読売日響@Rudolf Barshai |
読響では初めての客演かと思っていたら1989年に一度登場したらしく今度は17年ぶりとのこと。
プログラムはモーツァルト豪華三本立てで、35番リンツ、協奏交響曲、39番だった。
まずはリンツ。初めて目にするバルシャイの姿はCDジャケ等でうかがう強面ではなく凛とした好々爺、それと足元が覚束ないくらいお歳を召している。三面手摺り付きの指揮台によっこらしょと上がると瞑想的な腕振りにてイントロに取りかかる。相変わらず寝起きの悪い読響だが、元々爽快感を伴うリンツを、更に軽やかに謳わせていく。悪くないゾ、このおっさん。
ハフナーだが、揺らめくような茫洋としたタクト運びで2楽章まで進んだ。そして3楽章メヌエットはいよいよオケのエンジンがかかった感じでティンパニとコンバスが躍動的になってきた。そして4楽章プレストに突入するが、息を切らせることなく駆け抜けるテンポは普通の演奏より多少速めだ。ホルン始めブラスセクションのタンギングも乱れがなく小気味よいフィナーレだ。
続いてはVnとVaのための協奏交響曲。ソリストは若い長原幸太と鈴木康浩という人たちでバルシャイとは曾祖父と曾孫くらい離れているかも。二人とも元気な読響に負けない音量を持っている。特にVaの鈴木君はいい味を出してるし演奏も実際に巧かった。これ、3楽章形式のキュートな佳作だが、それぞれの楽章が余り主題関連性を持っては作られておらず、ひたすらVnとVaの掛け合いの妙味に浸ることが出来る楽しい作品。出来映えとしては多少速めのパッセージで、指揮したバルシャイと若手ソリストの息がピッタリ合っていて良かった。この曲の最近の録音といえばこれ、
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ムターの弾き振りで、Vaは名手ユーリ・バシュメットだ。色気ムンムンのムター&老獪なバシュメットも良いが、日本人青年による尖ったフレッシュな演奏も良かった。
若者二人は喝采を浴びて3度挨拶に出て、4回目にはアンコールに応えた。モーツァルトの弦楽二重奏1番(?)だったか・・。
休憩を挟み、39番シンフォニーだ。オケの調子は全開である。バルシャイ翁も最後の気力を振り絞って登壇し、軽やかに第一楽章を始める。時に繊細にアダージオを紡いで行きアレグロに変移する。Vnの下降音階がビシッと揃っていて気持ちが良い。二楽章は短調を伴ったアンダンテで重厚感と閉塞感が抜群の集中力、三楽章は有名なメヌエットで木管が活躍、最終楽章は最初から突き抜けるアレグロで、一気にトゥッティを迎える。
今年はやはりモーツァルトが多いな・・。