Shostakovich: Chamber Symphonies@Barshai, Milano Giuseppe Verdi SO |
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ショスタコーヴィチ(ルドルフ・バルシャイ編曲):室内交響曲集
弦楽器と木管楽器のための交響曲ヘ長調作品73a(弦楽四重奏曲第3番)
室内交響曲作品83a(弦楽四重奏曲第4番)
室内交響曲(アイネ・クライネ・シンフォニー ハ長調)作品49a(弦楽四重奏曲第1番)
室内交響曲作品110a(弦楽四重奏曲第8番)
室内交響曲作品118a(弦楽四重奏曲第10番)
ルドルフ・バルシャイ/ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団
ショスタコーヴィッチのオリジナルの弦楽4重奏を若き日のバルシャイが室内アンサンブル向けに編曲したもので、作品番号はいずれも後ろに「a」が付くが、この編曲は存りし日のショスタコと十分な打ち合わせを行った上で実施され、ショスタコ自身がこれに作品番号を与えたという異例中の異例、いわばバルシャイがショスタコからお墨付きをもらった、いや共同編曲といった方が正確な表現の作品集なのである。
バルシャイはいままでヨーロッパ室内管弦楽団や水戸室内管弦楽団と室内交響曲を録っているので再々録音ということになるが、年齢的なことを考えると恐らく今回が最後の収録と言うことになるだろう。
バルシャイは高齢ながら、精力的に来日しては読響などを客演したりしている。この以前の日記にも書いているが、バルシャイはショスタコーヴィチの交響曲全集を録り終えていて大変な評判を呼んだが、この曲集はいわばその続編といった位置付け。
曲はどれもがスターリニズムの色彩と陰を纏った不可思議で不安定、しかしショスタコ独特の構築美を見せるものだ。解釈するに難解であり、聴きづらい作品集かも知れないが、Op.49のアイネ・クライネ・シンフォニーは割と有名でコンサートなどでも取り上げられている分かりやすい曲といえるだろう。
演奏はとにかく瑞々しいのひとこと。若い楽団らしく楽器もビビッド、バルシャイのリードも速めで聴いていて楽しい。
(録音評)
BRILLIANTレーベル BRL 8212
ブリリアントは廉価版全集ボックス専門レーベルであり、品質・音質共にいい話は聞かないが、実際に購入してみるとそんなことはなく満足行くものである。しかもこの二枚組が店頭価格で1,000円しないのは驚きである。従来は他の大手レーベルから旧録音のライセンスを安く買い付けてボックス化するという手法が主だったのだがこのCDに関しては全くの新録音であり、音質も素晴らしい。
手前に弦セクション、中間に木管とホルン、後段に少数の打楽器が並び、割と音像は大きめに、しかも隈取りも凛々しく堂々とした録音である。特に微細音のディテールが素晴らしく大手レーベルをしのぐ生々しさである。
ライナーや関連Webでも一切情報は得られないが、これはDAWを使ったDSDレコーディング/マスタリングではなかろうか。何故ならば点描画で全体の姿を浮き立たせる、いわゆるPCM臭さが一切無く、非常に滑らかなDSD特有の曲面で全体像をフワリと捉えているからだ。ストレスなく放散されるコントラバス、チェロの胴鳴りは等身大であり、PCMではなかなか得られない生々しさだ。
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