MusicArena Awards 2018 |
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・2018年度前後にリリースされたCD/SACD(国内盤・輸入盤)
・演奏面/音質面ともに優れたもの
・前衛的な取り組みであると認められるもの
以上の観点から評価して以下の各賞を選考するものとする
▶ 各アワードのジャケット写真をクリックすると詳細ページにリンク
ブラームス:
チェロ・ソナタ 第1番 ホ短調 Op.38
チェロ・ソナタ 第2番 ヘ長調 Op.99
ハンガリー舞曲より 4,1,5,7,14,11番
ジャン=ギアン・ケラス(Vc)
アレクサンドル・タロー(Pf)
レーベル:Erato
ブラームスのソナタとハンガリア舞曲の抜粋。演奏は円熟期に入りつつある二人の名手、ケラスとタロー。ソナタ1番は、全体を通じて抑圧的、ストイックな曲想をケラスとタローの二人はきっちり尊重し、やるせなさをじょうずに表現した。ソナタ2番は壮年から晩年にかけてのブラームスの作風の共通点が凝縮されている。ケラスの巧みな操弦、肩肘の力を抜いたタローの好演を存分に味わいたい。センチメンタリズムの極致=ハンガリー舞曲は、仄暗い綺麗な陰翳を描くケラスの技巧が素晴らしい。
J.S.バッハ:
オブリガート・チェンバロとヴァイオリンのためのソナタ集 BWV1014~1019
イザベル・ファウスト(Vn)
クリスティアン・ベザイデンホウト(Cem)
レーベル:Harmonia Mundi
ファウストとベザイデンホウトによるバッハのヴァイオリンとオブリガート・チェンバロのためのソナタ全集、2枚組。ファウストの新譜は実に久しぶりだった。本作品に関しては過去にはムローヴァの超優秀演奏/録音もあったが、ファウストのこれはそれとはアプローチが異なるマッシブな演奏で、これまた凄いのだ。このマニアックで美しい作品集を鬼才・ベザイデンホウトをパートナーとして録るとは大胆で意外だったが、しかし期待に違わず素晴らしい出来だ。
▶ Schubert: P-Sonata#21,D960 Etc@Marc-André Hamelin
シューベルト:
ピアノ・ソナタ第21番変ロ長調 D960
4つの即興曲 D935, Op.142
マルク=アンドレ・アムラン(Pf)
レーベル:Hyperion
マルク=アンドレ・アムランが弾くシューベルトの最晩年ピアノ作品集。アムランの瞑想的なキータッチは作品との霊的な対話を楽しむがごとくとても親密なもの。彼の演奏は川が上流から下流へ一気につかえなく流れるがごとく軽やかで抵抗がない。アップテンポを維持しつつも内面の描き込みも微細で丁寧、荒れは全くなく、かつ情感表現のダイナミックレンジも極めて広い。完璧だ。
ラヴェル: ピアノ協奏曲 ト長調
ガーシュウィン: ピアノ協奏曲 ヘ長調
ラヴェル: 左手のためのピアノ協奏曲ニ長調
デニス・コジュヒン(pf)
山田和樹/スイス・ロマンド管弦楽団
レーベル:PENTATONE
デニス・コジュヒンが弾くラヴェルとガーシュウィンのPコン。草創期のアメリカと円熟のフランス・パリを対比するテーマで組み上げたアルバムは割とポピュラーだ。音質は相当にリアルで傑出した美しい録音だ。特にレンジ感が上下に際立っており、ラヴェルのこの一連の作品で活躍するティンパニとグランカッサの低音域での捕捉は完璧、極々自然にホールトーンを再現している。なお、ペンタトーン/山田和樹は昨年度に引き続き本アワードを獲得。
シベリウス: ヴァイオリン協奏曲Op.47
サン=サーンス: 序奏とロンド・カプリチオーソ
ストラヴィンスキー: 協奏的二重奏曲
辻 彩奈(Vn)
ジャンカルロ・ゲレロ/
モントリオール交響楽団
フィリップ・チウ(Pf)
レーベル:Warner Classic
2016年モントリオール国際音楽コンクールのウィナー、辻彩奈のメジャーデビュー・アルバム。ライブ収録。なお日本人がモントリオール国際を制覇したのは史上初。シベリウスVnコン。何とも言えない哀愁を漂わせるソロが主題を朗々と鳴らしながらオケとほぼ同時に入る。この堂々たる語り口は何なんだろうか・・。ロンド・カプリチオーソも圧巻。転調してコーダに向かうこのエキセントリックで熱い終盤、辻の分厚いボウイングが光る。
▶ 演奏の評価で迷った盤:
▶ 音質の評価で迷った盤:
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