くあることであって目くじらを立てるほどの話しではないだろう。それより、デュランティの音はなんと優美なんだろう。擦れノイズすらノーブルである。
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