小田原では箱根登山鉄道に乗り換えて箱根湯本まで行く。
箱根登山線 小田原
現在は箱根登山線と小田急の駅舎は共用。そしてホームも一部共用し、構内配線に渡り線を設置することで相直運転している。渡り線で繋がった線路だが、駅の北側は小田急線の乗り場、そして南側は箱根登山線の乗り場となっている。
箱根登山鉄道箱根登山線は、鉄道路線としては小田原を起点として強羅まで連続した区間で営業免許を取得している。しかしながら現在の車両運行は箱根湯本で分断され、東西で折り返し運転をしている。私は鉄道マニアではないので詳しくはないし詳細を正確に書き始めると切りがないので以下、簡素に記す。
箱根登山鉄道は古くは小田原電気鉄道という会社だった。戦前から手広く営業し、丹那トンネルが開通するまで国鉄が来ていなかった小田原市内から二宮、国府津あたりまで市電=軌道線=を敷設し運行していた。その時期に箱根の開発に着手し登山電車=現在の箱根登山鉄道=を建設する。最初は箱根湯本から強羅までを開通させた。なぜなら小田原市電の軌道線が箱根湯本まで来ておりそれを活用したため。
箱根登山線 箱根湯本
当時、箱根湯本から下の軌道線は現在の風祭駅付近から市内方面へは旧東海道の路面を進み小田原駅を南から迂回して駅東口の市電停留所に接続していた。その後、風祭から小田原駅まで直通する鉄道線を新たに敷設し箱根湯本から下の全区間も軌間1435ミリ=標準軌=に改めた。軌間を登山電車と同じにすることで、短期間だったが標準軌の登山電車の車両が小田原駅から強羅駅まで直通運転を行っていた。
小田急は戦後すぐに小田原駅まで延伸し乗り入れた。しかし終戦後の混乱、復興等のため大きな動きは止まっていた。歴史が大きく動いたのは小田急との相直=相互直通=のムーブメントだった。箱根登山鉄道側も相直を実現すべく事業を開始し、小田急の軌間1067ミリ=狭軌=の車両も走れるよう三線軌条を敷設した。これで小田急の車両は箱根湯本まで直通できるようになった。
現在でも新宿からロマンスカーで箱根湯本まで直行できるのはこのお陰なのだ。戦後の経済成長期に入り小田原・箱根湯本間の利用者が激増したため全ての旅客は小田急の車両で輸送されることとなり、その後、三線軌条は箱根湯本から入生田までの区間を残し、あとは撤去されてしまった。つまり、この時点で箱根湯本より上の登山電車が小田原駅まで直通することは理論的には不可能になった。
箱根湯本駅のホームだが、上も下も単線であることから造りは単純。早川に面した国道一号側が小田急ロマンスカー発着専用ホーム。反対の山側の東寄り(写真では右側)が小田原との往復便で、直進した西寄りが強羅方面へのホームとなる。両者は軌間が異なるため各末端に車止めが設置してあり当然に接続されていない。山側には普段は登山電車の留置線となっている標準軌の線路がもう一本ある。こちらは三線軌条を介して下の入生田にある車庫まで回送するための専用線となる。
今日の一曲
タチアナ・ヴァシリエヴァのMIRAREからのデビュー盤で、バッハ無伴奏。なお彼女は2001年ロストロポーヴィチ・チェロ・コンクールで優勝した。太くて朗々としたVcの操弦はとても女流とは思われない男性的なものだ。2枚目の5番は元々重厚で渋い作品なのだが、なかなかに本格的にゴリゴリする解釈でかなりよろしい。もう少しゆっくり悲嘆を炙り出してもいい気がするが、ま、これもありか。この中ではガヴォットが秀逸だ。
(MusicArena 2009/5/6)
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