Brahms: 21Hungarian Dances & 16Waltzes@C.Katsaris,H.Mercier |

https://tower.jp/item/4755740/
Johannes Brahms:
16 Waltzes, Op.39
21 Hungarian Dances, WoO 1
1 No.3 in G♯ min
2 No.5 in E
3 No.6 in C♯ Vivace
4 No.3 in F Allegretto-Vivace-Tempo I-Vivace-Tempo I
5 No.4 in F min Poco sostenuto-Vivace-Molto allegro
6 No.5 in F♯ min Allegro-Vivace-Allegro
7 No.6 in D♭ Vivace-Molto sostenuto-Vivace
8 No.7 in A Allegretto
9 No.8 in A min Presto
10 No.7 in C♯ min Poco piu andante
11 No.8 in B♭
12 No.14 in A min
13 No.4 in E min Poco sostenuto
14 No.9 in E min Allegro non troppo-Poco sostenuto-Tempo I
15 No.9 in D min
16 No.10 in G
17 No.10 in E
18 No.15 in A
19 No.1 in B Tempo giusto
20 No.1 in G min Allegro molto
21 No.2 in D min Allegro non assai-Vivo-Tempo I
22 No.16 in D min
23 No.11 in D min Poco andante
24 No.12 in D min Presto-Poco meno presto-Presto
25 No.13 in D Andantino grazioso-Vivace-Andantino grazioso
26 No.14 in D min Un poco andante
27 No.15 in B♭ Allegretto grazioso
28 No.16 in F min Con moto-Presto-Poco meno presto -Tempo I
29 No.17 in F♯ min Andantino-Vivace non troppo-Meno presto-Vivace
30 No.18 in D Molto vivace
31 No.11 in B min
32 No.12 in E
33 No.13 in C
34 No.19 in B min Allegretto-Piu presto-Allegretto
35 No.2 in E
36 No.20 in E min Poco allegretto-Vivace-Tempo I
37 No.21 in E min Vivace-Piu presto
Hélène Mercier(primo, secondo)
Cyprien Katsaris (primo, secondo)
ブラームス:
1) ワルツ第3番 嬰ト短調
2) ワルツ第5番 ホ長調
3) ワルツ第6番 嬰ハ長調
4) ハンガリー舞曲第3番 ヘ長調
5) ハンガリー舞曲第4番 ヘ短調
6) ハンガリー舞曲第5番 嬰ヘ短調
7) ハンガリー舞曲第6番 変ニ長調
8) ハンガリー舞曲第7番 イ長調
9) ハンガリー舞曲第8番 イ短調
10) ワルツ第7番 嬰ハ短調
11) ワルツ第8番 変ロ長調
12) ワルツ第14番 イ短調
13) ワルツ第4番 ホ短調
14) ハンガリー舞曲第9番 ホ短調
15) ワルツ第9番 ニ短調
16) ワルツ第10番 ト長調
17) ハンガリー舞曲 ホ長調
18) ワルツ第15番 イ長調
19) ワルツ第1番 ロ長調
20) ハンガリー舞曲第1番 ト短調
21) ハンガリー舞曲第2番 ニ短調
22) ワルツ第16番 ニ短調
23) ハンガリー舞曲第11番 ニ短調
24) ハンガリー舞曲第12番 ニ短調
25) ハンガリー舞曲第13番 ニ長調
26) ハンガリー舞曲第14番 ニ短調
27) ハンガリー舞曲第15番 変ロ長調
28) ハンガリー舞曲第16番 ヘ短調
29) ハンガリー舞曲第17番 嬰ヘ短調
30) ハンガリー舞曲第18番 ニ長調
31) ワルツ第11番 ロ短調
32) ワルツ第12番 ホ長調
33) ワルツ第13番 ハ長調
34) ハンガリー舞曲第19番 ロ短調
35) ワルツ第2番 ホ長調
36) ハンガリー舞曲第20番 ホ短調
37) ハンガリー舞曲第21番 ホ短調
シプリアン・カツァリス(ピアノ:primo:ハンガリー舞曲)
エレーヌ・メルシエ(ピアノ:primo:ワルツ)
このアルバムについて
これらの曲については過去に何度も取り上げていると思うので多くはコメントしないが少しだけ記しておく。
ブラームスの21のハンガリー舞曲集(21 Hungarian Dances, WoO 1)は、ロマ(ジプシーと称される大きな民族分類のうち北インド由来といわれている移動型民族の総称)の民謡に広く範を取ったとされる作品集。自身の創作による旋律ではないためWoO、即ち作品番号なしと表記される。原曲はピアノの4手連弾曲だが昨今ではオーケストレーション版の方が一般的。
一方の16のワルツ(16 Waltzes, Op.39)は、ハンガリー舞曲と同じく1台4手連弾のための作品として書かれたが、ブラームスはその後1,2,14,15番を2台4手連弾用に編曲している。このアルバムでは原典版で演奏される。
このアルバムは、ハンガリー舞曲とワルツを続けて収録したものではなく、それぞれをミックスして順序を並べ替えつつ(上の欧文リストはライナーに倣って赤黒で色分けした)、最終的には全曲を網羅している。それぞれを単純かつ交互に並べているわけではなく、彼らが良かれと思う順序で組み合わせたパートに区切っているようだ。つまり曲想や調性が似ているだとかテーマ性に共通点があるだとか、そういった基準に従ってグルーピングしたパッケージとしているようだ。
なお、カツァリスについては広瀬悦子との連弾作品で素晴らしいパフォーマンスを聴かせてくれ、MusicArena Awards 2017セミグランプリに選定している。
エレーヌ・メルシエは初めて聴くピアニスト。カナダ生まれでパリ在住、欧州で広く活動する人のようだ。カツァリスが種々の条件で探していた連弾の相手としてはベストマッチだったようで、事実素晴らしい演奏を繰り広げている。

