2026年 03月 12日
ショパンピアノ@古畑祥子@ミューザ川崎/音楽工房市民交流室 |
これは昨日開催された古畑さんのリサイタルの記録。
春のリサイタルはずっと神奈川県民ホールだったが、建て替えのために閉館ということで今年はミューザ川崎の音楽工房市民交流室での開催だった。
3月11日は東日本大震災から15年となる節目の日。あの日と同様に肌寒い一日となった。横浜駅で東海道線(上野東京ライン)に乗り換えてJR川崎駅まで。歩いて3~4分でミューザ川崎シンフォニーホールに到着。大ホールのエントランス脇から音楽工房、そして市民交流室へと向かう。大ホールはオケのコンサートを聴きに何度も来ていたが、ここ市民交流室は初めてだった。
市民交流室なる名称から会議室のような部屋かと思っていたら、段差のない小ホールという感じだった。ステージ背面や客席背面には非平行面の木質系反射板、側壁や天井には音響拡散体が貼付してあり音質はそこそこ良さそうだった。で、ステージには古畑さんがいつも弾いてるスタインウェイのフルコン(フルコンサート・グランド)D-274ではなく、セミコンのB-211が置かれていて、この時点でちょっと予感するものがあった。
今回のプログラムは昨年までは後半に入れていたムソルグスキー展覧会の絵、フランツ・リストなどは外し、前半/後半ともに純粋なショパン・プログラムで構成。
F.Chopin:
Nocturne KK.IVa/16 No.20 C♯ min.
Nocturne Op.9-2 E♭ maj.
Nocturne Op.27-2 D♭ maj.
Étude Op.10-3 E maj.
Étude Op.10-4 C min.
Étude Op.10-12 C min.
Scherzo No.2 Op.31 B♭min.
- Interval -
Waltz Op.69-2 B min.
Waltz Op.64-2 C♯ min.
Impromptu Op.66 C# min(posth.) " Fantaisie-Impromptu"
Étude Op.25-7 C♯ min.
Étude Op.25-11 A minor "Winter Wind"
Andante spianato et grande polonaise brillante Op.22 E♭maj.
Encore:
Debussy: Suite bergamasque, L.75 3. Clair de lune
A.Piazzolla: Libertango
Sachiko Furuhata-Kersting(Pf)
去年のサントリーブルーローズの英雄ポロネーズを外し、ノクターン、エチュード、そしてスケルツォ2番で構成している。
遺作ノクターンが始まった途端、ピアノの音にちょっとした違和感があった。スタインウェイの特徴である鋭利で細めの音粒、そして透明度が高いブリリアンスを伴った残像が感じられず、言い方は良くないが全般的に鈍重な音なのだ。これはハンマーやダンパー調整、あるいは調律の不良のせいかもしれない。そこへ来ていつもの古畑さんの強圧タッチが加えられると凄まじく太い音が場内に鳴り響くのだ。しかし古畑さんの演奏自体は良く、いや去年よりも更にエナジー感を増している感じで秀逸だ。今年の前半のトリに持ってきたスケルツォ2番が圧巻。サチコ節が炸裂してアップテンポ部は激烈、インテンポ部では滔々としたレガートの流れを優美に深く形成していた。
今年は幻想即興曲を後半の真ん中に持って来ていて、これがまた鮮やかで何とも言えない色彩感。中間部の揺蕩うアンダンテから一気に加速してコーダ部へと向かう古畑さんのタッチが正確無比かつ強烈な音圧レベル、いや風圧を感じるほどの強打鍵で凄い。たぶん今年初めて入れたと思われるアンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズは規模感が大きい作品。テンペラメントの抑揚が強く、また音量的にもダイナミックレンジが極めて広くて起伏が激しい作品だ。ここでもサチコ節が炸裂し本領発揮し、熱量は最大に達した。素晴らしい解釈、演奏だった。なお、古畑さん自身がアンコール後に語ったのは、映画「戦場のピアニスト」で用いられたオープニング曲が、この日のプログラム冒頭の遺作ノクターン、そして映画のエンディング曲がこのアンダンテ・スピアナートだった由。いま世界で戦争がいくつも起きており、平和への強い願いと祈りをこめて選曲したとのこと。
アンコールはドビュッシーの月の光、そして古畑さん自らが加えたアストル・ピアソラのリベルタンゴだった。幻想的できらりと光る月の光、乗り乗りのテンションで弾きまくったリベルタンゴと綺麗な締めだった。


