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まずはビール
各自治体から発表される新型コロナの感染者数は外形上は徐々に増えており、何となく不安が増長されている。もちろん、検査数の推移やクラスター発生の状況等を詳細に加味すれば一概に恐れることはないのかもしれないが。


最初は無論ビールなわけだが、その肴としては夏季の定番、蒸し鶏を頼んだ。強めの醤油ダレの塩味が心地よく、これでビール350ml一本ずつというのはかなり酷だ。要は一摘まみでコップ一杯は行けてしまう勢い。これはビールが無限に飲めてしまう悪しきパターンなのだ。いやいや、目当てはそうではなくて限定のトマトつけ麵だろうと自らに言い聞かせるのが精いっぱい。
冷やしトマト麺AB+味玉
トマト麺はおよそ一年ぶり。昨年のバージョンは割とイタリアンっぽい意匠だった。






今年のトマト麺は少しニュートラルに振った高バランスな一皿。だが、イタリアンの風情は仄かに残しており、これはこれで多元的で深い味わい。ところでトマト麺ABのABとは何か、だが、これは海老のことだそうだ。おそらくトマト麺に海老をあしらうのは今年が初めてだ。スープベースは鰹と天然塩のみ、そしてジュレになっていて特製トマトソースと混ぜる趣向だ。

トマトソースには何気にバジルが仕込まれていて従前からの伝統を継承。だが、今年の効き具合は仄かで、前述の通りバランスが良好で突出せず、鰹出汁との精妙なマリアージュが秀逸。海老だが、これがまた磯の香がほんのり漂い、トマトベースにジャストフィットする。従前だと揚げチキンや蒸し鶏を合わせたりと動物系だったが、甲殻類はピュアでストレート、絶妙だ。

麺はお馴染みのパッツン麺だが、これが通常よりも冷たく締め上げられているため靭性が更に増して針金状の食感。この強い歯応えと喉越しは、明確な個性を示すトマトベースに伍して拮抗し良いコントラストを生む。この一皿はこのパッツン麺抜きには成立しない。店主が途中でこっそりハバネロを出してくれた。僅かな添加だったが雰囲気が一瞬でアラビアータに変化。

いやはや、夏の風物=トマト麺の今年バージョンも相当に秀逸な出来栄えだ。湿度が高くて熱が籠りがちで不快指数の高いなか、トマト、鰹出汁、バジル、揚げガーリック、ベビーリーフ等の生野菜らが、そして何といってもぷりっとした中型剥き海老の海の風味が相俟って火照りが適度に冷やされ心地よく、また体の奥底まで自然の滋味が浸透していく。これぞ至福の極み。
お店データ

自家製麺 SHIN(新)
横浜市神奈川区反町1-3-8電話:045-548-3973
営業:11:30~14:30
18:00~21:00(日・月は夜営業なし)
定休:火曜(祝日でも休業)
最寄:東急東横線 反町4分
今日の一曲

ハルモニア・ムンディUSAからHeavenly Harmoniesと題されたSACDハイブリッド。イギリス・ルネッサンス期の大作曲家=トーマス・タリスとその弟子ウィリアム・バードの宗教歌曲集から。アルバム名のHeavenly Harmoniesは、「天上の和声たち」とでも和訳すればよいのであろうか。名は体を表すとはよく言ったもので、まさに天上の声が美しく調和して響き渡るのである。合唱はStile Antico(スティレ・アンティコ)。彼らの和声は芯が明確で強く、時にか細く、そして神々しい響きである。
(MusicArena 2008/10/28)
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