11日土曜のディナーの様子から。
まずは生ビール
前述の通り、土日は鶴岡まで行ってきた。日曜の午前に菩提寺にて家内の亡父の三回忌、祖母の二十七回忌法要が営まれた。上越新幹線と羽越線を乗り継いで鶴岡駅に到着、予約のホテルにチェックイン後に晩ご飯を食べに駅前まで。
生憎の冷たい雨のなか、前回、亡父の四十九日の時に訪れて好感した店の扉を開けたが、すでに満席ということで即刻ダメ出しされた。
ならばということで地元では地場・庄内の魚貝が美味しいとの評判のこちらへ。なんでも創業40年と相応の老舗だそうだ。こちらもほぼ満席で危うく断られるところだった。が、幸運なことに入り口近くのカウンタが飛び飛びで2席空いており、常連と思しき先客たちが移動して2席並びを作ってくれ、なんとか着席できた。
突き出し、前菜
一階はカウンタ13席という小ぢんまりとしたスペースだが、どこか暖かく居心地が良い空間だ。
女将さんが生ビールの突き出しを持って来てくれた。これが意外と分量がありびっくり。で、その味に再度びっくり。これは白菜とほうれん草を甘めの味付けで胡麻和えにしたもの。胡麻風味の白菜は珍しい。もう一品頼んだ肴はポテサラ。マヨが極薄め、かつ自家製と思われ甘味は皆無、塩味も少なく、馬鈴薯の風味が満載。これだけでこの店のレベルが明白だ。
刺し盛り
マスターは忙しそうだが、手際よく包丁を捌き、暫しして大判の下駄に乗った刺し盛りが到着。
ネタはハマチ、真鯛、アオリイカ。どれも新鮮かつ大振りの切り方で歯応えが凄まじいのだ。もちろんネタは超新鮮で、普通のハマチ、真鯛などは適度に寝かすと柔らかくてじんわり感が増すが、どうもそうではなく仕入れた状態でそのまま出している感じだ。つまり、歯応えがガジガジなのだ。これは富山の新鮮ネタと共通する食感で、むろん旨いに決まっている。あー・・、最高だ。
なお、写真を撮るのをすっかり失念したが、この時点で鶴岡の銘酒・大山の特別吟醸 超辛口に切り替えている。
焼き魚
この店の売りはしっかりとした焼き場だろう。目の前の大きなガス火のコンロで、しっかり入念に下拵えした魚たちが次々と焼き上がっていく。強火の遠火を地で行く、まさに時代を重ねたプロならではの焼き技なのだ。
まずは銀鱈。これは注文から時間を要するが、特製の醤油タレに10分ほど漬け込んでから、更につけ焼きにする感じで表面を何度もコーティングする。そうするとタレが身の中程までに浸潤し、表面はカリカリ、中はふっくら湿潤に仕上がるのだ。もう滋味の塊のような銀鮭に舌鼓だ。
次にカレイ。ここ鶴岡をはじめ日本海側の庄内では小型の鰈の塩焼きは伝統的な名品だ。寸法は小さいがとても新鮮な鰈に串を打って塩を薄く振り、ちょっと遠火にしてじっくり焼き上げる。こんがり、ほっくり、ほんのり・・、言葉に出来ないほど美味しい。家内と結婚する40年弱前、結納の打ち合わせで初めて鶴岡に来た際、家内の亡母が夕食に焼いて出してくれたのがこれだった。一口二口味わうと当時の情景が鮮明によみがえり、思わず涙ぐんでしまった。家内からは「どうしたの? なんか変なの・・」と言われてしまった。
芋煮
寒い季節となり、やはり最後にはこれを味わいたいとの家内のリクエスト。今はこの店でも特別な押しメニューなのだ。
山形の芋煮、またイベントの芋煮会は有名。意外と知られていないと思うが、内陸・山形と庄内・鶴岡とでは内容が異なる。内陸の芋煮は牛肉と醤油ベース+こんにゃく+里芋。庄内では豚肉と味噌ベース+厚揚げ+こんにゃく+人参+しめじ+長葱+里芋。我が家で作るのはむろん後者で、ここの芋煮はその延長線上で更に洗練されたプロの味、最高なのだ。
※撮影:iPhone 13 Pro
お店データ
居酒屋せいご
山形県鶴岡市末広町6-50電話:0235-25-0651
営業:117:00~23:00
定休:不定休
最寄:JR鶴岡 3分