J.S.Bach: English Suite BWV806~811@Leonhard |
作曲は先のフランス組曲より古くて1708~1717(ヴァイマール時代という)とされている。BWV番号もフランス組曲の前となっている。何故イギリスなのかは例によって良く分からない。バッハは前奏曲付組曲と呼んでいたようで、確かにアルマンド、クーラント、サラバンド、ジーグなどのフレームの前にプレリュードが付いている。
例えば、憂愁の旋律を湛えたイ短調のBWV807(2番)は、チェンバロ協奏曲の様な快活で長いプレリュードを持ち、その後アルマンド、フランス風のクーラント、サラバンド(変奏リフレイン付き)、ブーレ(二つ)、ジーグという複雑ながら基本部は割と舞曲組曲のフレームに忠実な形式を取る。
さきのフランス組曲より華美で豪勢な雰囲気がなく、質素にして質実剛健な古典組曲。長調よりも短調を基調に切々とつま弾かれる主旋律と鮮やかな展開部が特徴だ。まぁ、こればっか聴いていると悲しくなってくるが・・・。
例によってkadenzaさん的にはこれしかないだろう。これはSACDハイブリッドだし、Classe OMEGA SACD2でお洒落に聴きたいところだ。
(詳細は↓クリック)
では、私のお薦めは、というと、
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レオンハルトは実直で厳しい弾きっぷりのチェンバリストなのだが、このイギリス組曲は何故か楽しそうに弾いている。厳めしさはなく、そうは言っても持ち前のテクニックと盤石のバッハ解釈には揺らぎはない。抑揚のつかないチェンバロで抑揚を聴かせる教科書的演奏だ。
(録音評)
1973年録音で、SEONレーベルのLPレコードの全集を遙か昔高校生時代に買った。廃盤になって忘れていた頃にソニーがマスター原盤を買ったのか譲り受けたのかは知らないが、何と! 去年から「レオンハルト・エディション」なるシリーズものがドバッ!と出てきた。レオンハルト・マニアには嬉しい限りだ。その中の2枚である。音質は現代のデジタルにはない瑞々しいものであるが、当時のLPとはちょっと音が違うみたいだ。リマスターによりノイズ除去や位相整合などが行われているのだろう。超高音質を期待してはいけないがまぁ行ける。