読売日響・450回定演 |
7月1日(土) 午後6時開演 サントリーホール(赤坂)
指揮:ゲルト・アルブレヒト
サックス=平野 公崇
ドラムキット=藤本隆文
■ハリソン・バートウィッスル: パニック
■ニコラウス・フーバー: アン・ファス・ダン・ファス
■原田敬子:2006年度読響委嘱作品
アザー・サイドⅡ
■グバイドゥーリナ: シュトゥフェン
原田作品以外の三曲は全て本邦初演、原田作品はホントの初演、ということでプレスや関係者が結構沢山詰め掛けていた。
原田作品の前に長々とアルブレヒトによる曲中の技法、作風の解説、そして原田自身へのインタビューが逐次通訳付きで入った。まあ、この時間が結構長かった。いつ、どうやって音楽を作っているのだ? 午前中という人が多いが・・、との問いには、寝ている時にイメージが湧くことも多いとの仰天発言、でこの曲は起きている時に考えついてまとめたものだとか、まぁ、どうでもいい話といえばどうでも良い。
最後にアルブレヒトは現代音楽について擁護の発言をしていた。現代音楽の作曲家は、一般人が分からないのを良いことにいい加減にやってるんじゃないかとか言われていて一部に偏見があるが、決してそうじゃない。理解して欲しい・・・。だそうだ。
確かにそう言う一面は否めないだろうな、と思った。が、それは我々聞き手が成熟していないためであり、古来の旋律音楽から一歩脱却し、従来の常識を捨てなければならないことを意味する。決して偏見はないのだが・・。
パニックは本当に連続的音響展開を裏切る意外性の作品。ジャズっぽいといえばジャズっぽいが更に突き抜けている。
アンファスダンファスは以前、NHK-FM現代音楽の時間にやっていて、昨日聴いたのは二回目。聞き手の予測を裏切る調性変異は平均律クラヴィーアのスケールを超現代風にしたものか・・?
アザー・サイドは無旋律だが各パートの掛け合いの中に偶発的に旋律らしきものが見つかるというフワフワ、またタイトな印象が交錯する絶妙な作品。ダイナミックレンジも周波数レンジも大変にバランスが取れた秀逸な作品だがどこか和風というか四季の趣を感じる。
最後ピアノにチェンバロ+チェレスタ(これは掛け持ち)まで加えた最大構成の現代曲で、実に和む音世界。不安を掻き立てるパートでもどん底に落ちる直前に救いが来るという不思議な平和感がある。最後、リルケの詩の朗読がテープエコー的にリフレインで随所に設置されたスピーカーから、更にディレイを伴って流れて来て謎めいたフィナーレも絶好調のうちに終わった。
今回の招待券は1階E列5番という事で、かぶりつき最左翼であった。そういえば始まる前のエントランスにピアニストの小山実稚恵さんが外人の(男性の)ご老人を連れられて見えていた。演奏が始まる直前、ふと前方を見上げるとP席の右手最前列にこのお二人が陣取っておられた。