ある風景：Isezakicho,Yokohama@Jun 2020 #8

前回に続いてイセザキモール3丁目の様子で、今回が最後。

ゲームセンター、中華料理など

イセザキモールを更に東進すると、人通りが俄かに増えて来る。といっても街全体が自粛傾向にあるためか往時の賑わいはなく静かなものだ。

20年ほど前まではビルの1階には小さな個人営業の店舗が入っていたが、その後は閉店が相次ぎ、従来の店舗をコネクティングする格好で大手のゲーセンやパチスロが開店した。時代の波だろうが少し寂しい。これらの遊興施設はギャンブル好きな一部の人たちからはコンスタントな支持を受けて盛況、そして結構な売り上げがあったと思われるが、現下の情勢においては見る影がないくらい客は入っていない。
このビルの二階は龍鳳という広東料理店で、40年以上の歴史を誇る。一方、一階の緑の看板の店舗はこの情勢下にあっても敢えて開店にこぎつけた中華料理店のようだ。今年の始めまでは寅馬（いんま）という麻辣湯の店があった。3～4年は続いたであろうか。その前にはラーメン屋、更にその前は昭和から続く伝統的な町の時計屋だったと記憶する。

ドン・キホーテ伊勢佐木町店

全国展開しているお馴染のディスカウント店。このドンキは日ノ出町からこの地に移転・開業して5～6年になるだろうか。今では地元には相応に定着したようだが、私らは何となくしっくりとは来ていない。なぜなら、この建物は、古くは1911年、つまり明治44年創業の映画館＝オデヲン座があった場所だからだ。もちろん当時のことは知る由もないのだが。
詳述は割愛するが、関東大震災や戦災を経てオデヲン座は1975年（昭和50年）にオデオン・ビルに建て替わった。この建物は映画館だけではなく複合ファッション施設ともいえる多角的な名所となり、この地のランドマークとして長く君臨した。結婚して横浜に越して来た私らは、このビルの上階で何度も洋画のロードショーを観たし、下階では買い物を楽しんだものだ。
因みに地元の友人たちとは今でもドンキの前のこの大きな交差点を指して、明日のXX時にオデヲンの前でね、などと待ち合わせることがある。

今日の一曲

前回に続きスクロヴァ読響で、ブラームスの交響曲第1番。1楽章はシューベルトのザ・グレート、4楽章はベートーヴェンの合唱の歓喜の歌から引用したとされる曲で、コンサートのプログラム冊子にもこの類似性に言及しているものが多々見られる。個人的にはこれらの類似性はあくまで表層的で、ブラームス独自の仄暗さと憂鬱さ、そこから希望へ一縷の望みをかけるメンタリティが結晶したものであると思っていて、とりもなおさず名作中の名作だ。
(MusicArena 2008/10/15）

今週の珈琲

これも冷凍保存していた、ペルーのレッドコンドル。
ペルーの小規模栽培で、アルトカハマルカという地域で生産された種。先進的な大規模農場とはかけ離れた小さな経営で、手摘み、サンドライという手間のかかる生産方式。しかし、生産者が組合を結成して先進的な電子選別機を導入したりと品質向上には日々努力しているそうだ。だが、最終的な出荷前には更にハンドピック工程を経ていて、確かに粒が揃った綺麗な豆が並ぶ。味だが、特徴的なのはアーモンドというかカカオというか、独特の甘いフレーバー。そして苦みもライトで、柑橘類のような爽やかで仄かな酸味が心地よいのだ。これはもっと評価されるべき。


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