日曜は、SHINで年一回の夏の限定をいただいた。
まずはノンアル・ビール

土曜の早朝、業務用ミキサーが破損し限定商品の仕込みが困難になったとの知らせがTwitterに届いた。今回予定してた商品はジャガイモを擂り潰したものをスープベースとする一品だが、そういった事情からかこの日の営業は休止する由。次のツイートは、翌日は営業するが、通常商品を全て取りやめて限定商品のみで営業するとのこと。これは今までになかった珍事だ。
▼以下は昨年度バージョンのPINKビシソワーズ
PINKビシソワーズ
このショッキング・ピンクに染まる冷たい麺は夏のSHINの風物詩。レシピは昨年度を踏襲しているようである。





店主の認識ではこれはラーメンの範疇に入る料理なのだが、私はこれはヌーベル・ジャポネーゼ、即ち新しい領域の日本料理だと常々思っている。スープはジャガイモ、アサリが主成分で、生クリームとゲランドの塩で整えている。それ以外の動物性食材、即ち牛豚や魚介の類は一切入らない。ピンク色の正体だが、ビーツ、植物油とレモン果汁からなるサワーソースだ。

鶏チャーシューが添えられるが、それ以外に動物性の雰囲気はない。それでもこの類まれな強烈な旨味はなんなんだろうか。去年もそうだったが、じゃがいも、浅蜊の出汁だけでここまでの滋味に到達しているのが驚愕。ビーツやズッキーニ、パプリカなどの刻み野菜が夏の青臭さを演出し、クリーミーなスープと具材に超硬い麺が絡む。途中から無言になりひたすら啜る。

この麺はSHINだけで味わえる孤高、かつ独創の一品、しかも空前絶後の麺料理であり、真似たとしてもSHINのレベルに到達することはおそらくは不可能。店主の味覚の鋭さは驚くべきものがあり、とりもなおさず美味の追求には積極的だ。ブレのないこのスープの出来栄え、硬い自家製麺との相性も織り込み済みであり、もう脱帽、そして、むろん昇天してしまった。
お店データ

自家製麺 SHIN(新)
横浜市神奈川区反町1-3-8電話:045-548-3973
営業:11:30~15:00
18:00~21:00(土日のみ)
※コロナ対策のため、夜営業は休止中
定休:月・火(祝日でも休業)
最寄:東急東横線 反町4分
※感染症対策のアルコール消毒は万全
カウンター席には仕切りあり
今日の一曲

牧神の午後への前奏曲は名曲であって他に類を見ない「霞棚引く」系統の音楽だ。ゲルの指揮は我が耳を疑う弱音にしてしかも味わいも盛り上がりも、そして心も入っていないロー・テンションな演奏だ。全体の音量が小さいのもあるけれどもそれは自信のない現れであって抗弁しようのない出来映えなのだ。LSOの弦楽隊が弱音を苦手としていて、そしてこの曲の場合にはブラス/パーカッションが活躍する場面も皆無と言ってよいので、曲と楽団の相性/条件としては最も不利な演奏だったかも知れない。
(MusicArena 2011/7/7)