2006年 09月 01日
Holst: Planet@Rattle BPO |
今日はなにかと話題の二枚組の惑星@ラトルBPO。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/1273701
(国内盤はこちら↓)

ホルスト:惑星(マシューズ:冥王星付き)
その他、宇宙絡み
サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー
発売時にHMVの店頭で平積みされているのを思わず手にして買ってしまったが、何故か今まで封も切らずに放置していたもの。聞かずに積んでいる間に冥王星が惑星から外されてしまったという不遇のラトル再録音盤「冥王星付き」惑星である。ラトルはずっと以前に惑星をフィルハーモニア管と録ったが、あれも良かった。
演奏はラトル独特の軽いアチェレランドを伴っているが実にモデレートで精密感溢れるものだ。テンポは初録音より多少は速いが、極めて速いというわけではない。極端なルバートもなく、間延びしたダルな雰囲気は皆無である。
惑星は、これまた録音の多い曲であり、玉石混淆、元々ピアノ連弾曲として書かれているためか鍵盤楽器のものもシンセサイザーのものもあり、それこそ多種多様な録音が世に存在する。その中でも王道を行くオケもので最新録音の決定盤が欲しいとは思っていたところ。
BPOの、例によって冷気を伴った青光りする弦、ソリッドで先鋭的な管が大炸裂する横綱級の堂々たる演奏で、何にも阿ることのない孤高の名演と言って良い。
常に話材とされる木星・第二主題のVn、Va、Vcはまるで歌手が歌っているような馥郁たるヴィブラートが掛けられていて、その振幅の大きさ、ユニゾンの美しさは目を見張るばかりである。コリン・マシューズの冥王星はちょっと寂しく儚いが全体にマッチする良い演奏。
二枚目に入っている曲たちはどれも歴とした現代音楽であり、無旋律で無拍子と考えて良い。一部旋律のようなものも現れるがシェーンベルクや武満と同種と考えれば間違いない。
これらは、ホルストの惑星が余りにも完成度が高かったが、ちょっと前まで話題となった冥王星が発見前であり収録がなかったこと、
また小惑星の中でも寸法が大きなものが見つかったりということで、これらをホルストの原典版のお尻に新たな曲として付け加えようとする試みと言える。
具体的には、サイモン・ラトルが4人の現代作曲家に委嘱してこれら4曲を作曲してもらい、BPOの定期演奏会で初演したという。マシューズの冥王星は1枚目のお尻、そしてこれら4曲は二枚目に収録と、惑星に追加した形にはなっていなくて独立した作品群と考えてよいだろう。さすがに作風が違いすぎるし、今となっては独立した構成としておいて正解だったのではないか。
小惑星4179:トータティス
割と大きめの小惑星トータティスを題材としている。カイヤ・サーリアホ作曲
オシリスに向かって
恒星HD 209458の惑星、オシリスを題材としている。マティアス・ピンチャー作曲
セレス
小惑星セレス(現在は矮惑星に分類されている)を題材としている。マーク=アンソニー・タネジ作曲。2006年の国際天文学連合総会において、この天体を惑星に分類しなおす提案がなされたことから特に話題になった。が、結果はご存知、却下である。
コマロフの墜落
宇宙からの帰還中に事故死したソ連の宇宙飛行士、ウラジミール・コマロフを題材としている。ブレット・ディーン作曲。とても怖くて悲しい曲だ。宇宙開発の過当競争の犠牲となったコマロフ大佐の冥福を祈りたい。また、コマロフが自らの死を賭して守ったとされる、ユーリー・ガガーリンというかつて名を馳せた宇宙飛行士がいたことも忘れてはならない。
ここが詳しい→ http://www.infobears.ne.jp/athome/cactus/ussrspace6.htm
(録音評)
昨今のEMIクラシックスは音質が際立っていて目(というか耳)が離せない。これもその例に漏れず素晴らしい録音である。フィルハーモニック・グロッサーザールの硬く少なめの残響と相俟って、精密機械のようなBPOの楽器群が細密画のように録られている。まさに息を呑む温度感の低い超優秀録音である。
巨大ユニバーサル帝国に対し果敢に意欲作をリリースしてくるEMIのCDは最近我が家では増加傾向である。
1日1回、ポチっとクリック ! お願いします。


