2006年 08月 25日
Ravel: Valses nobles et sentimentales@Boulez Cleveland O |

これは、以前に書いたラヴェル両Pコンにカップリングされている曲で、邦題を「高雅で感傷的なワルツ」という。最初はピアノ曲で書かれたのだが後にオーケストラ版にも編曲され今日ではその方が一般的と思われる。
この曲にはフランス楽派らしいエピソードが残っている。このラヴェルの小曲はシューベルトの「高雅なワルツ」を模倣して書かれているということだが、、まずタイトルからしてふざけている。高雅に「感傷的」を足したのだ。シューベルトの作品と旋律は違うが、和音進行(コード進行)とリズムが殆ど同じで、明らかにパロって書いたものだ。ラヴェルの方はシューベルトの純和音的ワルツとは違い、ラヴェルらしいセンチメンタルでお洒落な不協和音が随所に散りばめられたいわば「薫る」ワルツだ。パロディが単なる下衆なパロディで終わらないところがラヴェルだ。
後に、このラヴェル作品をひねくれた嫉妬の目で見ていたサティが、やはり同じ手法(同一コード進行・リズム)で「嫌らしい気取り屋の三つの高雅なワルツ」という、更にエスプリを効かせた、というか、ふざけた曲を書いている。サティはラヴェルの成功を尻目で見ながら場末の居酒屋でいじけて着想したに違いない。因みに「嫌らしい気取り屋」とは勿論ラヴェルのことだ。
さて、この演奏は、恐らく高雅ではあろうが、感傷的かどうかは保障の限りではない。ブーレーズの得意なラヴェル作品ではあるが、独特のおふざけの境地まで彼が巧く乗り切れるか否かはこれを聴いてから各自判断して欲しい。結論的には、まあまあ、と言ったところだろうが、「感傷的」という部分は削げ落ちていると思った方がいいだろう。
(録音評)
マソニック・オーディトリアムでの収録。円形劇場特有の空間感と、クリーヴランド管のディテールが精密に刻み込まれた超優秀録音である。文句の付けようがないくらい素晴らしい録音だ。
by primex64
| 2006-08-25 09:34
| Orchestral
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