2024年 02月 13日
ショパンピアノ@古畑祥子@神奈川県民ホール |
春の恒例となっている古畑さんのリサイタルを聴いてきた。
去年と同様、休日のマチネーで、神奈川県民ホールの小ホールで開催。いっときは寒波のせいで寒かったが、ここ暫くは寒気も緩んで比較的過ごしやすい日々だ。横浜駅で途中下車して四川料理のランチをいただき、みなとみらい線の日本大通り駅まで。神奈川県民ホールへは最寄りの出口から4~5分と近い。
今年も小ホールは満席。昨年同様、日独協会の役員と思われるかたがた、ヨーロッパ在住だろうという雰囲気の人もちらほら。今回の座席は5列目のやや左寄りで古畑さんの表情、キータッチも良く見えるポジション。
今回のプログラムは、ショパンについては昨夏のサントリー・ブルーローズとほぼ同じ。そして後半はムソルグスキーの展覧会の絵で、これは2018年の馬車道ピアノサロンでのリサイタル以来だった。
F.Chopin:
Nocturne KK.IVa No.16 C♯ min.
Nocturne Op.27 No.2 D♭ maj.
Impromptu Op.66 C# min(posth.) " Fantaisie-Impromptu"
Étude Op.10-3 E maj.
Étude Op.10-4 C min.
Étude Op.10-12 C min.
Scherzo No.2 B♭min. Op.31
- Interval -
Mussorgsky: Pictures at an Exhibition
1.Promenade
2.Gnomus
3.Promenade
4.The Old Castle
5.Promenade
6.Tuileries
7.Bydlo(The Oxen)
8.Promenade
9.Ballet of the Unhatched Chicks
10.Samuel Goldberg and Schmuyle
11.Promenade
12.The Marketplace at Limoges
13.The Catacombs
14.Cum Mortuis in Lingua Mortua
15.Baba Yaga
16.The Great Gate of Kiev
Encore:
Liszt: Liebesträume S.541
Sachiko Furuhata-Kersting(Pf)

去年のサントリーブルーローズの英雄ポロネーゼをスケルツォ2番に置き換えているのが最大の違いだろう。
別れの曲のしっとりさと激しさの対比は非常に明確で、これは典型的なサチコ節。そして次のOp.10-4はかなり激情に走ったショパンとしては珍しいアップテンポを貫く作品。以前にも述べたが、私も少年期にこれを先生について練習していたがなかなか上手く弾けなかった記憶が鮮明に残っている。古畑さんの曲想は去年までとちょっと違っていて、アップテンポかつ激烈な部分を拡大してルバートを効かすテクニックがちょっと影を潜め、割と淡々と進めているようだった。だが、要所では古畑さん本来の本能?が顔を出して強烈なスタッカートを鳴らして来たりもする。
詳細までは書かないが、とにかく圧巻だったとしか言いようのない、ある意味凄まじい展覧会だった。綺麗な部分は限りなく綺麗だが、おどろおどろしい部分=例えばサミュエル・ゴールデンベルクや牛車、ババヤーガなど=での描き方が非常に暗め、かつエナジー感の出し入れが非常に激しい。一方、綺麗な和声、例えばテュイルリーやリモージュの市場、キエフの大門など=は殆ど純音で歪感ゼロ、なおかつリタルダンド/アチェレランドを高速で交錯させながら弾き通す。素晴らしいの一言。音圧レベルや細部のディテールに至るまで、ラヴェルによるオケ編曲版を独奏ピアノ原曲版が凌駕するという信じられない快挙が目の前で繰り広げられた。
なお、アンコールはリストの愛の夢。まさに夢のように美しいとしか喩えようのない天国にいる心持ちに浸り、暫しの静寂ののちリサイタルは万雷の拍手で終演。


今年も小ホールは満席。昨年同様、日独協会の役員と思われるかたがた、ヨーロッパ在住だろうという雰囲気の人もちらほら。今回の座席は5列目のやや左寄りで古畑さんの表情、キータッチも良く見えるポジション。
プログラム
今回のプログラムは、ショパンについては昨夏のサントリー・ブルーローズとほぼ同じ。そして後半はムソルグスキーの展覧会の絵で、これは2018年の馬車道ピアノサロンでのリサイタル以来だった。
F.Chopin:
Nocturne KK.IVa No.16 C♯ min.
Nocturne Op.27 No.2 D♭ maj.
Impromptu Op.66 C# min(posth.) " Fantaisie-Impromptu"
Étude Op.10-3 E maj.
Étude Op.10-4 C min.
Étude Op.10-12 C min.
Scherzo No.2 B♭min. Op.31
- Interval -
Mussorgsky: Pictures at an Exhibition
1.Promenade
2.Gnomus
3.Promenade
4.The Old Castle
5.Promenade
6.Tuileries
7.Bydlo(The Oxen)
8.Promenade
9.Ballet of the Unhatched Chicks
10.Samuel Goldberg and Schmuyle
11.Promenade
12.The Marketplace at Limoges
13.The Catacombs
14.Cum Mortuis in Lingua Mortua
15.Baba Yaga
16.The Great Gate of Kiev
Encore:
Liszt: Liebesträume S.541
Sachiko Furuhata-Kersting(Pf)

ショパン
去年のサントリーブルーローズの英雄ポロネーゼをスケルツォ2番に置き換えているのが最大の違いだろう。
別れの曲のしっとりさと激しさの対比は非常に明確で、これは典型的なサチコ節。そして次のOp.10-4はかなり激情に走ったショパンとしては珍しいアップテンポを貫く作品。以前にも述べたが、私も少年期にこれを先生について練習していたがなかなか上手く弾けなかった記憶が鮮明に残っている。古畑さんの曲想は去年までとちょっと違っていて、アップテンポかつ激烈な部分を拡大してルバートを効かすテクニックがちょっと影を潜め、割と淡々と進めているようだった。だが、要所では古畑さん本来の本能?が顔を出して強烈なスタッカートを鳴らして来たりもする。

ムソルグスキー:展覧会の絵
詳細までは書かないが、とにかく圧巻だったとしか言いようのない、ある意味凄まじい展覧会だった。綺麗な部分は限りなく綺麗だが、おどろおどろしい部分=例えばサミュエル・ゴールデンベルクや牛車、ババヤーガなど=での描き方が非常に暗め、かつエナジー感の出し入れが非常に激しい。一方、綺麗な和声、例えばテュイルリーやリモージュの市場、キエフの大門など=は殆ど純音で歪感ゼロ、なおかつリタルダンド/アチェレランドを高速で交錯させながら弾き通す。素晴らしいの一言。音圧レベルや細部のディテールに至るまで、ラヴェルによるオケ編曲版を独奏ピアノ原曲版が凌駕するという信じられない快挙が目の前で繰り広げられた。
なお、アンコールはリストの愛の夢。まさに夢のように美しいとしか喩えようのない天国にいる心持ちに浸り、暫しの静寂ののちリサイタルは万雷の拍手で終演。


by primex64
| 2024-02-13 23:09
| Concert/Recital
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