Boccherini: Cello Sonatas@Anner Bylsma |
ビルスマ/ボッケリーニ:チェロ・ソナタ集
ボッケリーニは日本ではあんまり有名じゃないかも知れない。ウィキペディアからその生涯を引用してみよう。
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ルイジ・ボッケリーニ(Luigi Boccherini、1743年2月19日 - 1805年5月28日)は、イタリアのルッカ生まれの作曲家、チェロ奏者。
同時代のハイドン、モーツァルトに作曲家としては隠れた存在であるが、存命中はチェロ演奏家として高名で、自身の演奏のためにチェロ協奏曲・チェロソナタ、弦楽四重奏にチェロを1本加えた弦楽五重奏曲を多く残した。その中でも弦楽五重奏曲ホ長調G275の第3楽章は「ボッケリーニのメヌエット」として有名である。
当時弦楽器が盛んだったイタリアに生まれる。父親は町楽師のチェロ・コントラバス奏者だった。その父親や、ルッカ大聖堂楽長のフランチェスコ・ヴァヌッチからチェロを学ぶ。その後ローマでも研鑽を積み、20歳前半には父とともにウィーンの宮廷に勤め高い評価を得る。父が亡くなったあとはヴァイオリン奏者のマンフレディーニと組み、ヨーロッパ中で華々しく演奏活動を行う。1767年には演奏会の本場パリで成功を収めるなど、名声は名高く、やがてスペインの宮廷に招かれ、そこで後半生を送った。
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ボッケリーニは自身が高名で熟練したチェリストであったため、作品の演奏難度が概して高く、VcコンやVcソナタ、弦楽五重奏曲での主席Vcパートは特に高難度と言われている。この演奏の難しさがボッケリーニ作品が世に普及するのを妨げて来たような気がする。去年2005年はボッケリーニ没後200年という節目だったが、目立ったキャンペーンが企画されたという記憶はない。
爽やかにして軽妙、明暗の赴くままに弦を縦横に奏でる往時のボッケリーニの姿が、このアルバムの主役であるアンナー・ビルスマーのとぼけた顔に重なって見えるようだ。
このCDは土曜の朝、遅めの朝食を食べながら掛けることが多い。トーストにバターを塗りながら、ゆっくりとこのアルバムを聴けば、半分眠っていた身体と頭脳が徐々に活性を取り戻す。朝の陽光に似合う華やいだ爽やかな演奏だ。ビルスマーはチェロを優しく美しく弾き、起伏の激しい旋律もいとも簡単にトレースして行く。バッハやボッケリーニと言った宮廷音楽に特に秀でた演奏を見せるビルスマーは当代切ってのチェリストの一人だ。
(録音評)
ソニークラシカル、VIVARTEレーベル、1993年録音とある。天井の高いサロン風の場所での収録と聴き取れる。自然で豊かな残響は非常に清潔、ビルスマーのチェロはとても美しく艶消しの趣を醸すが、実は良く聴き込むと非常に克明な弓捌きが収録されている。各楽器の音像は近くも遠くもなく、ビシッと定位が決まり、音場も深々と展開する。素晴らしい録音である。