2006年 12月 15日
SL聴き比べ:Liszt: Piano Sonate |

今日はリストの大作にして唯一のソナタ。リストほどのピアノ特化型作曲家がソナタを生涯に一つしか書いていない、というのは意外かも知れないが事実だ。
リスト Liszt, Franz 1811~1886
ピアノ・ソナタ ロ短調 Sonate für Klavier S.718
ピアノ: アラウ、アルゲリッチ、ポリーニ
今更この天下の名曲を解説しようなどとは烏滸がましくて言えないのだが、ごく簡単に書いておく。
この曲は殆ど切れ目無く演奏される単一楽章の曲と言えるが、脈絡的には3楽章に別れていて、これらが提示部-展開部-再現部(コーダ付き)を成していると捉えることも出来る。それ故、無理にソナタと言えなくはないが、リスト以外が作曲したどのソナタにも似ていない独創的な形をしているが、本人がソナタだと言っているのでソナタなのだろう。継ぎ目がなく30分前後を要する巨大な単一楽章の「ソナタ」はなかなか例がない。
第一主題は暗く重く、そして精神が分裂した如くの狂気の衝撃が走る特徴的な短いもの、第二主題は長調で朗々と毅然と奏されるコラール風の単純スケールだ。
そしてピアノソナタとしては珍しくこの曲は第三主題を持ち、これは、「愛の夢」第三番に似た優雅にして儚さを伴った非常に美しい旋律だ。これらの三つの主題から断片として切り出された動機が複雑に、また想像を絶する変容を伴って組み合わされ、激しく緩急を付けながら走り去るかの如くに曲は進行する。
三人の演奏は以前の日記にも書いた通りのインプレなのだが、簡単に整理しておく。
アラウは男性的で雄大、かつ重量感のある骨太な解釈だ。譜読みも弾き込みも周到であって、時に毅然と弾き通し、時にメランコリックにつま弾いている世紀の名演奏だ。
アルゲリッチの激しさは最初から最後まで怒涛のように続くが、こと第三主題に関しては非常にセンチメンタルな一面を見せる。しかし、第一主題の山津波のような狂気の動機とともにその夢も瞬時にかき消されて元のベースラインに戻っていく。うーん、実に抑揚に飛んだ激しさだ。
ポリーニは鋼鉄のサイボーグの様に鉄面皮で淡々と弾いている。実にクールで清潔な解釈だ。全編をマルカート調で通しており、音と音の間は比較的離散的、そして、サスティン・ペダルも控えめに使っていて持続音も短めのあっさりとしたもの。他の二人に比べて静的な演奏で瞑想的とも言えよう。
個人的には若い血が滾っている狂気のアルゲリッチが好みだ。
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by primex64
| 2006-12-15 11:38
| Compilation
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