ショパンピアノ@古畑祥子@神奈川県民ホール |

三寒四温といいつつも、割と肌寒いなか、駅前のスマイルでパスタをいただいた後に、みなとみらい線の日本大通り駅まで急ぎ行って、神奈川県民ホールへと駆けつける格好となった。
会場の小ホールはほぼ満席。客席には日独協会の関係者、またドイツ/ヨーロッパ系と思われる人たちも多かった。いただいたチケットは前から4列目のほぼ中央ということでベストポジションだった。

プログラム
今回のプログラムは昨年夏のサントリー・ブルーローズから一部変更されていた。
F.Chopin:
Nocturne KK.IVa No.16 C♯ min.
Nocturne Op.27 No.2 D♭ maj.
Impromptu Op.66 C# min(posth.) " Fantaisie-Impromptu"
Étude Op.10-3 E maj.
Étude Op.10-4 C min.
Étude Op.10-12 C min.
Scherzo No.2 B♭min. Op.31
- Interval -
F.Liszt:
Consolation S.172-3 D♭maj.
Liebesträume S.541
Variationen über das Motiv von Bach, S.180 R.24
Ungarische Rhapsodie S.244-12 C♯ min.
Encore:
Debussy: Suite bergamasque, L.75 3. Clair de lune
Sachiko Furuhata-Kersting(Pf)

ショパン
昨夏のブルーローズのワルツをノクターンへ差し替え、昨春の友好都市10周年記念コンサートへと回帰した感じのショパン・プログラムだった。今回はブルーローズに引き続きエチュードOp.10-4を残しており、昨春よりもエチュードが一曲多い構成となる。Op.10-4は原典でも別れの曲の直後に置かれる割と激しい作品で、私も幼少期には相当に手こずった思い出がある。これが加わることでエチュードOp.10を12曲全部弾かなくてもダイジェスト化したかの効果を醸す。古畑さんのタッチは昨夏に比べ、エナジー感よりも静謐な集中力が勝っている感じで、緩徐部などはゆったり聴けた。しかしながらいつものような芯を突く強烈なタッカート強打、高速スケールには目を瞠るものがあり、やはり凄いインパクトなのだ。

リスト
後半のリストは昨夏のブルーローズと同一内容だった。なので、一部にだけ触れておく。愛の夢は、昨夏とは随分と印象の異なる弾き方だった。もともとが柔和なパッセージなのだが、屈強な古畑さんにかかればわりと線の太い解釈になるのは致し方ないと思っていた。ところが今回の愛の夢は本当に柔らかくゆったり、そして明るい抑揚も効いて素晴らしかった。古畑さんはエナジー感だけの人ではないことが実証された格好。プログラム最後を飾るハンガリー狂詩曲S.244 R106の12番は、和声と非和声とが煩瑣に入れ替わる超絶技巧を要求する作品。詳細までは述べないが、古畑さんの面目躍如といった圧巻の解釈/演奏だった。
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古畑さんはアンコール後の挨拶の中で、ドイツでのリサイタルにウクライナからの避難民が聴きにきており、終わった後に彼ら彼女らを直接激励・鼓舞したという話を披露された。深い愛をもって人々が再び平和を取り戻すことを祈念する旨の結言であった。

