小田原から乗って来た小田急の車両は狭軌で、これより上を走る登山電車は標準軌。軌間が異なるためここで乗り換えとなる。
箱根湯本駅の登山電車側のホーム
待つこと暫し、登山電車が入線してきた。この深紅の車両はかなり前に配備された2000系電車で、愛称はサン・モリッツ号。姉妹鉄道の提携をしているスイス・レーティッシュ鉄道にオマージュしての命名だそうだ。老朽化に伴う車両更新で数年前に全面リニューアルされた模様だ。

名称から欧州製と思っていたが、車両壁面の小さな銘板には川崎重工と総合車両製作所の名があった。つまり日本製だった。走行音は案外と静粛でこの急勾配を登っているとは思われないほど。但し揺れは相応にある。乗り込んだ頃、戸外ではバタバタと大きな音を立てて雨が降り始めた。横浜、小田原からここまでは曇天だったが、いよいよ空が崩れて来た。

定刻で出発。山側に座ったので湯本の街は撮れなかった、雨が強く窓を打ち付けるのでどっち側でも状況は同じだ。標高が徐々に増すにつれ、雨とともに霧が出てきた。更に車両の揺れと手ブレ、窓への映り込み、そして照度不足で酷い画像しか撮れていなかったがご容赦願いたい。

出山鉄橋
これは早川に架かる鋼製トラス橋で文化庁の登録有形文化財。鉄橋通過時に早川の渓谷を狙ったが、前述の通り天候が悪く、窓ガラスが雨で洗われているためかオートフォーカスが迷ってうまく合わない。これまた酷い画像をご容赦願いたい。


スイッチバック
この登山鉄道は国内、いや世界的に見ても急勾配の鉄道路線だ。

現代の高性能電車の登坂能力をもってしても直線で登りきることが困難な箇所があり、途中でスイッチバックしながらゆっくり登り降りする。折り返し点は途中に三カ所あり、箱根湯本を正面向きで出発しても途中で逆方向、直ぐに正方向、また逆方向となり、つまり終点へは箱根湯本に座った方向の逆向きで到着となる。

これらの写真は途中でスイッチバックする様子。上大平台信号所と書いた駅名標が立っているがここでの客扱いは当然なく、従って扉も開かない。乗務員、即ち運転士と車掌がプラットフォームに降り、互いに歩いて車両の先頭・後尾を交代する。

その度ごとに運転室の閉扉施錠、解錠開扉、運転台の前進・後退モードの切り替えを行うためそれなりの時間を要する。また単線であるため、上下線の擦り替えも同時に行う場所ではタイミングによっては待ち時間が長くなってしまう。客扱いのある大平台駅でもスイッチバックするが、写真には乗客が多数写り込んていたため掲載は自粛する。

強羅へ到着
強羅は自走式電車鉄道の終点である。

ここから更に上の早雲山へは牽引式の鋼索鉄道、すなわちケーブルカーが出ているし、早雲山から芦ノ湖の桃源台までは箱根ロープウェイが運行されている。

到着時、雨は一時的に止んでいた。乗って来たサンモリッツ号は折り返し箱根湯本行きとなる。右隣の留置線には2014年落成という3000形アレグラ号が停まっていた。両方並ぶと壮観だ。

強羅で行きたいところがあるというので家内にアテンドした。駅前に戻る頃にはまた雨が降り出し、しかも濃霧に包まれてホワイトアウトしてしまい視界が全然きかない状態に。

今日の一曲

カメラータから
木と皮の鼓動と副題の付いたソロ・パーカッションのアルバム。正確には1996年初版リリースが廃盤し、その復刻盤。これと同一プログラムのリサイタルが1995年の秋に開催されその名も「菅原淳パーカッション・リサイタル--木・皮の鼓動を求めて・・」はこの年の文化庁芸術祭優秀賞を獲得している。菅原淳は2007年まで読売日響の主席ティンパニストを務めていた知る人ぞ知るヴィルトゥオーゾ。現在は東京音大准教授、東京コンセルヴァトアール尚美(ディプロマ)講師(2009年時点)。
(MusicArena 2009/5/7)
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