ワルツ第3番~ハンガリー舞曲第8番
以下、聴いたところ自分的には区切られたパートであろうと判断した塊ごとに感想を簡潔に述べて行く。冒頭のパートはワルツ3、5、7番、そしてハンガリー舞曲3~8で構成。ワルツの3曲を合わせて導入部、即ち序奏の役割を担わせている感じで、アンニュイな3番、緩徐楽章のような働きの優美な5番、ロンドのような華麗で可愛らしい6番と綴る。特に6番のプリモ=高域部を弾くエレーヌ・メルシエのポップでブリリアントな分散和音が綺麗だ。このパートのメインは何といってもハンガリー舞曲で、比較的落ち着いた3番は舞曲の前奏部の働き。そして白眉は超有名曲である4番。

ワルツ第7~1番
ここはワルツを集積したパートで、順序は7、8、14、4、ハンガリー舞曲9番、9、10、ハンガリー舞曲10番、15、1となる。このワルツ集はピアノ連弾用に書かれ、全16曲から成る。それぞれは小品と言って良い規模であり、ウィンナー・ワルツのような典雅で豪奢な風情ではなく、割と純朴かつ簡素な旋律が多い。これらの多くは南ドイツ民族舞踊の3拍子系Ländler(レントラー)から範がとられているとされるが、和声はドイツロマン派の重鎮であるブラームスらしい重厚かつ多層的な質量感を持つ。ここの白眉は間違いなく15番ニ長調。別称愛のワルツ
ハンガリー舞曲1~18番
順序は1、2番、ワルツ16番を挟み、11番~18番まで通しで弾かれる。1番と2番はハンガリー舞曲の中では4番に並び称されるほどの名曲。激烈な熱情が迸るが、途中で明転してチャーミングなパッセージも織り込むなど喜怒哀楽がハイピッチで交錯するのが特徴。ワルツ16番は2番と同じニ短調で、テンポは遅めだが2番とは似た感じの暗めの曲想なので、おそらくはここに置いたものと思われる。11番はちょっとアンニュイで民俗的な土着臭というか、なんとも言えない郷愁を誘う佳曲。カツァリスの高域弦は少しくすんだ翳りが寂しげ。12番はやはり土着臭のするハイテンポな分散和音と高速トレモロが特徴。二人の息は合っていて濁りのない綺麗な連弾。
ワルツ11~13番、ハンガリー舞曲19~21番まで
最後のパートは傑作を集結したものではなく、寧ろ補遺のような格好。ワルツとハンガリー舞曲のエッセンス、特徴を短く表出した作品を並べている。ここに集まったのは激しい曲ではなくてどちらかというとモデレートな曲たちで、なるほどと膝を打ってしまう選び方。最後はハンガリー舞曲20~21番となっているが、ワルツ11番に似通ったアンニュイな旋律・和声でアルバムが閉じる。
録音評
Warner Classics 9029563666、通常CD。録音はちょっと古くて2016年5月16-18,20日。ベニューはパリ、Église évangélique Saint-Marcel(サンマルセル福音教会)とある。なおこちらは1900年初頭に建造されたプロテスタント教会のようだ。使用ピアノは単にハンブルク・スタインウェイのDモデルとだけ表記されている。音質は極めてクリア。ちょっと長めでタイトなアンビエンスが独特の気品を醸している。少々硬めにチューニングされたピアノのディテールは恐ろしいほど明晰、少々ソリッドな二人の演奏スタイルと合っていてなかなかの好録音だ。
ハンガリー舞曲第5番 嬰ヘ短調の動画があったのでリンク切れするまで載せておく。なお、これはセッション録音の様子ではなく客を入れたリサイタルの模様らしい。

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