Chopin: Preludes@Pollini |
この中の15番変ニ長調がかの有名な「雨だれの前奏曲」である。
また、7番イ長調は太田胃散のCMで永らく使われていて日本では有名だろう。
この曲集はバッハの平均律クラヴィーア曲集から影響を受けたと言われている。事実バッハのクラヴィーア曲集と全体の構成や雰囲気、長さなどが似ている。
平均律における調性は全部で24通りあるが、これの全てを用いて書かれている。配列はハ長調を起点として5度循環形式となっており、ハ長調の次に平行調のイ短調、その次に完全5度上のト長調とホ短調、という並びになる。その後も順次♯記号が1つずつ増えていくが13番を嬰へ長調で書き、第14番を変ホ短調と、ここで♯記号から♭記号に変え、♯と♭の総数が同じになるように対称に配置させている。
この曲集の一つ一つは極めて簡潔なピアノ曲なのだがショパン特有のロマンが湛えられ、美しい楽想が聴き手の耳にストレートに届いてくる。穏やかな長調の曲と激烈な短調の作品が交錯するのが魅力である。
作曲の時期は1836~1839年とされている。有名な「雨だれ」を含め本作品にまつわるマジョルカ島「ヴァルデモーザの僧院」での数々のエピソードは信憑性の低い推測とされる。何故ならショパンはジョルジュ・サンドとマジョルカ島へ逃避行を決意したとき既にこの曲集の殆どを書き上げており、出版社と契約を交わしてその前金を受け取り、これを逃避行の旅費に充てたというのが実態だったようだ。
これは若かりし日のアルゲリッチのプレリュードOp.45と遺作も入った完全版、
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ひたすら激烈なラテン・タッチだ。繊細なショパンの曲集にしては激しすぎると思われる向きには、やはりポリーニだろう。
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完璧過ぎるテクニックは例によってサイボーグ的。剛直でソリッドな質感はポリーニならでは。言うならばメタリック・ショパン。個人的にはこちらが好きだ。
(録音評)
アルゲリッチ盤は1975年10月、1977年2月の録音とある。ポリーニ盤は1974年6・7月ミュンヘンで録音とある。どちらもアナログ時代らしい煌びやかな音調だが、ポリーニ盤の方がエコーが強い感じで明るい音だ。いわゆるハイファイ・サウンドではないがピアノ録音としては優秀な方だ。