2006年 10月 30日
Steinway Legends: Gilels |
今日は元祖・鋼鉄のピアニストと渾名されたエミール・ギレリスの一枚目。ギレリスはリヒテルと共に20世紀ソビエト連邦を代表する巨匠ピアニストの一人で、今更私が蘊蓄を語るのは烏滸がましい。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/1239482
ベートーヴェン: ピアノソナタ第18番変ホ長調 作品31-3
シューベルト:幻想曲ヘ短調D940 (with エレーナ・ギレリス)
メトネル:ピアノ・ソナタ 第5番ト短調 作品22 ←初CD化
ブラームス:2つのバラード 作品10
モーツァルト:幻想曲 ニ短調 K397
ギレリスは1985年に逝去しているが、私の記憶が確かなら1979年に日本に来ている。何故なら、何を隠そう1979年の秋、銀座の鳩居堂前だったかCOREの前だったかでギレリス夫妻に偶然呼び止められ、道をきかれたのだ(!!)。このロシア人の老人が世界的に高名なピアニストだと知っている人はいなかったようで、行き交う誰もが取り合っていなかったためか、学生である私に声を掛けたのだろう。夫妻が行きたかったのはヤマハ銀座店、帝国ホテルのメモ用紙にローマ字でYAMAHAと走り書きしてあった。道すがら、あなたはエミールか? と変な英語で聞いたらヤー! と肯定した。彼が嗄れ声で捲し立てるロシア語はさっぱりだったがヤマハまで一緒に付いて行き、中二階の楽譜売り場に案内した。何やら嬉しそうにしわしわの顔を更にしわしわにして楽譜を漁っていたようだった。暫く経ち、私は彼と握手をして別れた。これが最後の来日になったのだと思う。サインくらいもらっておけば良かったのだが、当時それを思い付くことはなかった。
ギレリスはベートーヴェンのソナタ等に定評のあったピアニストだが、このシューベルトの有名な連弾曲である幻想曲の出来映えは凄いのひと言だ。愛娘エレーナとの息はドンピシャ、鬼気迫るものがあると言うと語弊があるかも知れないが、研ぎ澄まされて一分の隙もない独特の緊張感には鳥肌が立つほどだ。
メトネルはラフマニノフと親交の深かったロシアのピアニスト/作曲家で、同門下にスクリャービンがいる。作風は似ているがこのト短調ソナタは、より激しくより幻想的な壮大な曲。一気に駆け抜ける演奏は素晴らしいが、これは古いモノラル録音だ。
エミール・ギレリスの二枚目。凄まじい集中力と切れの良いタッチは現代においても全然通用する。というか、現役ピアニストでこれだけの速いパッセージを図太いエネルギー感を伴ったまま弾き抜けられる人はどれだけいるだろうか?
ショパン:ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 作品58
グリーグ:叙情小品集より9曲
モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第3番 変ロ長調 K281
硬質のショパンはその後のポリーニらに引き継がれている芸風だと思う。パワフルで遊びが無く、聴く者の耳をグリップして離さない訴求力は独特のものがある。
グリーグにおけるギレリスのタッチは思いのほか強くコントロールされており、荒々しさは微塵もない。非常に滑らかでビロード・タッチだ。なんだかアレクシス・ワイセンベルクのような舐め回す感じとイングリット・へブラーの潔く清らかなタッチが融合したような何とも不思議な弾き方だ。しかし叙情に流されることはなく全体に速めのテンポで加速していく。
(録音評)
アナログマスターとしては優秀な調音だ。一部モノラル録音もあるがこれはご愛敬。ピアノの姿が実在感を伴って中央に定位するのは他のDGが担当したSteinway Legendsと同様の出来映えだ。磁気テープならではのふくよかなピアノで、硬質なギレリスの演奏を楽しむことが出来る。
1日1回、ポチっとクリック ! お願いします。


http://www.hmv.co.jp/product/detail/1239482
ベートーヴェン: ピアノソナタ第18番変ホ長調 作品31-3
シューベルト:幻想曲ヘ短調D940 (with エレーナ・ギレリス)
メトネル:ピアノ・ソナタ 第5番ト短調 作品22 ←初CD化
ブラームス:2つのバラード 作品10
モーツァルト:幻想曲 ニ短調 K397
ギレリスは1985年に逝去しているが、私の記憶が確かなら1979年に日本に来ている。何故なら、何を隠そう1979年の秋、銀座の鳩居堂前だったかCOREの前だったかでギレリス夫妻に偶然呼び止められ、道をきかれたのだ(!!)。このロシア人の老人が世界的に高名なピアニストだと知っている人はいなかったようで、行き交う誰もが取り合っていなかったためか、学生である私に声を掛けたのだろう。夫妻が行きたかったのはヤマハ銀座店、帝国ホテルのメモ用紙にローマ字でYAMAHAと走り書きしてあった。道すがら、あなたはエミールか? と変な英語で聞いたらヤー! と肯定した。彼が嗄れ声で捲し立てるロシア語はさっぱりだったがヤマハまで一緒に付いて行き、中二階の楽譜売り場に案内した。何やら嬉しそうにしわしわの顔を更にしわしわにして楽譜を漁っていたようだった。暫く経ち、私は彼と握手をして別れた。これが最後の来日になったのだと思う。サインくらいもらっておけば良かったのだが、当時それを思い付くことはなかった。
ギレリスはベートーヴェンのソナタ等に定評のあったピアニストだが、このシューベルトの有名な連弾曲である幻想曲の出来映えは凄いのひと言だ。愛娘エレーナとの息はドンピシャ、鬼気迫るものがあると言うと語弊があるかも知れないが、研ぎ澄まされて一分の隙もない独特の緊張感には鳥肌が立つほどだ。
メトネルはラフマニノフと親交の深かったロシアのピアニスト/作曲家で、同門下にスクリャービンがいる。作風は似ているがこのト短調ソナタは、より激しくより幻想的な壮大な曲。一気に駆け抜ける演奏は素晴らしいが、これは古いモノラル録音だ。
エミール・ギレリスの二枚目。凄まじい集中力と切れの良いタッチは現代においても全然通用する。というか、現役ピアニストでこれだけの速いパッセージを図太いエネルギー感を伴ったまま弾き抜けられる人はどれだけいるだろうか?
ショパン:ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 作品58
グリーグ:叙情小品集より9曲
モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第3番 変ロ長調 K281
硬質のショパンはその後のポリーニらに引き継がれている芸風だと思う。パワフルで遊びが無く、聴く者の耳をグリップして離さない訴求力は独特のものがある。
グリーグにおけるギレリスのタッチは思いのほか強くコントロールされており、荒々しさは微塵もない。非常に滑らかでビロード・タッチだ。なんだかアレクシス・ワイセンベルクのような舐め回す感じとイングリット・へブラーの潔く清らかなタッチが融合したような何とも不思議な弾き方だ。しかし叙情に流されることはなく全体に速めのテンポで加速していく。
(録音評)
アナログマスターとしては優秀な調音だ。一部モノラル録音もあるがこれはご愛敬。ピアノの姿が実在感を伴って中央に定位するのは他のDGが担当したSteinway Legendsと同様の出来映えだ。磁気テープならではのふくよかなピアノで、硬質なギレリスの演奏を楽しむことが出来る。
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by primex64
| 2006-10-30 10:27
| Compilation
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