春のリサイタルはずっと神奈川県民ホールだったが、建て替えのために閉館ということで今年はミューザ川崎の音楽工房市民交流室での開催だった。



プログラム
今回のプログラムは昨年までは後半に入れていたムソルグスキー展覧会の絵、フランツ・リストなどは外し、前半/後半ともに純粋なショパン・プログラムで構成。

F.Chopin:
Nocturne KK.IVa/16 No.20 C♯ min.
Nocturne Op.9-2 E♭ maj.
Nocturne Op.27-2 D♭ maj.
Étude Op.10-3 E maj.
Étude Op.10-4 C min.
Étude Op.10-12 C min.
Scherzo No.2 Op.31 B♭min.
- Interval -
Waltz Op.69-2 B min.
Waltz Op.64-2 C♯ min.
Impromptu Op.66 C# min(posth.) " Fantaisie-Impromptu"
Étude Op.25-7 C♯ min.
Étude Op.25-11 A minor "Winter Wind"
Andante spianato et grande polonaise brillante Op.22 E♭maj.
Encore:
Debussy: Suite bergamasque, L.75 3. Clair de lune
A.Piazzolla: Libertango
Sachiko Furuhata-Kersting(Pf)
前半のショパン
去年のサントリーブルーローズの英雄ポロネーズを外し、ノクターン、エチュード、そしてスケルツォ2番で構成している。
遺作ノクターンが始まった途端、ピアノの音にちょっとした違和感があった。スタインウェイの特徴である鋭利で細めの音粒、そして透明度が高いブリリアンスを伴った残像が感じられず、言い方は良くないが全般的に鈍重な音なのだ。これはハンマーやダンパー調整、あるいは調律の不良のせいかもしれない。そこへ来ていつもの古畑さんの強圧タッチが加えられると凄まじく太い音が場内に鳴り響くのだ。しかし古畑さんの演奏自体は良く、いや去年よりも更にエナジー感を増している感じで秀逸だ。今年の前半のトリに持ってきたスケルツォ2番が圧巻。サチコ節が炸裂してアップテンポ部は激烈、インテンポ部では滔々としたレガートの流れを優美に深く形成していた。
後半のショパン
今年は幻想即興曲を後半の真ん中に持って来ていて、これがまた鮮やかで何とも言えない色彩感。中間部の揺蕩うアンダンテから一気に加速してコーダ部へと向かう古畑さんのタッチが正確無比かつ強烈な音圧レベル、いや風圧を感じるほどの強打鍵で凄い。たぶん今年初めて入れたと思われるアンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズは規模感が大きい作品。テンペラメントの抑揚が強く、また音量的にもダイナミックレンジが極めて広くて起伏が激しい作品だ。ここでもサチコ節が炸裂し本領発揮し、熱量は最大に達した。素晴らしい解釈、演奏だった。なお、古畑さん自身がアンコール後に語ったのは、映画「戦場のピアニスト」で用いられたオープニング曲が、この日のプログラム冒頭の遺作ノクターン、そして映画のエンディング曲がこのアンダンテ・スピアナートだった由。いま世界で戦争がいくつも起きており、平和への強い願いと祈りをこめて選曲したとのこと。
アンコールはドビュッシーの月の光、そして古畑さん自らが加えたアストル・ピアソラのリベルタンゴだった。幻想的できらりと光る月の光、乗り乗りのテンションで弾きまくったリベルタンゴと綺麗な締めだった。
by primex64
| 2026-03-12 13:18
| Concert/Recital
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