http://www.hmv.co.jp/product/detail/1273701
(国内盤はこちら↓)
ホルスト:惑星(マシューズ:冥王星付き)
その他、宇宙絡み
サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー
発売時にHMVの店頭で平積みされているのを思わず手にして買ってしまったが、何故か今まで封も切らずに放置していたもの。聞かずに積んでいる間に冥王星が惑星から外されてしまったという不遇のラトル再録音盤「冥王星付き」惑星である。ラトルはずっと以前に惑星をフィルハーモニア管と録ったが、あれも良かった。
演奏はラトル独特の軽いアチェレランドを伴っているが実にモデレートで精密感溢れるものだ。テンポは初録音より多少は速いが、極めて速いというわけではない。極端なルバートもなく、間延びしたダルな雰囲気は皆無である。
惑星は、これまた録音の多い曲であり、玉石混淆、元々ピアノ連弾曲として書かれているためか鍵盤楽器のものもシンセサイザーのものもあり、それこそ多種多様な録音が世に存在する。その中でも王道を行くオケもので最新録音の決定盤が欲しいとは思っていたところ。
BPOの、例によって冷気を伴った青光りする弦、ソリッドで先鋭的な管が大炸裂する横綱級の堂々たる演奏で、何にも阿ることのない孤高の名演と言って良い。
常に話材とされる木星・第二主題のVn、Va、Vcはまるで歌手が歌っているような馥郁たるヴィブラートが掛けられていて、その振幅の大きさ、ユニゾンの美しさは目を見張るばかりである。コリン・マシューズの冥王星はちょっと寂しく儚いが全体にマッチする良い演奏。
二枚目に入っている曲たちはどれも歴とした現代音楽であり、無旋律で無拍子と考えて良い。一部旋律のようなものも現れるがシェーンベルクや武満と同種と考えれば間違いない。
これらは、ホルストの惑星が余りにも完成度が高かったが、ちょっと前まで話題となった冥王星が発見前であり収録がなかったこと、
また小惑星の中でも寸法が大きなものが見つかったりということで、これらをホルストの原典版のお尻に新たな曲として付け加えようとする試みと言える。
具体的には、サイモン・ラトルが4人の現代作曲家に委嘱してこれら4曲を作曲してもらい、BPOの定期演奏会で初演したという。マシューズの冥王星は1枚目のお尻、そしてこれら4曲は二枚目に収録と、惑星に追加した形にはなっていなくて独立した作品群と考えてよいだろう。さすがに作風が違いすぎるし、今となっては独立した構成としておいて正解だったのではないか。
小惑星4179:トータティス
割と大きめの小惑星トータティスを題材としている。カイヤ・サーリアホ作曲
オシリスに向かって
恒星HD 209458の惑星、オシリスを題材としている。マティアス・ピンチャー作曲
セレス
小惑星セレス(現在は矮惑星に分類されている)を題材としている。マーク=アンソニー・タネジ作曲。2006年の国際天文学連合総会において、この天体を惑星に分類しなおす提案がなされたことから特に話題になった。が、結果はご存知、却下である。
コマロフの墜落
宇宙からの帰還中に事故死したソ連の宇宙飛行士、ウラジミール・コマロフを題材としている。ブレット・ディーン作曲。とても怖くて悲しい曲だ。宇宙開発の過当競争の犠牲となったコマロフ大佐の冥福を祈りたい。また、コマロフが自らの死を賭して守ったとされる、ユーリー・ガガーリンというかつて名を馳せた宇宙飛行士がいたことも忘れてはならない。
ここが詳しい→ http://www.infobears.ne.jp/athome/cactus/ussrspace6.htm
(録音評)
昨今のEMIクラシックスは音質が際立っていて目(というか耳)が離せない。これもその例に漏れず素晴らしい録音である。フィルハーモニック・グロッサーザールの硬く少なめの残響と相俟って、精密機械のようなBPOの楽器群が細密画のように録られている。まさに息を呑む温度感の低い超優秀録音である。
巨大ユニバーサル帝国に対し果敢に意欲作をリリースしてくるEMIのCDは最近我が家では増加傾向である。
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by primex64
| 2006-09-01 10:30
| Orchestral
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