2022年 03月 18日
横浜フランクフルト友好都市10周年記念コンサート@古畑祥子 |
古畑さんは先月から横須賀に帰省中ということはFacebookへのポストで知ってはいた。入国時には検査、その後の厳格な隔離・待機があって、なかなかに難儀だったろうと思う。
帰省の目的のうちの一つがこのリサイタルだったということは、後日、古畑さんから懇切なお誘いをいただいて初めて知ることとなる。今回は関係者、つまり横浜日独協会、日独産業協会、メッツラー銀行などスポンサーの招待客のみということでチケット販売はされていない。ということで、昨夜家内とともに拝聴してきた。
なお、プログラム冊子の冒頭には独メッツラー銀行の代表取締役 ゲアハルト・ヴィースホイ氏、横浜日独協会会長 成川哲夫氏の正式な挨拶文が掲載され、これで特別にセレモニアルな演奏会であることが如実に分かる。
さて、演奏プログラムだが、古畑さんが2020年から取り組んで来たショパン・プログラムに、ドイツの代表的作家、シューマン夫妻の作品を加えた大規模な構成で、昨年夏のサントリー・ブルーローズと基本的に同一プログラムとなっている。本プログラムは、音楽に対する不変の愛、フレデリックとジョルジュ・サンドとの愛、ロベルトとクララとの愛、という通底するテーマを掲げている。各作品の演奏の直前、作曲当時に彼ら、彼女ら、また彼らの知人らが残した書簡の一部が古畑さん自身のナレーションにより読み上げられ、そのときの作家たちの心持ちを知るうえで大いに興味深い。詳細は以下を参照のこと。
Chopin:
Nocturne KK.IVa No.16 C♯ minor
Nocturne Op.27 No.2 D♭ major
Impromptu Op.66 C# min(posth.) " Fantaisie-Impromptu"
Étude Op.10-3 E major
Étude Op.10-12 C minor
Scherzo No.2 B♭ minor Op.31
- Interval -
Clara Schumann:
Variationen über ein Thema von Robert Schumann fis-moll Op.20
Robert Schumann:
Etudes symphoniques Op.13
Encore:
Debussy: Suite bergamasque, L.75 3. Clair de lune
Sachiko Furuhata-Kersting(Pf)
今回は昨夏のブルーローズと同一プログラムということで個々のインプレッションは述べない。しかしながら、全体を通じて古畑さんのピアニズムは昨夏以上にエナジー感が増しており、なおかつタッチが鋭敏だ。しかしながら芯を突くffのスタッカート強打/高速スケールでも混濁、乱れは皆無。音粒一つ一つが明晰・明瞭にフォーカスし、ホール全体に浸透する清冽なアンビエントのピュアリティには驚くばかり。同じプログラムでも、また同じ演奏者でも印象、曲想はかなり変わる。つまり、今回の古畑さんの演奏はいつにもまして出色。
もう一つ、特にショパン作品を聴きながら脳裏に浮かべたのが、現在危機的状況にあるウクライナ情勢。報道で見るウクライナ西部の街・リビウから国境を越えてポーランドに避難する人々の長い行列。ポーランドといえばショパン出自の国だが、彼はパリに出て成功を収めた後は故郷の土を一度も踏まず、短めの生涯を閉じた。エチュードOp.10-3「別れの曲」、同-12「革命」が入っているのは単なる偶然だが、これらを古畑さんの魂が震えるようなピアノで聴きながら、避難民たちがその家族と今生の別れとならぬこと、焦土となった国に革命が起きて再び民主化解放を成し遂げることを祈念するのみだ。
このリサイタルが特別な催しだからということなのか、古畑さんは異例なことにアンコール直後にマイクをとって、コロナ禍というこの困難な状況下にこの度の開催に尽力してくれた日独協会、銀行等スポンサーへの謝意を伝えた。加えて昨今の陰惨な侵攻についても言及し、全ての人々が愛を以って一丸となって事にあたれば、必ずや局面は打開され再び平和を取り戻すことが出来るだろうと述べた。

今回のリサイタル
帰省の目的のうちの一つがこのリサイタルだったということは、後日、古畑さんから懇切なお誘いをいただいて初めて知ることとなる。今回は関係者、つまり横浜日独協会、日独産業協会、メッツラー銀行などスポンサーの招待客のみということでチケット販売はされていない。ということで、昨夜家内とともに拝聴してきた。

プログラム
さて、演奏プログラムだが、古畑さんが2020年から取り組んで来たショパン・プログラムに、ドイツの代表的作家、シューマン夫妻の作品を加えた大規模な構成で、昨年夏のサントリー・ブルーローズと基本的に同一プログラムとなっている。本プログラムは、音楽に対する不変の愛、フレデリックとジョルジュ・サンドとの愛、ロベルトとクララとの愛、という通底するテーマを掲げている。各作品の演奏の直前、作曲当時に彼ら、彼女ら、また彼らの知人らが残した書簡の一部が古畑さん自身のナレーションにより読み上げられ、そのときの作家たちの心持ちを知るうえで大いに興味深い。詳細は以下を参照のこと。
Chopin:
Nocturne KK.IVa No.16 C♯ minor
Nocturne Op.27 No.2 D♭ major
Impromptu Op.66 C# min(posth.) " Fantaisie-Impromptu"
Étude Op.10-3 E major
Étude Op.10-12 C minor
Scherzo No.2 B♭ minor Op.31
- Interval -
Clara Schumann:
Variationen über ein Thema von Robert Schumann fis-moll Op.20
Robert Schumann:
Etudes symphoniques Op.13
Encore:
Debussy: Suite bergamasque, L.75 3. Clair de lune
Sachiko Furuhata-Kersting(Pf)
まとめ
今回は昨夏のブルーローズと同一プログラムということで個々のインプレッションは述べない。しかしながら、全体を通じて古畑さんのピアニズムは昨夏以上にエナジー感が増しており、なおかつタッチが鋭敏だ。しかしながら芯を突くffのスタッカート強打/高速スケールでも混濁、乱れは皆無。音粒一つ一つが明晰・明瞭にフォーカスし、ホール全体に浸透する清冽なアンビエントのピュアリティには驚くばかり。同じプログラムでも、また同じ演奏者でも印象、曲想はかなり変わる。つまり、今回の古畑さんの演奏はいつにもまして出色。

このリサイタルが特別な催しだからということなのか、古畑さんは異例なことにアンコール直後にマイクをとって、コロナ禍というこの困難な状況下にこの度の開催に尽力してくれた日独協会、銀行等スポンサーへの謝意を伝えた。加えて昨今の陰惨な侵攻についても言及し、全ての人々が愛を以って一丸となって事にあたれば、必ずや局面は打開され再び平和を取り戻すことが出来るだろうと述べた。


by primex64
| 2022-03-18 16:42
| Concert/Recital
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